「アメリカの教会」でわかる米国の本質
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知っておくべきアメリカの5つのキリスト教宗派の特徴は?
「アメリカの教会」でわかる米国の本質(4)「5つの宗派」紹介
哲学と生き方
橋爪大三郎(社会学者/東京科学大学名誉教授/大学院大学至善館教授)
アメリカの教会には主だった宗派が30、諸派を合わせると約1000ものキリスト教信仰が存在する。今回ではその宗派の中から、イングランド国教会、会衆派、クエーカー、メソディスト、バプティストの5つについて紹介していく。アメリカの教会の中には、いわゆるカルト集団も存在するので注意が必要だが、それを見極めるためにも、宗派の違いについての基本をしっかりと理解しておく必要がある。(全5話中第4話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:17分22秒
収録日:2022年11月4日
追加日:2023年1月27日
≪全文≫

●ヘンリー8世の離婚願望で始まった英国国教会


―― 次にアメリカの主要な各宗派についてです。冒頭で先生がおっしゃったようにたくさんあるということなので、日本人にはなかなか理解が難しいところだと思いますが、簡単にご説明いただくと、どういうお話になりますでしょうか。

橋爪 主だったものだけで30、今は1000ぐらいあるので、いちいちお話しすることはできません。そこで、基本的なものについて説明すると、まず、イングランド国教会(Anglican Church)というものがある。次に、カルヴァン派の「会衆派」というものがあります。「会衆」というのは教会に集まった人びとという意味で、英語では“congregation”なので、会衆派は“Congregational Church”と呼ばれる教会に集まります。ピルグリム・ファーザーズが会衆派だったので、マサチューセッツ州に多い。

 それから、会衆派と仲の悪いクエーカーがあり、アメリカらしい教会としてメソディスト、バプティストがあります。この5つについて説明しましょう。

―― ありがとうございます。

橋爪 まず、国教会がありますが、これはアメリカの教会ではなくイングランドの教会です。イングランドに、エリザベス1世の父親でヘンリー8世という人がいましたが、夫人のキャサリンと離婚したくなりました。しかし、キャサリンはスペインの王女でカトリック教徒で離婚が認められないので、「ローマ法王に言いつけます」ということになりました。

 エリザベス女王の母になるアン・ブーリンという女性と結婚したかったヘンリー8世は、どうすれば離婚ができるかを画策して、「この際、カトリック教会と縁を切ってしまおう。イギリスの教会はイングランド国教会という名前にして、私がそのトップになる」と考えました。かなりめちゃめちゃですが、ドイツなどで宗教改革が起こっていて、イングランドもいつまでもカトリックでもしょうがないという側面もあり、このような乱暴な改革が行われました。

 国王の命令なので、仕方なくそれを認めて、教会は独立することになりました。改革に反対するカトリック教徒もいましたが、弾圧を受けたりして大変な目に遭います。


●国教会のバージニア州、会衆派のマサチューセッツ州


橋爪 これは国王がつくった教会で、イングランドでは唯一の合法的な教会ということになっている。だから、原則からいうと、イングランドの植民地...

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