世界哲学のすすめ
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プラトンのアカデメイア…哲学の歴史に重要な場とメディア
世界哲学のすすめ(8)哲学の組織
納富信留(東京大学大学院人文社会系研究科教授)
哲学は共同作業だと、世界哲学プロジェクトは考える。師匠と弟子、あるいは弟子同士が問いの共有のもと対話をしなければ、哲学伝統は後世に残らないからだ。そして、書き物を継承するための場としての役割を果たしたプラトンの学園アカデメイアは、現在も学校組織の規範とされている。また、先達の思想を正しく伝えるには、著書への注釈や翻訳も欠かせない行為である。(全9話中第8話)
時間:12分07秒
収録日:2024年9月6日
追加日:2025年3月5日
≪全文≫

●書き物の伝承と問いの共有


 世界哲学がどういうふうにまとめられ、かつ、どのようなやり方があるのかを考えてきました。ここで、歴史的な視点も含めて、哲学とはどういうものかについて、その角度から少しだけ考えてみたいと思います。

 哲学というと皆さんは、一人の哲学者が頭の中で考えて、素晴らしい理論を言うものとお思いかもしれません。ギリシアの例で申しますと、哲学は実は共同作業なのです。科学も共同作業であり、その中に天才的な科学者や天才的な哲学者が現れて、すごいことを言うこともあるのですが、その人もその前に教育を受けているわけで、そのような独創的なことを言うためには背景が必要になります。

 そのようなことを哲学で考えるとき、少し古臭い感じになりますが、私は日本語で「哲学伝統」と呼びます。つまり、一つひとつ、ある意味の哲学にはグループがあるのではないか。世界哲学というと、「はい、なんでも」とはいうものの、やはりいろいろなグループがある。大きなグループもあれば、小さなグループもあり、あるいは一つのグループの中に、さらに小さな伝統がある。これは、「フィロソフィカル・トラディション」という形で捉えていくと、分かるのではないかと思います。

 では、伝統と考える場合に何が伝統になるか。当然、師匠と弟子というつながりは、一つの伝統になります。人間的な感じですね。あるいは、弟子同士のライバルもある。そういうこともあるけれど、これだけでもないのです。例えば、直接習っていなくても構わない。後の時代に本を読んで影響を受ける、あるいは前回触れた翻訳を通じて、さらに影響を受ける。そのように、伝統というものは、必ずしも直接習った者同士の間で行われるわけではありません。

 では、何をもって伝統というかというと、私はこれを「問題の共有」、あるいは「問いの共有」と考えています。同じ問題について別の考え方をする、ないしは同じ問題についてさらに考えていく。これができたところで、一つの伝統といえるのではないかと思います。

 古代ギリシア哲学が西洋の哲学の伝統を作ったというのは、ざっくりいってしまうと、古代ギリシア人が発した問いがいまだに問われているということです。例えば、宇宙の根源とは何か。それは、はたして有限なのか無限なのか。それは時間の中にあるのか、時間を超えたものなのか。このような問いは...

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