禅とは何か~禅と仏教の心
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
火箸で考える…「空」は奪う教え、「縁起」は与える教え
禅とは何か~禅と仏教の心(5)空と縁起
藤田一照(曹洞宗僧侶)
火箸を通して縁起を説明するのが一照師のやり方だ。囲炉裏に刺された火箸は、使い方によっては武器にも孫の手にも、さらには筆記用具にもなる。どんなものも使い手の行為と無関係ではないということだ。人間も同様で、さまざまな役割をはぎ取った真の私は存在しない。それが縁起の世界観であり、はぎ取るのが「空」、与えるのが「縁起」。仏教用語では「掃蕩門」と「建立門」にあたるその意味について解説する。(全7話中第5話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:10分35秒
収録日:2024年8月9日
追加日:2025年2月10日
カテゴリー:
≪全文≫

●「火箸」は何に使えるか、関係性で縁起を理解


藤田 「空」の話が出たからいいますが、例えば火箸、これを火箸だと私たちは思っていますが、置いていたら火箸ではない。私がこれをこうするから火箸になっているわけで、私の行為抜きに無関係に火箸があるのではない。例えば、もし私がこれをこうやって(突くまね)したら……。

―― 武器になってしまいますね。

藤田 武器になってしまうし、こうやって(背中を)掻いたら何?

―― 孫の手になりますね。

藤田 孫の手になる。そして、こうして字を書いたら、ほら、筆記用具になるわけです。

―― はい。

藤田 そのように、これを火箸にしているのは、私の行為と無関係ではないわけですよね。こういうことが、縁起的な理解の仕方です。

 それで「火箸さ」というか「火箸性」はこれ(=火箸)にあるわけではなく、私の行為がそれを生みだしている。こういうのは関係の中で生まれてくるわけじゃないですか。置いてしまうと、これは何物でもないし、美術品でもいいわけです。

―― そうですね。

藤田 そうです。例えば骨董品屋さんが来て「これはいくらぐらい」と値踏みすればそういうものだし、私は「これはどこで買ったのだろう」と思ったりする。関係次第で全く違うものになる。そういうことを抜きに、これが単独で「火箸している」わけではない、「火箸である」わけではないという理解の仕方ができるわけです。


●私はどんな存在か。役割を奪い、与える「空と縁起」


藤田 さらに、それは火箸の話に留まらず、自分自身に関しても同じように考えていける。

―― 会社の中で働いていれば会社員だけれど、よく言われるように、例えば子どもがいれば、父親なり母親になると。

藤田 そうです。

―― 全然役割が違うではないか、と。

藤田 そうです。ですから、それらと別に、そういうものとはいっさい関係のない「私」みたいなものがコロッとあるわけではないのです。どれも私だし、どれも全てではない。そういう見方を自分にもしないといけないし、人にもしないといけない。そういうのが空という考え方であり、空は否定的な側面をいっていて、「縁起」はその肯定的な側面です。「そういうあり方で、あなたがある」というような言い方ですね。

 だから、空は奪うための道具で、縁起は与えるための道具。

―― そこが違うわけですか。「...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
もののあはれと日本の道徳・倫理(1)もののあはれへの共感と倫理
本居宣長が考えた「もののあはれ」と倫理の基礎
板東洋介
学びとは何か、教養とは何か
教養の基本は「世界史」と「古典」
本村凌二
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二
人の行動の「なぜ」を読み解く行動分析学(1)随伴性
「なぜ人は部屋を片付けられないか」を行動分析学で考える
島宗理
「心から幸せになるためのメカニズム」を学ぶ(1)心理学研究と日本の幸福度
実は今、「幸せにも気をつける」べき時代になっている
前野隆司
「50歳からの勉強法」を学ぶ(1)大人の学びの心得三箇条
大人の学び・3つの心得=自由、世間が教科書、孤独を覚悟
童門冬二

人気の講義ランキングTOP10
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(序)時代考証が語る『豊臣兄弟!』の魅力
2026年大河ドラマ『豊臣兄弟!』秀吉と秀長の実像に迫る
黒田基樹
戦略的資本主義と日本~アメリカの復活に学ぶ5つの提言
戦略的資本主義とは?日本再生へアメリカに学ぶ5つの提言
片瀬裕文
「次世代地熱発電」の可能性~地熱革命が拓く未来
地熱革命が世界を変える――次世代地熱の可能性に迫る
片瀬裕文
定年後の人生を設計する(1)定年後の不安と「黄金の15年」
不安な定年後を人生の「黄金の15年」に変えるポイント
楠木新
逆境に対峙する哲学(7)試練と祟りと弱さの力
モンテーニュの告白「学が邪魔をすることがある」と百姓の力
津崎良典
「進化」への誤解…本当は何か?(2)「進化論」対「創造論」
「進化論」対「創造論」…アリストテレスの目的論とは?
長谷川眞理子
百姓からみた戦国大名~国家の本質(1)戦国時代の過酷な生存環境
戦国時代、民衆にとっての課題は生き延びること
黒田基樹
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
新しい循環文明への道(1)採掘文明から循環文明へ
2026年頭所感~循環文明の「三つの柱」…いよいよ実現へ
小宮山宏
エンタテインメントビジネスと人的資本経営(1)ソニー流の多角化経営の真髄
ソニー流「多角化経営」と「人的資本経営」の成功法とは?
水野道訓