おもしろき『法華経』の世界
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『法華経』と「神道」はアバター!?通底する世界観とは
おもしろき『法華経』の世界(2)『法華経』と「神道」の共通性
鎌田東二(京都大学名誉教授)
聖徳太子、最澄、空海、日蓮、宮沢賢治など多くの人に多大な影響を与えてきた『法華経』は長い年月にわたり日本宗教史を貫いてきた存在である。『法華経』は、苦悩を前提としつつ、むしろそうであるがゆえに明るい未来や救済の未来を描き出す。その世界観は、『古事記』はじめ「神道」の思想に貫かれている「天壌無窮」「修理固成」「むすひ」などの考え方とも、深い部分で大いに共通していると、鎌田東二氏はいう。やはり、日本古来の「神仏習合」こそが真の姿であることが、とてもよく見えてくるのである。(全10話中第2話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:9分30秒
収録日:2025年1月27日
追加日:2025年5月11日
カテゴリー:
≪全文≫

●日本宗教史を貫いてきた『法華経』の流れ


―― 鎌田先生には以前、神話の比較の講義をしていただいたことがあります。例えば北欧の神話などは、ある意味では…。

鎌田 暗いですね。

―― 暗くて、破滅に向かうようなものだったりすると。それに対して、日本の神話は天壌無窮…。

鎌田 天壌無窮、まさにそうですね、『法華経』は天壌無窮ですね。

―― ずっと未来へ、ですね。それこそ何十億という過去から何十億という未来に向かって突っ込んでいくような雰囲気です。

鎌田 こんなに明るい経典はないですね。

―― そうですか。やはり他の経典と比較しても、そういうものなのですか。

鎌田 経典ではないですが、『選択本願念仏集』も「地獄だから、今は」「末法だから」と称しているので、闘争の世界、修羅の世界ということで、暗いではないですか。

 『法華経』ももちろん「現実は暗い」ということを前提にしてはいますが、『法華経』ほど明るい(ものはない)。「もう大丈夫だよ」と言ってくれる。タイ語でいうと「マイペンライ」、沖縄の琉球言葉でいえば「なんくるないさー」です。要するに「本当に大丈夫よ」、"Everything's OK"ということで、『法華経』は人々に安心を与えます。

 でも、日蓮は末法の時代の『法華経』を打ち出すのに、いろいろな経典の中で使われる「七難」という(概念を)使いました。これは災難が七つあるということで、他国に侵略される難、自国の中で内乱が起こる難など、いろいろなことが書かれている。それらを読み解いて、(『立正安国論』の中で、)「承久の乱」のようなものが起こったことを説明し、「蒙古襲来」のような外敵の侵略を予言しています。

 そのような難から立正安国し、すなわち救われるためには『法華経』を信じる世界にならないといけない。『法華経』を現実的な救済の経典にして、それを国家のガバナンスと結びつけていこうという運動を、日蓮は起こした。それが現代に引き継がれているので、けっこう激揚ですね。

 「大丈夫」ということで、具体的な宗教的活動や宗教的信念の後押しをずっとやってくれていたという点では、聖徳太子が(彼が書いた)『三経義疏』の中で、『法華経』『勝鬘経』『維摩経』を注釈したとされている、この選択眼はすごかったわけです。『法華経』を選んでいるということが。

―― そうですね。

鎌田 そして、そ...

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