空海の真髄
この講義シリーズは第2話まで
登録不要で無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
6,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
十住心とは何か――迷いの世界から大日如来の心の世界へ
空海の真髄(3)十住心と大日如来の心の世界
鎌田東二(京都大学名誉教授)
十住心とは、十の意識のグラデーションないし心の十段階のことで、『秘蔵宝鑰』はそれを教相判釈的に解説している。中でも第十は大日如来の心の世界、すなわち秘密荘厳心が最上にして最大の包的な心の頂点と考える。今回は十住心の十の段階について具体的にひも解いていく。(全7話中第3話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:9分22秒
収録日:2024年8月26日
追加日:2024年11月16日
≪全文≫

●仏教に至る前の三つの段階から


鎌田 それら(『秘蔵宝鑰』)の各段階の序文に詩文が入ります。

 十の段階を具体的にひも解くと、「異生羝羊心」(いしょうていようしん)、「愚童持斎心」(ぐどうじさいしん)、「嬰童無畏心」(ようどうむいしん)、「唯蘊無我心」(ゆいうんむがしん)、「抜業因種心」(ばつごういんじゅしん)、「他縁大乗心」(たえんだいじょうしん)、「覚心不生心」(かくしんふしょうしん)、「一道無為心」(いちどうむいしん)、「極無自性心」(ごくむじしょうしん)。最後の第十段階が「秘密荘厳心」(ひみつしょうごんしん)です。

 これらをコンパクトに説明すると、一番低いのは輪廻する迷いの世界の中にあるものですから、「羝羊」という羊をイメージした用語を使っています。異生羝羊心は、まだ倫理的な目覚めも持っていないような、迷いの一番底にある低い段階の意識、心の構造です。

 そこに、他者に対する思いやりの心を持つような、次の段階が出てくる。愚かなる童が「持斎」の心、人に施す心を持ってくるので、第二段階は「愚童持斎」。いわば倫理の始まりということです。

 第三段階になると、だんだん悟りの世界に憧れたり、探求したりする心が生まれてくる。仏教的にいうと「発心」という宗教心や探求心の目覚めです。ここからだんだん、宗教や哲学的な世界に入っていこうとするわけです。

 そのうちに、「諸行無常」や「諸法無我」とかいったような仏教の哲学の哲理に目覚め、自分の存在には実体性がないと気づいていく。それが「唯蘊無我心」です。仏教の根本的な考えは、自己=セルフイメージについてのもので、私たちは本来的自己があるように思っている。しかし、自分があると思っているから、いろいろな執着や迷いが生まれてくる。そういうものは実は幻想であり、「無我」すなわち実体性はないのだ、という。生成変化し、縁起によって全部できているというのが仏教の認識になる。こうして、自我の実体性を否定する状態を第四段階に持ってきた。


●無常と無我から始まり、深まっていく仏教哲学


―― それが第四というのは、今のわれわれからすると、かなり高度なレベルに感じます。それが、まだ第四なのですね。

鎌田 はい。それまでの3段階では、例えばバラモン教やウパニシャッド哲学でのようなものが最初...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
人生に活かす東洋思想(1)人生の成功とは何か
東洋思想の「徳」や「道」をわかりやすくいうと?
田口佳史
日本人が知らない自由主義の歴史~前編(1)そもそも「自由主義」とは何か
消極的自由と積極的自由?…なぜ自由主義がわかりづらいか
柿埜真吾
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(1)物語の構造を読み解くおもしろさ
『オデュッセイア』の面白さの秘密を神話の構造から読み解く…なぜ波乱万丈の神話が人間の創作の源泉になったか
松村一男
「怒り」の仕組みと感情のコントロール(1)「キレる高齢者」の正体
「キレやすい」の正体とは?…ヒトの「怒り」の本質に迫る
川合伸幸
『孫子』を読む :計篇(1)「戦わずして勝つ」の意味
「戦わずして勝つ」ことを唱える『孫子』が注目される理由
田口佳史
資本主義の再定義…哲学で考える(1)アダム・スミスの「市場と感情」
資本主義を哲学する…まずアダム・スミスの見えざる手と道徳感情論
中島隆博

人気の講義ランキングTOP10
本番に向けた「心と身体の整え方」(1)ディテールにこだわる
トップアスリートが実践する「自分の高め方」とは…まず集中のスイッチを入れる方法は?
為末大
「満洲」から考える日本とアジア(9)アヘンの実態と満洲開発
満洲国の開発とアヘン問題…アヘンが資金源となったのは事実だが「同時代の世界」と比較せねば真実はつかめない
宮脇淳子
編集部ラジオ2026(35)鶴見太郎先生の公開収録を振り返る
【10min紹介】鶴見太郎先生の公開収録を振り返る・・・お寄せいただいた声
テンミニッツ・アカデミー編集部
高齢者のフレイル・認知症とその予防対策(4)認知症と共生社会の実現に向けた対策
その物忘れ、認知症かも…加齢による物忘れとの違いと一番大事なこと
小川純人
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(1)物語の構造を読み解くおもしろさ
『オデュッセイア』の面白さの秘密を神話の構造から読み解く…なぜ波乱万丈の神話が人間の創作の源泉になったか
松村一男
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(2)厳格な一神教と選民思想
一神教とは、選民思想の真相とは…ユダヤ教の「最終目的」を考える
鶴見太郎
小澤開作と満洲事変・日中戦争(1)少年時代の苦労と五族協和の夢
満洲で「五族協和」に命を懸けた小澤征爾の父・小澤開作
小澤俊夫
国家の利益~国益の理論と歴史(2)ペロポネソス戦争の教訓
国益の歴史…ペロポネソス戦争の教訓とトゥキディデスの罠
小原雅博
50代からの親の介護~その課題と準備(2)マネジメントとしての介護
介護を「プロジェクト」と捉え、マネジャーに徹すべし
太田差惠子
プラトン『ソクラテスの弁明』を読む(1)真実の創作
プラトンの『ソクラテスの弁明』は謎多き作品
納富信留