米国派経済学の礎…ハミルトンとクレイ
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ハミルトン経済学の継承者クレイのビジョンと歴史的影響
米国派経済学の礎…ハミルトンとクレイ(2)クレイの米国システム
東秀敏(米国大統領制兼議会制研究所(CSPC)上級フェロー)
歴史への回帰――トランプ第2次政権がその復活を標榜するのは、1820年代に登場したヘンリー・クレイの「米国システム」だった。そこには高関税、国内インフラの開発、第二合衆国銀行の設立という3つの柱があった。それによって、19世紀に果たされたアメリカの工業化と安定的な経済成長を、データをもとに確認しながら、アメリカ経済の礎たるゆえんを明らかにする。(全2話中第2話)
時間:13分53秒
収録日:2025年5月15日
追加日:2025年7月15日
カテゴリー:
≪全文≫

●ハミルトン経済学の継承者、ヘンリー・クレイ


 次に1世代後に台頭したのがヘンリー・クレイという議員、そして国務長官を務めた者です。彼の時代背景というのは、1812年から1815年にまたイギリスとアメリカが戦争をしていまして、この「米英戦争」の禍根が色濃く残る1820年代に彼は登場するのです。

 国家の負債を見てみますと、1812年、(米英戦争)開戦前のアメリカのGDPに占める負債の割合は、3パーセントです。これはよく考えると、建国当時はGDPの53パーセントも負債を抱えていたのですけれど、3パーセントにも減っているのです。いかにハミルトン経済国がアメリカの負債の軽減に貢献したかということを示すものですけれど、やはりイギリスが介入して、また戦争をしたことで、(米英戦争)終戦直後の1816年の負債の割合は、GDPの10パーセントまで増えているのです。

 問題意識として当時あったのが、再び欧州列強による対米戦争の回避および国内統一のために何をするべきなのかです。

 外交では当時のモンロー大統領が「モンロー宣言」を発表して、アメリカのカリブ海を独占する、そしてヨーロッパの排除をするスタンスを取ったのです。経済においては、かなり国内統一という課題が残っているわけなのです。

 特にこの時代になると、例えばオハイオ、イリノイ、こういう中西部の州が開拓の対象になって新しい州として編入されるわけなのですが、そのときに工業化を選ぶのか、奴隷制を選ぶのか、これが喫緊の課題としてありました。

 米英戦争のときに、大英帝国はこの中西部のフロンティアにまだ存在したインディアン(ネイティブ・アメリカン)を懐柔して、イギリスと同盟を組むような戦略を実施しました。そしてこれで、当時イギリスの敵国であったアメリカの政権転覆を図ったという事例もあります。

 なので、まだこういう記憶が新しいときに、「国内統一はどうやってするべきか」というのは喫緊の課題としてあり、ここでクレイのようなハミルトン経済学を継承する人たちは、中西部の工業化で米国国内に南部の綿貿易の市場開拓を促す必要性も問題意識として持っていました。

 南部がまだ工業化に反対していたので、彼らをどうやってイギリスから隔離させるかという問題意識もありました。


●米国システム3つの柱



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