死と宗教~教養としての「死の講義」
この講義シリーズは第2話まで
登録不要で無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
6,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
仏教の根本は真理を覚ること…では真理とは何か?
死と宗教~教養としての「死の講義」(3)仏教の「死」・インド編〈上〉
橋爪大三郎(社会学者/東京工業大学名誉教授/大学院大学至善館教授)
仏教の始まりはインドにある。その考え方の根本は「因果法則」であり、出来事が生命を超えたスケールで連鎖することにある。そして、この法則に従って、自分はいま命を与えられていると理解し、その法則に合致した生き方をするのが正しい生き方なのである。(全7話中第3話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:10分47秒
収録日:2022年3月3日
追加日:2022年4月25日
カテゴリー:
≪全文≫

●真理を覚って仏になる


―― 橋爪先生、今回は仏教の死生観について、お話をお聞きしたいと思います。仏教の歴史は非常に長いので、最初にゴータマ・シッダールタ(釈尊)が説いた考えから日本に来る間に、いろいろな変化があったと思います。そもそもゴータマがどのように死を考えたのか、というあたりから教えていただけませんか。

橋爪 ゴータマはインド人で、中国のことも日本のことも全然知りませんでした。世界のことをインド風に考えた人で、世界の見方としてはバラモン教やヒンドゥー教とほぼ同じです。違うところは、ほんの少しです。

―― なるほど。前回のキリスト教の場合は、全知全能の神が人間の生き死にの全てを知っているということでしたが、ゴータマの場合は、また別の考えかたなのですね。

橋爪 一神教ではないわけですから、別の考え方です。

 仏教の根本は真理を覚ることです。真理を覚ることを、仏になる(成仏する)といいます。これが目的です。成仏するためには真理を覚らなければいけない。真理を覚るためには真理がなければいけない。真理があると考えなければいけません。

 では真理とは何か。この世界を貫いている法則です。世界を貫いている法則とは、因果法則です。

 因果とは、原因と結果です。出来事と出来事と出来事がずっとつながり、決まったパターンで起こっていくことを、因果というのです。

―― キリスト教が、すべては神の意思によると考えていたのと随分違いますね。


●真理は生命より本質的


―― 仏教の場合、いろいろなものが因果関係で動いていくという認識になるわけですね。

橋爪 そうですね。それはそうなのですが、この因果関係がいつ始まったかというと、始まりがない。始まりがあれば、究極の原因があるわけです。例えばビッグバンみたいに。ある出来事があって、そこからいろんなことが起こってきたと言えば済むわけですが、インドの因果論には、始まりがありません。

 それから、因果関係が続いて行ったその果ての、終わりもない。終わりがあれば、それが最終目的のようになりますが、その終わりがない。

―― そうすると、最後の審判のようなこともないわけですか。

橋爪 ええ。最後の審判もない。神もいない。天地創造もない。ただ出来事が規則的にずっと続いていくだけ、という考え方が因果法則で、これが真理です。

 こうい...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
日本人が知らない自由主義の歴史~後編(1)ニューリベラリズムへの異議
ハーバート・スペンサーとダイシー…20世紀の危機の予言者
柿埜真吾
人生に活かす東洋思想(1)人生の成功とは何か
東洋思想の「徳」や「道」をわかりやすくいうと?
田口佳史
「ホメロス叙事詩」を読むために(1)ホメロスを読む
2700年前のホメロスの叙事詩が感動を与え続ける理由
納富信留
AI時代にリベラルアーツがなぜ必要か(1)AIに置き換わる仕事と人間がやる仕事
AI時代にリベラルアーツがなぜ必要か…人間がやるべきこととは?
橋爪大三郎
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(1)物語の構造を読み解くおもしろさ
『オデュッセイア』の面白さの秘密を神話の構造から読み解く…なぜ波乱万丈の神話が人間の創作の源泉になったか
松村一男
「アメリカの教会」でわかる米国の本質(1)アメリカはそもそも分断社会
「キリスト教は知らない」ではアメリカ市民はつとまらない
橋爪大三郎

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2026(38)アメリカ中間選挙と民主主義
【10min解説】第2期のトランプ大統領と中間選挙を考える
テンミニッツ・アカデミー編集部
仏教とキリスト教が照らし出す日本の宗教(1)神とは何か、そして天皇とは?
日本と世界の「神と信仰」の違いは?…そして天皇の大切な役割
橋爪大三郎
ロシア人の見る「ロシアの歴史」(4)アレクサンドル・ネフスキーの英雄化
ロシアの英雄「アレクサンドル・ネフスキー」はなぜ英雄か…ドイツ騎士団と戦った歴史がどう利用されたか
上月豊久
大統領に告ぐ…硫黄島からの手紙の真実(2)翻訳に込めた日米の架け橋への夢
アメリカ人の心を震わせた20歳の日系二世・三上弘文の翻訳
門田隆将
民主主義の本質(1)近代民主主義とキリスト教
なぜ民主主義が「最善」か…法の支配とキリスト教的背景
橋爪大三郎
「満洲」から考える日本とアジア(1)「満洲」を知る意義とは
「満洲史」はなぜ現代日本でタブー視されるのか?…王道楽土の夢とアヘンなどの裏面から見えてくる現代への教訓
宮脇淳子
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(8)『オデュッセイア』の世界的影響
オデュッセイアが物語のフォーマット?…アラビアンナイトから百合若物語、ひまわりまで
松村一男
今後の技術革新と企業経営(6)仮想通貨とフィンテック
仮想通貨が本当の「通貨」にならない理由
柳川範之
高齢者のフレイル・認知症とその予防対策(1)老年病科と高齢者の疾患・病態の特徴
頻尿、低栄養、転倒、誤嚥、フレイル…増える老年症候群と高齢者の疾患・病態の特徴
小川純人
資本主義の再定義…哲学で考える(1)アダム・スミスの「市場と感情」
資本主義を哲学する…まずアダム・スミスの見えざる手と道徳感情論
中島隆博