日本の特性とは何か~「日本的」の本質
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
現代経営に生かしたい松尾芭蕉の創造論とは
日本の特性とは何か~「日本的」の本質(2)日本的経営と松尾芭蕉の創造論
田口佳史(東洋思想研究家)
日本のアイデンティティ、特性を現代経営に生かすには、松尾芭蕉の創造論を大いに参考にするべきだと田口佳史氏は説く。芭蕉の創造論は、普遍的な歌心を持って四季の変化に敏感になることを旨とする。よって、現代のビジネスパーソンに必要なのは、芭蕉のいう歌心、つまり時代に敏感になる、新しい流れを見つける力だが、現代の日本には時代に敏感な人が非常に少ないという。(全7話中第2話)
時間:10分22秒
収録日:2020年1月8日
追加日:2020年5月6日
≪全文≫

●明治維新という転換に欠けていたもの


 整理して言うと、明治維新は必ずしも、私の個人的意見ではありますが、完璧な転換ではなかったということです。どこが完璧でなかったかというと、日本人の日本人による日本的な改革でなかったというところです。それが、それから100年以上たった後で振り返ると、350万人の死者を出すというような、敗戦国家という、そういう状況に突き進むということになった淵源じゃないかと思うのです。ここは非常に慎重に考えてみる必要があるので、今回の転換に関しては、真っ先にアイデンティティを問うということをやらないと、また同じことを繰り返すんじゃないかということを私は言っているのです。ここが1つポイントです。

 それからもう1つポイントがあります。明治5年からの法の転換というものですが、これにより近代法へどんどんどんどんと変えていきました。その象徴として、旧体制である江戸の風情というものがどんどんなくなっていきました。ですから、江戸の風情を懐かしむ、そういう人たちというものの反抗というものが出てくる。それを西郷南洲(西郷隆盛)は全部一緒に抱きかかえて、あの世に行きました。こういう人がいたということです。

 さらにその旧体制の残滓を整理するということを、今やらなければいけないのです。それと同時に、もう1つは新しい息吹を起こさなきゃいけない。ですから、新しい殖産興業の時代が来たんだと、皆さんに思っていただいたらいいんじゃないかと、私は考えています。


●現代経営に生かしたい松尾芭蕉の創造論


 そこで、このシリーズ講義ですが、大テーマは「日本的を現代経営に生かす」ということで、特に「現代」というのが「経営」の前に付いていいます。これは松尾芭蕉が、私は芭蕉が好きで芭蕉のお話を再三いろんなところでしておりますが、芭蕉というのはなぜ注目した方がいいかというと、ある種ものすごいヒットメーカーなのです。もう芭蕉の句というので駄作というのはほとんどないんじゃないかというぐらいに、彼の出した作品はほとんど大ヒット作品といえるでしょう。阿久悠氏(作詞家)なども及ばないぐらいのヒットメーカーです。

 なぜ彼はそれだけのヒットを出せたのか。この芭蕉の創造論というのは、絶対知っておいたほうがいい。「造化(ぞうか)にしたがひて四時(しいじ)を友とす」というのが、これが芭蕉の根幹なん...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
世界神話の中の古事記・日本書紀(1)人間の位置づけ
世界神話と日本神話の違いの特徴は「人間の格づけ」にある
鎌田東二
ヒトはなぜ罪を犯すのか(1)「善と悪の生物学」として
ヒトが罪を犯す理由…脳の働きから考える「善と悪」
長谷川眞理子
「50歳からの勉強法」を学ぶ(1)大人の学びの心得三箇条
大人の学び・3つの心得=自由、世間が教科書、孤独を覚悟
童門冬二
道徳と多様性~道徳のメカニズム(1)既存の道徳の問題点
多様性の時代に必要な道徳とは…科学的アプローチで考える
鄭雄一
渡部昇一の「わが体験的キリスト教論」(1)古き良きキリスト教社会
古き良きヨーロッパのキリスト教社会が克明にわかる名著
渡部玄一
「アメリカの教会」でわかる米国の本質(1)アメリカはそもそも分断社会
「キリスト教は知らない」ではアメリカ市民はつとまらない
橋爪大三郎

人気の講義ランキングTOP10
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(1)北斎の画狂人生と名作への進化
葛飾北斎と応為…画狂の親娘はいかに傑作へと進化したか
堀口茉純
中国共産党と人権問題(1)中国共産党の思惑と歴史的背景
深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質
橋爪大三郎
プロジェクトマネジメントの基本(2)プロジェクトの複雑性とマネジメント
コスパが鍵!? 顧客満足につながる品質マネジメントとは
大塚有希子
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
健診結果から考える健康管理・新5カ条(1)血管をより長く守ることが重要な時代
健康診断の結果が悪い人が絶対にやってはいけないこと
野口緑
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
歴史の探り方、活かし方(1)歴史小説と史料探索の基本
日本は素晴らしい歴史史料の宝庫…よい史料の見つけ方とは
中村彰彦
徳と仏教の人生論(1)経営者の条件と50年間悩み続けた命題
宇宙の理法――松下幸之助からの命題が50年後に解けた理由
田口佳史
学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(1)数が理解できない子どもたち
なぜ算数が苦手な子どもが多いのか?学力喪失の真相に迫る
今井むつみ