世界哲学のすすめ
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
実践がなくてもかまわない!?ギリシア哲学の大きな特徴とは
世界哲学のすすめ(5)古代ギリシアに遡る<1>
納富信留(東京大学大学院人文社会系研究科教授)
世界哲学は多様なだけに、その展開と推進のためのアプローチも多様になる。納富氏は古代ギリシア哲学の研究者として、古代ギリシアの特性を捉えなおすことが一つの有効な道だと考えている。古代ギリシアが哲学の祖といわれる理由は「観想」にある。それは「実践」と切り離されてきたが、それが数学や科学として発展してきたのである。(全9話中第5話)
時間:11分32秒
収録日:2024年9月6日
追加日:2025年2月12日
≪全文≫

●西洋哲学の再検討


 世界哲学とはどういうものかということについて今までお話ししてまいりました。

 では具体的に世界哲学を展開し、推進していこうというときに、どういうアプローチがあるか。これはさまざまなアプローチがあると思うので、皆さんそれぞれ、あるいはそれぞれの専門分野からぜひ考えていただきたいのですが、私自身は古代ギリシア哲学を専門としている者なので、まず、そこを出発点として世界哲学について考えたいと思っています。

 古代ギリシア哲学は、先ほどお話ししたように哲学のいわば起源とされ、出発点にあたります。西洋で哲学が成立して、現代まで西洋哲学=哲学だといってきた出発点にあたるのが、私の研究している古代ギリシアの哲学ということになります。

 古代ギリシアの哲学というと、紀元前7世紀くらい、だいたい(紀元前)7~6世紀に始まって、その後ずっと続きます。一番充実していた時代は紀元前4世紀ぐらいまでで、この数百年の間がさまざまな哲学者の出てきた一つのビッグな時代になります。私はこの時代を研究していると同時に、そこをきちんと見ることが実は西洋哲学だけではなく、むしろ世界哲学を見ることになるのではないか、逆にいうと世界哲学をするためには古代ギリシア哲学こそ見直しが必要なのではないかと、自分の立場からは考えています。

 ということで、それについて少しお話ししていきたいと思います。

 私は古代ギリシア哲学というものについては、いろいろなところで本を出し、お話をしているので、今回まとめて全部お話しするのは難しいです。書いたものでご紹介させていただくと、筑摩書房から出した、『ギリシア哲学史』というかなり分厚い本があります。これは実はギリシア哲学の半分、前半しか扱っていません。まだ、今後半を執筆中ということです。それを少し別の視点から分かりやすく書いた本も出しています。これは放送大学テキストで、『西洋哲学の根源』(放送大学教育振興会)という本です。ご関心のある方はこういうものを見ていただくと、若干の翻訳も含めて詳しく書いています。


●紀元前6世紀の初めに何が起こったか


 さて、世界哲学の「哲学」という名前の発祥の地でもある古代ギリシアというところで、紀元前7世紀~6世紀の間に最初に何が起こったのかは、非常に興味深いと同時に難しい問題です。

 どうしてかというと、そ...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
「50歳からの勉強法」を学ぶ(1)大人の学びの心得三箇条
大人の学び・3つの心得=自由、世間が教科書、孤独を覚悟
童門冬二
人の行動の「なぜ」を読み解く行動分析学(1)随伴性
「なぜ人は部屋を片付けられないか」を行動分析学で考える
島宗理
道徳と多様性~道徳のメカニズム(1)既存の道徳の問題点
多様性の時代に必要な道徳とは…科学的アプローチで考える
鄭雄一
今こそ問うべき「人間にとっての教養」(1)なぜ本を読むことが教養なのか
『人間にとって教養とはなにか』に学ぶ教養と本の関係
橋爪大三郎
平和の追求~哲学者たちの構想(1)強力な世界政府?ホッブズの思想
平和の実現を哲学的に追求する…どんな平和でもいいのか?
川出良枝
学びとは何か、教養とは何か
教養の基本は「世界史」と「古典」
本村凌二

人気の講義ランキングTOP10
「アメリカの教会」でわかる米国の本質(1)アメリカはそもそも分断社会
「キリスト教は知らない」ではアメリカ市民はつとまらない
橋爪大三郎
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(2)秀吉の実像と「太閤神話」
秀吉・秀長の出自は本当は…実像は従来のイメージと大違い
黒田基樹
逆境に対峙する哲学(1)日常性が「破れ」て思考が始まる
逆境にどう対峙するか…西洋哲学×東洋哲学で問う知的ライブ
津崎良典
熟睡できる環境・習慣とは(1)熟睡のための条件と認知行動療法
熟睡のために――自分にあった「理想的睡眠」の見つけ方
西野精治
戦争とディール~米露外交とロシア・ウクライナ戦争の行方
「武器商人」となったアメリカ…ディール至上主義は失敗!?
東秀敏
平和の追求~哲学者たちの構想(6)EU批判とアメリカの現状
理想を具現化した国連やEUへの批判がなぜ高まっているのか
川出良枝
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
編集部ラジオ2025(32)哲学者たちが考えた平和追求
反EU、反国連の時代に再考!「哲学者たちの平和追求」
テンミニッツ・アカデミー編集部
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
組織心理学とは何か~『武器としての組織心理学』と概論
なぜ組織に「心理学」が必要か?多様化と個の時代の処方箋
山浦一保