おもしろき『法華経』の世界
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『法華経』と「神道」はアバター!?通底する世界観とは
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「法華経はSFだ!」というナラティブの神秘的体験
おもしろき『法華経』の世界(1)法華経はSFだ!
哲学と生き方
鎌田東二(京都大学名誉教授)
『法華経』といえば紀元1世紀から3世紀に成立したといわれる大乗仏教の代表的経典である。厳しい修行や哲学的思索を行う出家が中心だった当時のインド仏教に対し、誰もが平等に成仏できると説く『法華経』は画期的なものだった。鎌田東二氏は、自身のがん闘病の経験も踏まえつつ、「法華経はSFだ!」と説く。どういうことなのだろうか。(全10話中第1話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:10分44秒
収録日:2025年1月27日
追加日:2025年5月4日
カテゴリー:
≪全文≫

●『法華経』と天台宗、日蓮宗、そして聖徳太子


―― 皆さま、こんにちは。本日は鎌田東二先生に『法華経』についての講義をいただきたいと思っています。鎌田先生、どうぞよろしくお願いいたします。

鎌田 よろしくお願いします。

―― 今回は『法華経』です。前回(のシリーズ講義で)は空海についてお話をうかがい、本日(のシリーズ講義)は『法華経』ということです。『法華経』というと、天台宗の最澄がかなり重んじたということもあり、日本の思想史においても非常に重要な位置にある経典だと思います。その全体像は、どういうものになるのでしょうか。

鎌田 全体像というと、天台宗の宗門では「諸法実相」や「真如」をいいますが、後に「天台本覚思想」というものができてきて、『法華経』は「草木国土悉皆成仏」という非常に重要な命題になっていきます。

 また、日蓮においても、本門と迹門の本迹関係を体系的に解釈するという伝統的な教学の流れがあります。天台宗(と比べて)、日蓮宗の『法華経』理解ないし『法華経』への解釈と信仰はどういうものか。日蓮の場合は、「南無妙法蓮華経」という題目を立てて、それこそが「立正安国」(日本を救済)するという政治(ガバナンス)思想にまで展開していくわけです。

 さらに、日本で『法華経』が非常に発展する基礎を築いたのは聖徳太子ですが、実は空海も非常に法華経を重視していました。私から見ると、密教の初門ないし入門口は『法華経』にあり、と。

―― 入門口という位置づけになるのですか。

鎌田 「法華経・イズ・ザ・ゲート・オブ・バジラヤーナ」。バジラヤーナは密教のことですので、要するに密教のゲートです。

―― ゲート。門。

鎌田 門。初門といいましたが、(密教の)始まりは法華経だと思っています。


●『法華経』が絵巻で高速に入ってくる映像体験


鎌田 その「法華経が、実はSFだ!」というのが私の(持論です)。これはまったく教学的な方々から見ると、「何を言っているんだ」ということになるのですが、私はそこから『法華経』の面白さを読み解きたい。

 「法華経はSFだ!」というナラティブを、皆さんは奇想天外だと思われるかもしれません。実は、私は脳に3センチのがんと3ミリの小さいがんと10センチぐらいの浮腫ができました。ちょうど脳頂にできたので、5日間、ガンマナイフ(の治療を受けました)。さ...

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