「アメリカの教会」でわかる米国の本質
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
「回心」「覚醒」…アメリカを突き動かす「信仰復興の波」
「アメリカの教会」でわかる米国の本質(3)回心と覚醒
橋爪大三郎(社会学者/東京科学大学名誉教授/大学院大学至善館教授)
アメリカにおけるキリスト教社会の歴史は「回心」が重要視された。さらに宗教的「覚醒」が大規模に巻き起こる“信仰復興の波”が幾度も起こり、アメリカ社会を大きく動かしていったという。では、「回心」や「覚醒」とは、どのようなことなのか。まずそのメカニズムを知り、その社会的な影響を知らなければ、アメリカ社会の本質を理解することはできないのである。(全5話中第3話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:16分14秒
収録日:2022年11月4日
追加日:2023年1月20日
≪全文≫

●「信仰」は神様からやってくる


―― プロテスタントについてのお話をより詳しくお聞きしたいと思います。先生の本の中で大変印象深かったのが「回心」という考え方だったのですが、これはどのように理解すればよろしいでしょうか。

橋爪 前回申し上げたように、キリスト教の信仰には、「人間のわざなのか、神のわざなのか」という問題がある。「わざ」というのは、「やること」という意味です。

 仮に「信仰すれば救われる」としましょう。もし人間が信仰するかどうかを決めているのだとすると、「神がいるか、いないか」「神を信仰しようか、しないか」と迷って、「私は神を信仰しましょう」と自分が決断して決めたとします。

―― はい。

橋爪 このとき、「その人に信仰があるから、神は救う」ということになるのだとすると、神は信仰のある人を救わなくてはならなくなります。それは、人間が神に「救いなさい」と命令していることになるわけです。だから、これは「神強制」といって、キリスト教では取れない考え方です。

―― なるほど。

橋爪 でも、信仰は大事でしょう。ただ、信仰は本人の決めることではないとしたら、どこから来るのか。神から来る。神が「サブロー、お前は神のほうを向きなさい」と、電波かなにかで働きかけてくることを「聖霊」と呼びます。聖霊が働きかけるから、神のほうを向き直る。これが信仰であり、向きが変わるので、このことを「回心」と呼びます。

 ここまで、信仰が神から来るということはわかりましたか。

―― 「自分が信仰する」というと、自分のほうが神よりも上になってしまう。だから、その立場は取れないということになるわけですね。

橋爪 信仰するかしないか迷って「信仰する」というケースはあってもいいが、自分で決めているのではないということです。

―― それも、もう神のお導きであるということですね。


●不信仰の「ぐるぐる」から信仰の「ぐるぐる」へのジャンプ


橋爪 そうすると、人間は2種類に分かれます。まず、どういうわけか神様を信仰している人がいます。

 「神を信仰しているということは、神に信仰させていただいているのである。神の恵みが私に及んでいるのである。こんな有難いことがあるなら、ますます神様を信じましょう」

 こう言って、昨日も信じ、今日も信じている。「二日連続で神様の恵みが来ているのだから、...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
北欧神話の基本を知る(1)世界でもっとも悲観的な神話
世界滅亡を予言!?人類史上もっとも悲観的な北欧神話とは
鎌田東二
西洋哲学史の10人~哲学入門(1)ソクラテス 最初の哲学者
ソクラテス:「フィロソフィア」の意味を問う最初の哲学者
貫成人
禅とは何か~禅と仏教の心(1)アメリカの禅と日本の禅
自発性を重んじる――藤田一照師が禅と仏教の心を説く
藤田一照
楽観は強い意志であり、悲観は人間の本性である
これからの時代をつくるのは、間違いなく「楽観主義」な人
小宮山宏
今こそ問うべき「人間にとっての教養」(1)なぜ本を読むことが教養なのか
『人間にとって教養とはなにか』に学ぶ教養と本の関係
橋爪大三郎
もののあはれと日本の道徳・倫理(1)もののあはれへの共感と倫理
本居宣長が考えた「もののあはれ」と倫理の基礎
板東洋介

人気の講義ランキングTOP10
内側から見たアメリカと日本(1)ラストベルトをつくったのは誰か
日本でも中国でもない…ラストベルトをつくった張本人は?
島田晴雄
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(3)医療の大転換と日本の可能性
近代医学はもはや賞味期限…日本が担うべき新しい医療へ
鎌田東二
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(3)認知バイアスとの正しい向き合い方
知ってるつもり、過大評価…バイアス解決の鍵は「謙虚さ」
今井むつみ
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
「宇宙の創生」の仕組みと宇宙物理学の歴史(1)宇宙の階層構造
「宇宙の階層構造」誕生の謎に迫るのが宇宙物理学のテーマ
岡朋治
デカルトの感情論に学ぶ(1)愛に現れる身体のメカニズム
デカルトが注目した心と体の条件づけのメカニズム
津崎良典
編集部ラジオ2025(27)なぜ何回説明しても伝わらない?
なぜ伝わらない?理解の壁の正体を今井むつみ先生に学ぶ
テンミニッツ・アカデミー編集部
歴史の探り方、活かし方(1)歴史小説と史料探索の基本
日本は素晴らしい歴史史料の宝庫…よい史料の見つけ方とは
中村彰彦
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(7)不動産暴落と企業倒産の内実
不動産暴落、大企業倒産危機…中国経済の苦境の実態とは?
垂秀夫
学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(2)言葉を理解するプロセスとスキーマ
なぜ子どもは教えられても理解できないのか?鍵はスキーマ
今井むつみ