世界哲学のすすめ
この講義シリーズは第2話まで
登録不要で無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
6,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
プラトンのアカデメイア…哲学の歴史に重要な場とメディア
世界哲学のすすめ(8)哲学の組織
納富信留(東京大学大学院人文社会系研究科教授)
哲学は共同作業だと、世界哲学プロジェクトは考える。師匠と弟子、あるいは弟子同士が問いの共有のもと対話をしなければ、哲学伝統は後世に残らないからだ。そして、書き物を継承するための場としての役割を果たしたプラトンの学園アカデメイアは、現在も学校組織の規範とされている。また、先達の思想を正しく伝えるには、著書への注釈や翻訳も欠かせない行為である。(全9話中第8話)
時間:12分07秒
収録日:2024年9月6日
追加日:2025年3月5日
≪全文≫

●書き物の伝承と問いの共有


 世界哲学がどういうふうにまとめられ、かつ、どのようなやり方があるのかを考えてきました。ここで、歴史的な視点も含めて、哲学とはどういうものかについて、その角度から少しだけ考えてみたいと思います。

 哲学というと皆さんは、一人の哲学者が頭の中で考えて、素晴らしい理論を言うものとお思いかもしれません。ギリシアの例で申しますと、哲学は実は共同作業なのです。科学も共同作業であり、その中に天才的な科学者や天才的な哲学者が現れて、すごいことを言うこともあるのですが、その人もその前に教育を受けているわけで、そのような独創的なことを言うためには背景が必要になります。

 そのようなことを哲学で考えるとき、少し古臭い感じになりますが、私は日本語で「哲学伝統」と呼びます。つまり、一つひとつ、ある意味の哲学にはグループがあるのではないか。世界哲学というと、「はい、なんでも」とはいうものの、やはりいろいろなグループがある。大きなグループもあれば、小さなグループもあり、あるいは一つのグループの中に、さらに小さな伝統がある。これは、「フィロソフィカル・トラディション」という形で捉えていくと、分かるのではないかと思います。

 では、伝統と考える場合に何が伝統になるか。当然、師匠と弟子というつながりは、一つの伝統になります。人間的な感じですね。あるいは、弟子同士のライバルもある。そういうこともあるけれど、これだけでもないのです。例えば、直接習っていなくても構わない。後の時代に本を読んで影響を受ける、あるいは前回触れた翻訳を通じて、さらに影響を受ける。そのように、伝統というものは、必ずしも直接習った者同士の間で行われるわけではありません。

 では、何をもって伝統というかというと、私はこれを「問題の共有」、あるいは「問いの共有」と考えています。同じ問題について別の考え方をする、ないしは同じ問題についてさらに考えていく。これができたところで、一つの伝統といえるのではないかと思います。

 古代ギリシア哲学が西洋の哲学の伝統を作ったというのは、ざっくりいってしまうと、古代ギリシア人が発した問いがいまだに問われているということです。例えば、宇宙の根源とは何か。それは、はたして有限なのか無限なのか。それは時間の中にあるのか、時間を超えたものなのか。このような問いは...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
今こそ問うべき「人間にとっての教養」(1)なぜ本を読むことが教養なのか
『人間にとって教養とはなにか』に学ぶ教養と本の関係
橋爪大三郎
『「甘え」の構造』と現代日本(1)「甘え」のインパクト
「甘え」は現代においてダメなものなのか…名著『「甘え」の構造』への2種類の誤解とは?
與那覇潤
デカルトの存在論に学ぶ(1) 「我思う、ゆえに我在り」
「我思う、ゆえに我在り」はデカルトの専売特許ではない
津崎良典
人生に活かす東洋思想(1)人生の成功とは何か
東洋思想の「徳」や「道」をわかりやすくいうと?
田口佳史
プラトン『ソクラテスの弁明』を読む(1)真実の創作
プラトンの『ソクラテスの弁明』は謎多き作品
納富信留
「怒り」の仕組みと感情のコントロール(1)「キレる高齢者」の正体
「キレやすい」の正体とは?…ヒトの「怒り」の本質に迫る
川合伸幸

人気の講義ランキングTOP10
民主主義の本質(1)近代民主主義とキリスト教
なぜ民主主義が「最善」か…法の支配とキリスト教的背景
橋爪大三郎
小澤開作と満洲事変・日中戦争(1)少年時代の苦労と五族協和の夢
満洲で「五族協和」に命を懸けた小澤征爾の父・小澤開作
小澤俊夫
ロシア人の見る「ロシアの歴史」(1)会ってみたプーチン…その実像
ロシア人の見る「ロシアの歴史」を知るとロシアがよくわかる・・・実際に会ってみたプーチンの印象とは?
上月豊久
プラトン『ポリテイア(国家)』を読む(14)ポリスと魂の堕落過程〈下〉僭主の末路
僭主制は欲望の奴隷…過度の自由が過度の隷属に転換する
納富信留
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
『万葉集』と律令社会~官僚の心得と歌宴(4)郡家の発掘と新田山を詠んだ東歌
「東歌」に刻印された奈良時代の真実とは?…地方に気をつかい地方のパワーを取り込んで中央政権はできていた
上野誠
高齢者のフレイル・認知症とその予防対策(1)老年病科と高齢者の疾患・病態の特徴
頻尿、低栄養、転倒、誤嚥、フレイル…増える老年症候群と高齢者の疾患・病態の特徴
小川純人
イラン戦争とトランプ大統領の戦争指導(1)米軍式戦略リーダーシップによる評価
イラン戦争…トランプ大統領の戦争指導のどこが問題なのか?
東秀敏
文明語としての日本語の登場(1)古代日本語の復元
なぜ「てふてふ」が蝶々?日本語の変遷を追う…まずは万葉仮名から
釘貫亨
ピアノでたどる西洋音楽史(1)ヴィヴァルディとバッハ
クラシック音楽の歴史をピアノ演奏で辿る~ヴィヴァルディ四季
野本由紀夫