●『2001年宇宙の旅』のスペクタクルと『法華経』の救済
鎌田 『2001年(宇宙)の旅』のラストシーンに、スターチャイルドというのがあるじゃないですか。
―― 映画ですね。
鎌田 ボーマン船長が、木星の中にグーッと引き込まれていく。レインボーのカラーの中をガーッと色彩が…。ああいうふうに『法華経』が見えてきたわけです。
だから私は、あのボーマン船長のディスカバリー号のように「法華経木星」の中にダーッと引き込まれていったのです。本当にそうです。
―― では、本当に実体知というか、イメージの中に入ったということなのですね。
鎌田 そうです。もう『法華経』のパノラマです。そうすると、『法華経』があの木星探査のようなスペクタクルとして絵巻のように見えてきました。
私は、『2001年宇宙の旅』はSF映画の最高傑作で、映画としても最高傑作だと思っています。私は17歳のときから観に行っていますが、一番感動したのは高校受験に失敗した後、最初にテアトル東京で観たときです。あれが私に決定的な影響を及ぼした。「地球が青島だ」と思ったのはそのときで、地球という水の惑星に向けてスターチャイルドが進行していく。あのスターチャイルドが1億人ぐらいいて、地球に向かって集団でダーッと突進していくようなイメージでしょうか。
―― それが法華経の具体的な(ビジョンですね)。
鎌田 ボーマン船長のような人が何億人もいるというテーマで、そのボーマン船長が変容し、姿を変えて化身するわけです。そして、スターチャイルドになっていくわけです。過去の記憶や未来の記憶など、いろいろなものが変わってスターチャイルドに変容していく。
まさに法華経は、そういう『2001年宇宙の旅』と重なる未来ビジョンを描いている。まさに未来なのです。
「授記」という言葉が、『法華経』の上巻「授記本」にあります。巻3の第5が「薬草喩品」で、第6が「授記品」になります。「授記」とは何かというと「予言する」ということですが、現実的には何を予言したかというと、「おまえは将来においてブッダになる」という予言なのです。
―― なるほど。
鎌田 未来予言をしていくわけです。「ブッダになって、そして救済していくよ」と。その最初のほうに弥勒菩薩が出てきます。弥勒菩薩については、後に弥勒下生信仰というものが生まれて、56億7000万年後に人々を救済する...