日本の特性とは何か~「日本的」の本質
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
本居宣長が説く「神信仰」…神道の本当の姿に迫る
日本の特性とは何か~「日本的」の本質(5)鋭い感性と深い精神性
田口佳史(東洋思想研究家)
日本の特性として、森林・山岳・海洋・島国国家という地理的特性を理解するべきだと田口佳史氏は言う。今回はこの中から森林・山岳性を取り上げる。日本の森林・山岳性から見えてくるのは日本ならではの神道である。世界でも稀有な日本の「神信仰」は、いわば自然の中に神を感じるもの。こうした信仰に根ざした「鋭い感性と深い精神性」が、日本を語るにあたり、欠かせないキーワードである。(全7話中第5話)
時間:11分31秒
収録日:2020年1月8日
追加日:2020年5月27日
≪全文≫

●地理的特性で「日本とは何か」を考える


 3番目に挙げたいキーワードですが、そうなるとやはり「自然との共生」というのが非常に重要になるんだなということであります。そういう意味で、キーワードはそのぐらいにして、正式に、「日本とは何か」ということに触れておきたいと思います。

 日本とは何かというと、日本を語る語り方はいろんな方法がありますが、非常にフェアに語る語り方は何かということです。フェアと言っているのは、要するに自己流、例えば田口流で私しか通用しないような、そういう観点でいうわけではなく、誰しもが納得する方法で日本を語るということです。

 それは地理的特性ということでお話をするというしかありません。地理的特性とは、要するに日本の地理の特性のことですから、今、この場所のことで、場所を変えようとしても変えられない。場所が変わらないということは風土も変わらないということです。ですから、そういう意味でまず日本の地理的特性の第一は、森林・山岳・海洋・島国国家という地理的特性のことです。

 これはとっても重要なテーマですから、再三再四、この講座でもみんなで考えてみたいと思います。今回はそこをまず理解していただくために、森林・山岳だけ取り上げます。森林・山岳からわれわれはどういう伝統が生まれたのかということを解説しておきたいと思うんですが、森林・山岳性からは2つ挙げておきます。


●神の発見と本居宣長


 まず第一の伝統ですが、先ほどから言っている神の発見です。これは日本は神道の国であるということで、間違いないと思います。しかし、神道という言い方は江戸時代に話すんだったらそれでいいんですけど、現代において、神道というともう国家神道ということになってしまうわけです。私が言っている神道は、国家神道という意味での神道じゃない。どっちかというと神信仰、要するに古代日本に生きていた信仰心としての神道を申し上げているのです。

 なぜ、そういうふうにことわらなきゃいけないのかというと、戦争中の軍部の勝手極まりない解釈によって、神道というものの本当の姿が大きくねじ曲げられて理解されているからです。

 私は、そういう意味で、どこに立ち返って神道を論ずるべきかというと、本居宣長です。彼が説いているのは『古事記』で、これを「ふるごとふみ」と読んでいます。『ふるごとふみ』における...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
平和の追求~哲学者たちの構想(1)強力な世界政府?ホッブズの思想
平和の実現を哲学的に追求する…どんな平和でもいいのか?
川出良枝
もののあはれと日本の道徳・倫理(1)もののあはれへの共感と倫理
本居宣長が考えた「もののあはれ」と倫理の基礎
板東洋介
楽観は強い意志であり、悲観は人間の本性である
これからの時代をつくるのは、間違いなく「楽観主義」な人
小宮山宏
逆境に対峙する哲学(1)日常性が「破れ」て思考が始まる
逆境にどう対峙するか…西洋哲学×東洋哲学で問う知的ライブ
津崎良典
禅とは何か~禅と仏教の心(1)アメリカの禅と日本の禅
自発性を重んじる――藤田一照師が禅と仏教の心を説く
藤田一照
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二

人気の講義ランキングTOP10
「アメリカの教会」でわかる米国の本質(1)アメリカはそもそも分断社会
「キリスト教は知らない」ではアメリカ市民はつとまらない
橋爪大三郎
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(2)秀吉の実像と「太閤神話」
秀吉・秀長の出自は本当は…実像は従来のイメージと大違い
黒田基樹
平和の追求~哲学者たちの構想(6)EU批判とアメリカの現状
理想を具現化した国連やEUへの批判がなぜ高まっているのか
川出良枝
戦争とディール~米露外交とロシア・ウクライナ戦争の行方
「武器商人」となったアメリカ…ディール至上主義は失敗!?
東秀敏
熟睡できる環境・習慣とは(1)熟睡のための条件と認知行動療法
熟睡のために――自分にあった「理想的睡眠」の見つけ方
西野精治
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
生成AI「Round 2」への向き合い方(1)生成AI導入の現在地
生成AIの利活用に格差…世界の導入事情と日本の現状
渡辺宣彦
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
組織心理学とは何か~『武器としての組織心理学』と概論
なぜ組織に「心理学」が必要か?多様化と個の時代の処方箋
山浦一保
逆境に対峙する哲学(1)日常性が「破れ」て思考が始まる
逆境にどう対峙するか…西洋哲学×東洋哲学で問う知的ライブ
津崎良典