死と宗教~教養としての「死の講義」
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キリスト教の死生観…カトリックとプロテスタントの違い
死と宗教~教養としての「死の講義」(2)キリスト教の「死」
哲学と生き方
橋爪大三郎(社会学者/東京科学大学名誉教授/大学院大学至善館教授)
一神教の考え方は、神が万物を創造したところから始まる。世界も生き物もみな、神の被造物だから、生き死にも神の意思のまま。では、この世界の終わり(終末)には何が待っているのか。キリスト教の死生観をのぞいてみよう。(全7話中第2話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:16分22秒
収録日:2022年3月3日
追加日:2022年4月18日
カテゴリー:
≪全文≫

●一神教の神と世界の終わり、復活の考え方


―― それでは各宗教の「死」を見ていきます。最初に、キリスト教が「死」をどう考えているかについてお聞きします。

 キリスト教は一神教です。日本の伝統や仏教の考え方とはだいぶ違うだろうと思います。ひとことで言うとどういう考え方なのでしょうか。

橋爪 一神教の考え方では、神(God)がいます。Godは永遠の昔からいて、永遠の未来まで、死なないで生きている生命体です。

 さて、そのGodがあるとき世界を造りました。それから何年か経過したのが現在です。あとしばらくすると、世界は壊れてしまいます。

―― 壊れてしまうのですか。

橋爪 壊れてしまいます。世界は「被造物」で、神が造ったものはすべて有限です。だから、壊れてなくなってしまいます。

―― 世界そのものが有限ということになるのですね。

橋爪 そうです。その中にいる人間の時間は、もっと短い。神が造ったから生まれたのですが、しばらくすると死んでしまいます。しかし、人間は死ぬのが終わりではありません。そうではなく、世界が終わるとき(終末)に、人間は復活するのです。

―― 復活するわけですか。

橋爪 死んでいたのが、新しい肉体を与えられて、また存在するようになるのです。


●「最後の審判」で裁かれる


―― キリスト教では、イエス・キリストが復活したといいますが、それはひとつの象徴的な事例なのでしょうか。

橋爪 キリスト(イエス)が復活したのは、みんなも復活しますと約束し、保証するため。イエスは新しい肉体をえて、弟子たちのところに現れます。そして、体がある証拠に魚をむしゃむしゃ食べてみせたりして、40日たったところで天に昇って行きました。

 今イエスは天にいて、父なる神の隣に座っています。そしてこの世界が終わるときにまたやってきます、大勢の天使を連れて。そのときには、地上にある国々は解散になります。

―― 解散ですか。

橋爪 ええ。日本国も解散します。当然、企業はみんな解散するし、人びとはバラバラの個人になってしまう。それから、死者たちが大勢復活して、出てきます。彼らは順番に並んで、一人ひとり裁かれます。救われたひとは神の国へ、そうでないひとは永遠の炎で焼かれる。どちらかに決まるのです。

 日本人は、裁判はいやだな、と思う。でもこれは、人間の特権なのです。終末...

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