空海の真髄
この講義は登録不要で無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
この講義の続きはもちろん、
6,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
空海が主著『秘蔵宝鑰』で示した密教的世界観とは?
空海の真髄(2)主著『秘蔵宝鑰』と密教の世界観
鎌田東二(京都大学名誉教授)
『秘蔵宝鑰』は、『秘密曼荼羅十住心論(十住心論)』を淳和天皇の勅命により簡潔かつ印象的に説いた空海の主著である。秘密の蔵の宝の鍵を意味する「秘蔵宝鑰」では、密教と真言の世界に入り理解するため、冒頭に詩も添えられている。十住心は、人間精神の成長の段階であり、密教の世界観が込められているが、そこには空海の政治性も感じられるという。どういうことなのか。(全7話中第2話)
※インタビュアー:川上達史(TV編集長)
時間:10分18秒
収録日:2024年8月26日
追加日:2024年11月9日
≪全文≫

●勅命により密教的世界観を平易に記した『秘蔵宝鑰』


鎌田 さて、そういう中で、空海の主著とされるのが『秘蔵宝鑰(ひぞうほうやく)』です。視聴されている皆さまにもっとも手に入りやすいのは、角川ソフィア文庫の「ビギナーズ日本の思想シリーズ」の中のものです。

 空海については、加藤精一氏が口語訳付きでまとめたものが数冊あります。その中に『三教指帰』の巻、『秘蔵宝鑰』の巻、『弁顕密二教論』、「声字実相義」(しょうじじっそうぎ)、「吽字義」(うんじぎ)、「即身成仏義」(そくしんじょうぶつぎ)などなどの主著が入っています。(※『三教指帰』と『秘蔵宝鑰』は加藤精一氏の父の加藤純隆氏が以前に口語訳していたものを、加藤精一氏がさらに読みやすく口語訳したもの)

 口語訳でわりと分かりやすく、また廉価で手に入りやすい形で出版されているので。今回はそれらをもとにしながら話を進めていきたいと思います。

―― はい。

鎌田 『秘蔵宝鑰』は、空海が59歳の頃、西暦830(天長7)年頃に成立したのではないかと(いわれています)。

 淳和天皇(桓武天皇、平城天皇、嵯峨天皇、淳和天皇と続いてきた平安京の4代目の天皇)から、「密教の世界観を、分かるように説いたものを献上せよ」という勅命が下ったわけです。それに対して、空海は本当に力を込め、自分自身が持てる最高の知識・認識を詰め込んだ『秘密曼荼羅十住心論(十住心論)』というかなり分厚い書を書き上げて、提出します。

 ところが、これは密教の真髄を書いた、本当に高度な哲学書・宗教書でしたから、よく分からなかったわけです。

―― もらったほうも困ってしまうと。

鎌田 天皇も困ってしまう。

―― そうですね。

鎌田 こんなものを噛み砕いて読める人など、空海以外に一人もいないのです。だから、これをもらってよく分からなかった天皇は、「もう少し分かりやすく、短くコンパクトにまとめてくれ」というふうにして返してきた。

 そこで、それをベースにして、骨格は『秘密曼荼羅十住心論』なのですが、その核心部分の冒頭に詩を載せていく。

―― ここは詩なのですね。

鎌田 (それぞれの)冒頭に詩を載せて淳和天皇に再度、書き直したものを提出するわけです。それが、『秘蔵宝鑰』というタイトルになりました。

 以前の著作は『秘密曼...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
おもしろき『法華経』の世界(1)法華経はSFだ!
法華経はSFだ!…心を元気にしてくれる法華経入門
鎌田東二
『「甘え」の構造』と現代日本(1)「甘え」のインパクト
『「甘え」の構造』への誤解…甘えはダメなものなのか?
與那覇潤
AI時代と人間の再定義(1)AIは思考するのか
AIでは「思考の三位一体」が成立しない…考えるとは?
中島隆博
資本主義の再定義…哲学で考える(1)アダム・スミスの「市場と感情」
資本主義を哲学する…まずアダム・スミスの見えざる手と道徳感情論
中島隆博
『タテ社会の人間関係』と文明論(1)誤解を招いた「タテ社会」の定義
誤解された『タテ社会の人間関係』…日本社会の本質に迫る
與那覇潤
日本人が知らない自由主義の歴史~後編(1)ニューリベラリズムへの異議
ハーバート・スペンサーとダイシー…20世紀の危機の予言者
柿埜真吾

人気の講義ランキングTOP10
高齢者のフレイル・認知症とその予防対策(1)老年病科と高齢者の疾患・病態の特徴
頻尿、低栄養、転倒、誤嚥、フレイル…増える老年症候群と高齢者の疾患・病態の特徴
小川純人
「満洲」から考える日本とアジア(7)シベリア出兵と張作霖爆殺事件
軍閥割拠の中国は魑魅魍魎の世界…列強やコミンテルンの思惑も絡む中で翻弄される日本と張作霖爆殺事件の謎
宮脇淳子
編集部ラジオ2026(34)『オデュッセイア』の秘密と愉しみ
【10min解説】大ヒット映画『オデュッセイア』がもっと楽しくなる神話講義
テンミニッツ・アカデミー編集部
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(1)物語の構造を読み解くおもしろさ
『オデュッセイア』の面白さの秘密を神話の構造から読み解く…なぜ波乱万丈の神話が人間の創作の源泉になったか
松村一男
仏教とキリスト教が照らし出す日本の宗教(2)教義の宗教と覚りの宗教
キリスト教は教義の宗教、仏教は覚りの宗教…仏教はなぜ普遍宗教か
橋爪大三郎
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(5)恐るべき台湾への「浸透」
浸透工作…台湾でスパイ裁判が約70件、それも氷山の一角
垂秀夫
禅とは何か~禅と仏教の心(1)アメリカの禅と日本の禅
「禅とは何か」藤田一照師が禅と仏教の心を説く…自発性を重んじる
藤田一照
ピアノでたどる西洋音楽史(1)ヴィヴァルディとバッハ
クラシック音楽の歴史をピアノ演奏で辿る~ヴィヴァルディ四季
野本由紀夫
中国春秋戦国時代と始皇帝(序)映画『キングダム』の中国史監修
中国古代史の真実と『キングダム』…史実がわかれば物語はもっと面白い
鶴間和幸
日本の財政の真実を検証する(3)金利上昇の深刻な影響
金利が上昇した未来を10年スパンで見てみると…何が起きるか?
宮本弘曉