禅とは何か~禅と仏教の心
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坐禅で自分を「非社」にして、あらゆる機会を学びにする
禅とは何か~禅と仏教の心(7)非社とオーガニック・ラーニング
藤田一照(曹洞宗僧侶)
坐禅をするのは「非社」になること――非社とは、社会を否定しているわけではなく、名刺にあるような社会的次元を超えている状態を指す。例えば、XとYの座標でいえば、自分の状態をその中に位置づけることができるのは座標上の原点があるからで、その原点が非社だという。よって、今の置かれた立ち位置からいったん離れてみる、自由になることが大事で、その体験ができるのが禅の修行である。禅は学びであり、あらゆる機会が学びになるという「オーガニック・ラーニング」の考え方につながるのだ。(全7話中第7話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:11分31秒
収録日:2024年8月9日
追加日:2025年2月24日
カテゴリー:
≪全文≫

●一般人を禅にいざなう「非社」と「帰家穏座」


―― (これまで語っていただいたような)坐禅や禅の世界を、働いていたりする「普通の人たち」が取り入れるための話として、先生の言葉で非常に印象深かったのが「非社」というものです。禅や坐禅をするというのは、その非社になることだといわれた。

藤田 「反社」をもじって付けたのですが、反社ではない。「非」は「非ず」で「超越している」という意味です。向こうにあるものに反対するのは「反」ですが、「非」というのは、「AかBか」「きれいか汚いか」という次元を一つ超えている。「メタ」といってもいいのですが、別に(社会を)否定しているわけではありません。

 普通、私たちは社会的な次元で「自分はこういう人間だ」と思っているのではないでしょうか。しかし、それとは違う次元で存在している自分もいる。そういう本体のようなものへ帰るのが坐禅だと私は思っています。「本当の家に帰る」という意味で、坐禅の異名(ニックネーム)を「帰家穏坐」といいます。それは、「私たちが家だと思っているのは仮の家だ」ということです。

 例えば、社会の中の藤田一照は曹洞宗の僧で、70歳で男である。そのような履歴書に書く事柄(属性)を私だと思っているわけです。多くの人は名刺にいろいろ書いて、「こういうものです」と言って出している。それに対して、本当は「え、紙? これがあなたですか」と問わなければいけません。「あなたは、これだけですか」と問わなければいけない。これは今までのヒストリーかもしれないが、今はどうなのか。例えば、禅の人であれば、「これに書いていない自分を見せてみろ」というわけです。そういうことはあります。

―― なるほど。

藤田 例えば、山の中に一人ポツンと置かれたときのあなたは、ここにありますかと問う。こういう山奥は、肩書きがいっさい通用しない場所ですし、そこまでいかなくても、そこ(の裏山)に入ったら、○○会社の△△部長という肩書きは意味がないじゃないですか。


●原点としての「非社」なしに、自分の位置は定まらない


藤田 先ほどのこれ(火箸)と同じで、ここにポンと置いたとき、私が火箸として使わないときの「これは何か」というような問いです。答えがあるのではなく、「何? 何だ?」と問うしかない、なんとも名付けようのないものが、「非社」ということばで指し示そうとして...

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