「アメリカの教会」でわかる米国の本質
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
次の動画も登録不要で無料視聴できます!
カトリックとプロテスタントの違いは?「救済予定説」とは?
第2話へ進む
「キリスト教は知らない」ではアメリカ市民はつとまらない
「アメリカの教会」でわかる米国の本質(1)アメリカはそもそも分断社会
橋爪大三郎(社会学者/東京科学大学名誉教授/大学院大学至善館教授)
アメリカが日本の運命を左右する国であることは、安全保障を考えても、経済を考えても、否定する人は少ないだろう。だが、そのような国であるにもかかわらず、日本人は、本当に「アメリカ」のことを理解できているだろうか。日本人にとってアメリカ理解が難しいのは、どうしてもキリスト教に対する理解が乏しく、アメリカの教会についての知識も不足している人が多いからだと、橋爪氏は指摘する。アメリカの教会は多岐にわたり、その成り立ちも複雑だが、しかし、アメリカの教会を知らずして、真のアメリカ社会の理解はあり得ない。アメリカの現代をとらえ損なわないために、この機会に教会の歴史についてしっかりと学んでおきたい。(全5話中第1話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:12分29秒
収録日:2022年11月4日
追加日:2023年1月6日

●アメリカは政治も経済も全部キリスト教抜きには考えられない


―― 皆さま、こんにちは。本日は橋爪大三郎先生に、アメリカ理解に必須の「アメリカの教会」というテーマでお話をうかがいたいと思います。橋爪先生、どうぞよろしくお願いいたします。

橋爪 はい、どうぞよろしく。

―― 橋爪先生は、『アメリカの教会~「キリスト教国家」の歴史と本質』(光文社新書)という本をお出しになっています。この本を拝読していますと、日本人のアメリカ理解が十分に及ばないのは、アメリカの教会について理解していないからだということで、非常に詳しくアメリカの教会の歴史をお書きいただいています。先生、この本をお書きになったご趣旨と、この本の特徴について、少し教えていただいてよろしいでしょうか。

橋爪 まず、日本にはキリスト教徒が少なく、人口の約1パーセントです。残りの人はあまりキリスト教に縁がなく、詳しいことを知らないのは、やむを得ない面もある。しかしながら、日本にとって大事な国であるアメリカには、クリスチャンの数がとても多いのです。

 ほぼ毎週教会に行っている人が約3分の1から半分ぐらい。教会に行かない人でも、子どもの頃に行った体験などを通して、よく知っています。むしろキリスト教以外のことは知らないと言ったほうがいい。つまり、どっぷり首までキリスト教に浸かっている国だと思えばいいわけです。

―― はい。

橋爪 ヨーロッパの国々もいちおうキリスト教国ではあるのですが、アメリカの場合、キリスト教が現役で、熱心な信者がとても多く、ピンピンしている、まだ生きた信仰なのです。それが、社会のいろいろなところに顔を出し、政治も経済も社会もキリスト教抜きには考えられない、語れないのです。ですから、有力な補助線であるこのキリスト教の知識がないと、アメリカのことを考え損なってしまうのです。でもほとんどの日本の人々が考え損なっているのではないかと非常に心配になって、この本を書きました。


●アメリカの「分断」は今、始まったものではない


―― 私にとっても非常に印象深いところばかりの本でしたが、拝読していてとりわけ印象深い先生のメッセージがありました。「アメリカ社会は分断されている。それは、教会の分断である」という内容です。最近のアメリカ政治に対して、「アメリカの分断が...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
楽観は強い意志であり、悲観は人間の本性である
これからの時代をつくるのは、間違いなく「楽観主義」な人
小宮山宏
平和の追求~哲学者たちの構想(1)強力な世界政府?ホッブズの思想
平和の実現を哲学的に追求する…どんな平和でもいいのか?
川出良枝
世界神話の中の古事記・日本書紀(1)人間の位置づけ
世界神話と日本神話の違いの特徴は「人間の格づけ」にある
鎌田東二
「アメリカの教会」でわかる米国の本質(1)アメリカはそもそも分断社会
「キリスト教は知らない」ではアメリカ市民はつとまらない
橋爪大三郎
今こそ問うべき「人間にとっての教養」(1)なぜ本を読むことが教養なのか
『人間にとって教養とはなにか』に学ぶ教養と本の関係
橋爪大三郎
キリスト教とは何か~愛と赦しといのち(1)「イエス」とは一体誰なのか
「イエス・キリスト」という名前の本当の意味は?
竹内修一

人気の講義ランキングTOP10
平和の追求~哲学者たちの構想(1)強力な世界政府?ホッブズの思想
平和の実現を哲学的に追求する…どんな平和でもいいのか?
川出良枝
プロジェクトマネジメントの基本(3)プロジェクトのすすめ方
PDCAサイクルを回すための5つのプロセスとそのすすめ方
大塚有希子
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(1)北斎の画狂人生と名作への進化
葛飾北斎と応為…画狂の親娘はいかに傑作へと進化したか
堀口茉純
熟睡できる環境・習慣とは(3)睡眠にいい環境とお風呂の入り方
布団に入る何分前がいい?入眠しやすいお風呂の入り方
西野精治
中国共産党と人権問題(1)中国共産党の思惑と歴史的背景
深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質
橋爪大三郎
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
定年後の人生を設計する(1)定年後の不安と「黄金の15年」
不安な定年後を人生の「黄金の15年」に変えるポイント
楠木新
内側から見たアメリカと日本(6)日本企業の敗因は二つのオウンゴール
日本企業が世界のビジネスに乗り遅れた要因はオウンゴール
島田晴雄
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫