西洋哲学史の10人~哲学入門
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
ルソー:社会契約論、私有財産の否定、一般意志の重視
西洋哲学史の10人~哲学入門(6)ルソー 「自然に還れ」
哲学と生き方
貫成人(専修大学文学部教授/文学博士)
フランス革命の動乱が始まる直前の18世紀に、ルソーは『社会契約論』を著した。それまでの社会においてベースとなっていた王権神授説に代わる、自由とその制限をめぐる新しい考え方とはいかなるものなのか。専修大学文学部教授の貫成人氏が論じる。(全10話中第6話)
時間:10分56秒
収録日:2018年2月9日
追加日:2018年6月1日
カテゴリー:
≪全文≫

●ルソーはフランス革命直前の混乱した時期に登場した


 第6回目はルソーです。ルソーは「自然に還れ」というフレーズで非常に有名な人ですが、その考えの核心はどのようなことだったのかというのが、今日のお話です。

 ルソーが生きていたのは、デカルトが生きていた時代よりもさらに100年ぐらい後の18世紀です。特にルソーはジュネーブで生まれた人ですので、フランス語を使っていましたが、18世紀フランスでは大変なことが起こっていました。すなわち、フランス革命が始まる直前で、非常に世間が騒がしい時代でした。

 その時代に、ルソーは非常にさまざまな分野で業績を残しています。『エミール』は、そういう名前の少年を育てるという、いわば教育論ですし、これからお話しする『社会契約論』は政治哲学です。それどころか、今私たちが「むすんでひらいて」という名前で知っているあの曲のメロディーは、ルソーが作曲したものであるとされています。

 ということでいろんな才能があった人でした。が、ここでは彼の社会契約論を見ていきたいと思います。これもまた前回のデカルトと同じように、欧米の現代社会の基本になっている考え方です。


●社会契約論は国王の権威を絶対視する王権神授説に代わる考え方


 社会契約論は、実はルソーだけの考えではありません。ここに表がありますが、有名な人を並べただけでも、ルソーより200年以上前のイギリスの哲学者であるホッブズや同じくイギリスのジョン・ロック、それ以外にも多数の人が社会契約論を唱えていました。

 簡単に歴史的な背景をお話しすれば次のようになります。それ以前の社会は国王がおり、その国王に全ての人が支えていました。その国王の権利や権力は、その家系が、神から受け継いだと見なされていました。いわゆる王権神授説という考えがこの社会のベースでした。ところがそのように考えると、結局国王の権力や権威を絶対的に認めるしかないことになります。

 17世紀から18世紀というのは、ヨーロッパの経済が非常に盛んになった時代でした。その時代に、いわゆるブルジョワの人々が力を持っていきます。それにより、例えば遠くの国と貿易をした利益で富を築いたり、工場や銀行を経営したりする実業家の人々が力を持っていきます。

 実業家の人々は、自分のリスクを背負って富を築き、そ...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
死と宗教~教養としての「死の講義」(1)「自分が死ぬ」ということ
世界の宗教は死をどう考えるか…科学では死はわからない
橋爪大三郎
今こそ問うべき「人間にとっての教養」(1)なぜ本を読むことが教養なのか
『人間にとって教養とはなにか』に学ぶ教養と本の関係
橋爪大三郎
北欧神話の基本を知る(1)世界でもっとも悲観的な神話
世界滅亡を予言!?人類史上もっとも悲観的な北欧神話とは
鎌田東二
もののあはれと日本の道徳・倫理(1)もののあはれへの共感と倫理
本居宣長が考えた「もののあはれ」と倫理の基礎
板東洋介
「50歳からの勉強法」を学ぶ(1)大人の学びの心得三箇条
大人の学び・3つの心得=自由、世間が教科書、孤独を覚悟
童門冬二
イスラム教におけるシーア派とスンニ派の違い
イスラム教スンニ派とシーア派の違いとは?
山内昌之

人気の講義ランキングTOP10
学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(1)数が理解できない子どもたち
人間はどうやって「理解する」のか?『学力喪失』から考える
今井むつみ
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫
クーデターの条件~台湾を事例に考える(4)クーデター後の民政移管とその方策
軍政から民政へ、なぜ李登輝はこの難業に成功したのか
上杉勇司
『還暦からの底力』に学ぶ人生100年時代の生き方(1)定年制は要らない
仕事をするのに「年齢」は関係ない…不幸を招く定年型思考
出口治明
伊能忠敬に学ぶ「第二の人生」の生き方(1)少年時代
伊能忠敬に学ぶ、人生を高めて充実させる「工夫と覚悟」
童門冬二
死と宗教~教養としての「死の講義」(1)「自分が死ぬ」ということ
世界の宗教は死をどう考えるか…科学では死はわからない
橋爪大三郎
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
未来を知るための宇宙開発の歴史(12)宇宙推進技術はどこまで進化したか
水平離着陸で宇宙へ、近未来のロケット像と進む技術開発
川口淳一郎
大人の学び~発展しつづける人生のために(1)「Unlearn(アンラーン)」とは何か
見方を変える!生き方を変える!そのためのアンラーン
為末大
いま夏目漱石の前期三部作を読む(1)夏目漱石を読み直す意味
メンタルが苦しくなったら?…今、夏目漱石を読み直す意味
與那覇潤