●カントは哲学史上飛び抜けて重要な哲学者の1人である
7回目はカントです。カントは、1500年以上の西洋哲学史の中で、飛び抜けて大事な哲学者を3名挙げた場合、必ず入ります。近代の私たちの考え方や哲学の在り方の基礎を作ったのがカントであるといっても過言ではありません。
カントは、1724年から1804年に生き18世紀の後半に活動した人です。北ドイツのケーニヒスベルクという、現在ロシア連邦カリーニングラードがあるところで生まれ育ち、活動し、死にました。カント自身はケーニヒスベルクから一度も外に出たことがないといわれています。
もちろん、カントが全く世間知らずの観念的な学者であったかというと、そういうわけではありません。彼はケーニヒスベルク大学で教鞭を執っていましたが、非常に社交的でした。ケーニヒスベルクはドイツにおいてハンザ同盟の都市の一つであり貿易都市で、カントはそこにやってくる各国の船乗りや貴婦人のような人々と必ず社交の場を設けて、あちこちの知識を吸収するように努めていたとされています。非常に人間味にあふれた、社交的な人であったいわれています。
ただ彼の考えは、数ある哲学の中でも最も難解な哲学の一つといっても過言ではありません。それは一体、どういうものだったのでしょうか。
●カントは認識や善悪判断、美的能力を批判的に検討した
カントはもともと天文学者で、彼が哲学者として本格的に活動し著作を書いたのは、実は50代になってからです。彼の主な哲学の著作としては、『純粋理性批判』『実践理性批判』『判断力批判』という3冊があります。『純粋理性批判』をカントが書いたのが56歳の時でした。この事実は中年の哲学研究者にとっては非常に励みになる事実なのですが、それはともかくとして、この3冊の著作はいずれも「○○批判」と書いてあります。カントの哲学はそのため、「批判哲学」と呼ばれています。
何を批判したかというと、例えば純粋理性であり、実践理性であり、判断力でした。純粋理性とは私たちが何かを認識する際に用いている知的な認識能力であり、実践理性とは私たちが行為をして善悪を判断し、何をするべきかを自分で選択する際に用いている能力であり、判断力とは自然や美の美しさを味わうときに用いられている能力です。これらを批判的に検討していくというのがカントのやり方でした。