禅とは何か~禅と仏教の心
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
禅に「神秘体験」を求めるのは自分中心の物欲しさの根性
禅とは何か~禅と仏教の心(3)菩提達磨と問いの禅
藤田一照(曹洞宗僧侶)
仏教には「今ないものを欲しがり、今より向上しよう」とする人間の根本的構造に間違いがあるという認識がある。中でも特に実践が主体の禅はそのことに厳しい。それは第一ボタンのようなもので、掛け違えると最後にいくらがんばっても帳尻が合わない。だから、禅の始祖・菩提達磨に弟子入りするため臂を切断した逸話のように、第一ボタンまでさかのぼる覚悟が禅の修行には要求される。答えではなく問いが返ってくるのが禅なのだ。(全7話中第3話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:10分25秒
収録日:2024年8月9日
追加日:2025年1月27日
カテゴリー:
≪全文≫

●仏教に逆行する「今ないもの」への欲望と行動


―― (最初の2回で)歴史や歩みについてうかがったところで、いよいよ「禅とは何か」にいきたいと思います。

 先の話で、先生から非常に印象深い言葉がありました。「悟りというのは神秘的な体験などではなく、自分の生きる道が定まるということ」というお話でした。一般の人は、禅をする=坐禅を組むことで、何か神秘的な体験がやってくるのではないか(と思われている)。悟りというのは、イメージもできないけれどとてつもない何かに出会えるような…。

藤田 「いいもの」だと。

―― 境地ということですね。それをめざしてやるものなのか、それが修行なのか。そう先生が問われた通りのイメージを持っている人も多いと思いますが、これは違うのですか。

藤田 違うと思いますね。だいたいそういうのは「物欲しさの根性」ではないですか。

―― そうですね(笑)。

藤田 「これさえあれば、僕は素晴らしくなる、もっとマシになる、悩みがなくなる」というようなのは、みな「僕が」ということが前に出ています。この「僕が」が問題なわけです。多くの場合、私たちは何か学ぼうとかしようと思うときに、それは「この自分の得になるから」という意識がある。

 もちろんそれは「お腹いっぱいになる」とか「女の人にもてる」といった俗っぽいものではないかもしれません。もう少し高尚なものを求める心かもしれませんが、それでもやはり「今はないものを欲しがっている」ことに変わりはありません。

 「今ないものを欲しがり、それを目標として、何かいい方法を学び、欲しいものを手に入れて喜ぶ」という構造には変わりがない。そして、仏教の中には、そういう構造自体が人間の大きな問題だという認識があるのです。


●第一ボタンを掛け違えると、がんばっても帳尻が合わない


藤田 中でも特に禅はそれを問題にしていると私は思っています。だから、この構造自体をいったん停止するというか、そうではない生き方をすることが課題なわけです。

 でも、私たちはきちんと学んでいないかぎり、この構造自体を疑うことは普通ほとんどない、吟味することもないから、全てをこの構造の中で考えています。だから、皆さんは一所懸命、坐禅したり修行されたりしていますが、「修行すると何が手に入るのですか」というようなことを質問する人が多いわけです。

...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
プラトン『ポリテイア(国家)』を読む(1)史上最大の問題作
全米TOP10大学の必読書1位が『ポリテイア(国家)』
納富信留
プラトン『ソクラテスの弁明』を読む(1)真実の創作
プラトンの『ソクラテスの弁明』は謎多き作品
納富信留
日本人が知らない自由主義の歴史~後編(1)ニューリベラリズムへの異議
ハーバート・スペンサーとダイシー…20世紀の危機の予言者
柿埜真吾
『「甘え」の構造』と現代日本(1)「甘え」のインパクト
『「甘え」の構造』への誤解…甘えはダメなものなのか?
與那覇潤
今こそ問うべき「人間にとっての教養」(1)なぜ本を読むことが教養なのか
『人間にとって教養とはなにか』に学ぶ教養と本の関係
橋爪大三郎
インド神話の基本を知る(1)インドの特性と神話の成り立ち
インド神話…『リグ・ヴェーダ』『マハーバーラタ』の壮絶な物語
鎌田東二

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2026(32)鎌田東二先生の法華経講義解説-1
【10min名作探訪】鎌田東二先生の『法華経』講義の核心ビジョン
テンミニッツ・アカデミー編集部
「満洲」から考える日本とアジア(1)「満洲」を知る意義とは
「満洲史」はなぜ現代日本でタブー視されるのか?…王道楽土の夢とアヘンなどの裏面から見えてくる現代への教訓
宮脇淳子
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(1)物語の構造を読み解くおもしろさ
『オデュッセイア』の面白さの秘密を神話の構造から読み解く…なぜ波乱万丈の神話が人間の創作の源泉になったか
松村一男
仏教とキリスト教が照らし出す日本の宗教(5)「原則なし」の日本
世界は「原則」でできているが、日本は「原則はなし」にする
橋爪大三郎
おもしろき『法華経』の世界(1)法華経はSFだ!
法華経はSFだ!…心を元気にしてくれる法華経入門
鎌田東二
日本人が知らない自由主義の歴史~前編(1)そもそも「自由主義」とは何か
消極的自由と積極的自由?…なぜ自由主義がわかりづらいか
柿埜真吾
Microsoft Copilot~AIで仕事はどう変わるか(7)AI活用の落とし穴
AIへの不安と懸念…だからこそ「教養」が必要になる
渡辺宣彦
本当によくわかる経済学史(1)経済学史の概観
経済学史の基礎知識…大きな流れをいかに理解すべきか
柿埜真吾
中国史概説~『皇帝たちの中国』を読む(1)なぜ「中国史はつまらない」のか?
驚きの中国史~「中国史はつまらない」という通説の裏の波乱の真実
宮脇淳子
「ホメロス叙事詩」を読むために(1)ホメロスを読む
2700年前のホメロスの叙事詩が感動を与え続ける理由
納富信留