西洋哲学史の10人~哲学入門
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
カントは西洋哲学史上、最も重要な哲学者の1人
西洋哲学史の10人~哲学入門(7)カント 近代の基礎
哲学と生き方
貫成人(専修大学文学部教授/文学博士)
西洋哲学史史上、最重要哲学者の1人とされるカントは、その批判哲学においてあらゆる人間の能力の可能性と限界について論じた。専修大学文学部教授の貫成人氏によれば、これらは人の認識やなすべきこと、美しさをめぐって、私たちにさまざまなことを気付かせてくれる。(全10話中第7話)
時間:11分24秒
収録日:2018年2月9日
追加日:2018年6月8日
カテゴリー:
≪全文≫

●カントは哲学史上飛び抜けて重要な哲学者の1人である


 7回目はカントです。カントは、1500年以上の西洋哲学史の中で、飛び抜けて大事な哲学者を3名挙げた場合、必ず入ります。近代の私たちの考え方や哲学の在り方の基礎を作ったのがカントであるといっても過言ではありません。

 カントは、1724年から1804年に生き18世紀の後半に活動した人です。北ドイツのケーニヒスベルクという、現在ロシア連邦カリーニングラードがあるところで生まれ育ち、活動し、死にました。カント自身はケーニヒスベルクから一度も外に出たことがないといわれています。

 もちろん、カントが全く世間知らずの観念的な学者であったかというと、そういうわけではありません。彼はケーニヒスベルク大学で教鞭を執っていましたが、非常に社交的でした。ケーニヒスベルクはドイツにおいてハンザ同盟の都市の一つであり貿易都市で、カントはそこにやってくる各国の船乗りや貴婦人のような人々と必ず社交の場を設けて、あちこちの知識を吸収するように努めていたとされています。非常に人間味にあふれた、社交的な人であったいわれています。

 ただ彼の考えは、数ある哲学の中でも最も難解な哲学の一つといっても過言ではありません。それは一体、どういうものだったのでしょうか。


●カントは認識や善悪判断、美的能力を批判的に検討した


 カントはもともと天文学者で、彼が哲学者として本格的に活動し著作を書いたのは、実は50代になってからです。彼の主な哲学の著作としては、『純粋理性批判』『実践理性批判』『判断力批判』という3冊があります。『純粋理性批判』をカントが書いたのが56歳の時でした。この事実は中年の哲学研究者にとっては非常に励みになる事実なのですが、それはともかくとして、この3冊の著作はいずれも「○○批判」と書いてあります。カントの哲学はそのため、「批判哲学」と呼ばれています。

 何を批判したかというと、例えば純粋理性であり、実践理性であり、判断力でした。純粋理性とは私たちが何かを認識する際に用いている知的な認識能力であり、実践理性とは私たちが行為をして善悪を判断し、何をするべきかを自分で選択する際に用いている能力であり、判断力とは自然や美の美しさを味わうときに用いられている能力です。これらを批判的に検討していくというのがカントのやり方でした。


●神や霊魂は認...


スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
西洋哲学史の10人~哲学入門(1)ソクラテス 最初の哲学者
ソクラテス:「フィロソフィア」の意味を問う最初の哲学者
貫成人
禅とは何か~禅と仏教の心(1)アメリカの禅と日本の禅
自発性を重んじる――藤田一照師が禅と仏教の心を説く
藤田一照
おもしろき『法華経』の世界(1)法華経はSFだ!
「法華経はSFだ!」というナラティブの神秘的体験
鎌田東二
「心から幸せになるためのメカニズム」を学ぶ(1)心理学研究と日本の幸福度
実は今、「幸せにも気をつける」べき時代になっている
前野隆司
現代人に必要な「教養」とは?(1)そもそも教養とは何か
教養とは…本質を捉える知、他者を感じる力、先頭に立つ勇気
小宮山宏
「50歳からの勉強法」を学ぶ(1)大人の学びの心得三箇条
大人の学び・3つの心得=自由、世間が教科書、孤独を覚悟
童門冬二

人気の講義ランキングTOP10
ヒトは共同保育~生物学から考える子育て(1)動物の配偶と子育てシステム
ヒトは共同保育の動物――生物学からみた子育ての基礎知識
長谷川眞理子
未来を知るための宇宙開発の歴史(7)米ソとは異なる日本の宇宙開発
日本の弾道ミサイル開発禁止!?米ソとは異なる宇宙開拓の道
川口淳一郎
「集権と分権」から考える日本の核心(3)中央集権と六国史の時代の終焉
天平期の天然痘で国民の3割が死亡?…大仏と崩れる律令制
片山杜秀
数学と音楽の不思議な関係(1)だれもがみんな数学者で音楽家
世界は数学と音楽でできている…歴史が物語る密接な関係
中島さち子
睡眠から考える健康リスクと社会的時差ボケ(5)シフトワークと健康問題
発がんリスク、心身の不調…シフトワークの悪影響に迫る
西多昌規
知識創造戦略論~暗黙知から形式知へ(1)イノベーションと価値創造
価値創造において重要なのは未来から現在を見るという視点
遠山亮子
DEIの重要性と企業経営(4)人口統計的DEIと女性活躍推進の効果
日本的雇用慣行の課題…女性比率を高めても業績向上は難しい
山本勲
トランプ政権と「一寸先は闇」の国際秩序(3)これからの世界と底線思考の重要性
同盟国よもっと働け…急激に進んでいる「負担のシフト」
佐橋亮
モンゴル帝国の世界史(2)チンギス・ハーンのカリスマ性
自由な多民族をモンゴルに統一したチンギス・ハーンの魅力
宮脇淳子
睡眠と健康~その驚きの影響(1)睡眠が担う5つのミッション
寝ないとよく食べる…睡眠不足が生活習慣病を招く理由
西野精治