宮沢賢治『銀河鉄道の夜』を読む
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
宮沢賢治の浄土教的世界観の根底にあった「隠し念仏」とは
宮沢賢治『銀河鉄道の夜』を読む(6)キリスト教と隠し念仏
鎌田東二(京都大学名誉教授)
『銀河鉄道の夜』にはキリスト教的モチーフが多く登場する。この物語へのキリスト教の影響、そして宮沢賢治とキリスト教の関係はどうなのか。ファンならずとも気になるところである。 本講義収録後の質疑応答コーナーに、宮沢賢治とキリスト教についての質問が寄せられたが、法華経的な純正日蓮主義を進めた国柱会、民族宗教として花巻周辺に浸透した「隠し念仏」などの話題も飛び出し、『銀河鉄道の夜』の謎は深まるばかりだ。メタファーについての質問と合わせて、鎌田氏の回答を見ていこう。(全6話中第6話:2022年7月28日開催ウェビナー〈宮沢賢治『銀河鉄道の夜』を読む〉より)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:14分56秒
収録日:2022年7月28日
追加日:2023年4月10日
≪全文≫

●メタファーと時代の文学的思潮からみた宮沢賢治作品


── ということで、皆さんからお寄せいただいた質問をお読みしたいと思います。まずひとつ目、「タイタニックの例のように、メタファーとして表現されているところ、また作品が書かれた時代の文学的思潮が特徴的に著されているところがありましたら、ご指摘いただきたいと思います」。メタファーについてのご質問ですね。

鎌田 タイタニックの前後か「鳥を捕る人」のところかに、ドボルザークの『新世界』(交響曲第9番)が表現されているといった指摘があります。『新世界』はアメリカを意識してできているので、アメリカ=新しい世界創造のように受け取れます。宮沢賢治自身は法華経の思想に基づいて田中智學が説いた「純正日蓮主義」という法華経的な世直し思想に共鳴を持ち、非常に大事にしていました。

 それは、世界を法華経によって霊化していく「真世界」の創造だという思想で、賢治の同時代、特に1911年前後頃から日本国内に広がっていました。賢治が入信するのは1919年頃ですが、そういう国柱会の思想などが出てきた時代というのは、「真世界」の創造とは裏腹に、世界大戦が1914年から18年まで起こり、かつ世界大戦が終わる頃にスペイン風邪のパンデミックが起こって、非常に多くの方々が亡くなっています。

 そういう時に賢治は国柱会に入会し、信行員となって、生涯会員であり続けます。そういう中で賢治は『銀河鉄道の夜』を最後まで練り上げようとしたので、同時代の問題意識というものが最終的にこの中のいろいろなところで、メタファーとして表現されていると思います。

―― また、メタファーでいうと、自分の作品を自己引用しているところもありますね。

鎌田 「さそりの火」とかね。

―― ええ。自分の作品を自分の作品の中に入れ込んで、世界観を著していく。この作品に対して賢治が込めたものが、やはりそういうところからも見えてくる気がします。

鎌田 『よだかの星』につながるところとか、前回言った『農民芸術概論綱要』の一節につながるところとか、いろいろなものが賢治の中では重なっていますよね。その重なり具合を、メタファーとして捉えることもできますね。


●宮沢賢治とキリスト教の関係


―― 次の質問にまいります。「『銀河鉄道の夜』にはキリスト教的モチーフが多く登場しますが、この物語へのキリスト教の影響...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「芸術と文化」でまず見るべき講義シリーズ
深掘りシェイクスピア~謎の生涯と名作秘話(1)シェイクスピアの謎
シェイクスピアの謎…なぜ田舎者の青年が世界的劇作家に?
河合祥一郎
なぜ働いていると本が読めなくなるのか問答(1)読書と教養からみた日本の近現代史
『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』で追う近現代史
三宅香帆
印象派の解体と最後の印象派展(1)セザンヌと印象派
印象派の画家に大きな影響を与えたセザンヌの構築的筆触
安井裕雄
石原慎太郎と三島由紀夫と近衛文麿(1)政治家・石原慎太郎の源流と核の問題
都知事、非核三原則…1970年・30代の慎太郎が書いていたこと
片山杜秀
クラシックで学ぶ世界史(1)時代を映す音楽とキリスト教
音楽はなぜ時代を映し出すのか?…音楽と人の歴史の関係
片山杜秀
数学と音楽の不思議な関係(1)だれもがみんな数学者で音楽家
世界は音楽と数学であふれている…歴史が物語る密接な関係
中島さち子

人気の講義ランキングTOP10
デジタル全体主義を哲学的に考える(1)デジタル全体主義とは何か
20世紀型の全体主義とは違う現代の「デジタル全体主義」
中島隆博
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(8)シオニズムとユダヤ教
シオニズムは伝統的なユダヤ教とは異質…イスラエル建国の背景
鶴見太郎
編集部ラジオ2026(12)自転車の青切符と「法と自粛」
【10minで考える】自転車の青切符と「法と自粛」
テンミニッツ・アカデミー編集部
お金とは何か?…金本位制とビットコイン(5)ゴールドや暗号通貨への評価
ゴールドやビットコインへの評価は?…現代社会の写し鏡
養田功一郎
イラン戦争とトランプ大統領の戦争指導(1)米軍式戦略リーダーシップによる評価
イラン戦争…トランプ大統領の戦争指導のどこが問題なのか?
東秀敏
日本人とメンタルヘルス…心のあり方(6)日本人の当たり前と山本七平の違和感
日本の異様さ…フィリピンから復員した山本七平が驚いたこと
與那覇潤
ラフカディオ・ハーン『神国日本』を読む(1)なぜ『神国日本』なのか?
ラフカディオ・ハーンが解明した「美しい日本」の秘密と未来
賴住光子
新撰組と幕末日本の「真実」(序)『ちるらん 新撰組鎮魂歌』の魅力と史実の絶妙さ
新撰組と『ちるらん 新撰組鎮魂歌』…群像劇としての魅力の源泉に迫る!
堀口茉純
こどもと学ぶ戦争と平和(2)「本当の平和」とは何か
「平和」には2つある…今の日本は本当に平和なのか?
小原雅博
AI時代と人間の再定義(1)AIは思考するのか
AIでは「思考の三位一体」が成立しない…考えるとは?
中島隆博