宮沢賢治『銀河鉄道の夜』を読む
この講義は登録不要で無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
次の動画も登録不要で無料視聴できます!
銀河鉄道の旅をする少年ジョバンニの孤独が意味するもの
第2話へ進む
未完の長編『銀河鉄道の夜』の魅力と宮沢賢治の思想に迫る
宮沢賢治『銀河鉄道の夜』を読む(1)あらすじと賢治の原稿
鎌田東二(京都大学名誉教授)
宮沢賢治が遺した未完の長編『銀河鉄道の夜』は、多くの人のこころを揺さぶりつづけてきた。その魅力のありどころ、少年少女期の読書では分からなかった背景や宮沢賢治の思想について、『宮沢賢治「銀河鉄道の夜」精読』(岩波現代文庫)の著書もある鎌田東二氏の話をうかがう。第1話は物語のあらすじを追いながら、その魅力に迫る。(全6話中第1話:2022年7月28日開催ウェビナー〈宮沢賢治『銀河鉄道の夜』を読む〉より)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:13分40秒
収録日:2022年7月28日
追加日:2023年3月6日
≪全文≫

●宇宙的な悲しみを持つ宮沢賢治随一の長編


―― 皆さま、こんばんは。本日は鎌田東二先生に「宮沢賢治『銀河鉄道の夜』を読む」という題でお話をいただきます。先生、どうぞよろしくお願いいたします。

鎌田 よろしくお願いします。

―― それでは、早速お話を進めてまいりたいと思います。実は鎌田先生は、岩波現代文庫から『宮沢賢治「銀河鉄道の夜」精読』というご本をお出しになっています。宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』をどう読むかということを非常に詳細にお書きいただいて、巻末では『銀河鉄道の夜』の1次稿から4次稿まで載っているような本です。鎌田先生にとって『銀河鉄道の夜』はどういう作品になるのでしょうか。

鎌田 ひと言でいうと、宇宙的な悲しみでしょうか。

―― 悲しみなのですね。

鎌田 喜びではないですよね。透明な悲しみのようなものに貫かれています。モーツァルトでいえば、ピアノ協奏曲の第20番のような、どこか悲壮で悲劇的な感じです。 かわいそうというと同情的になりますが、「本当に辛いなあ」という孤独感のようなものが、とてもよく表現されています。そして、最初から最後まで貫かれている、何か透明で孤独な感情のようなものが非常に深遠です。つまりそこには深いものがあるということです。また、『銀河鉄道の夜』ですから、宇宙的な感覚に孤独が相まって、とてもこころに染み入るものがあります。宮沢賢治の中でもやはり特別な作品だと思います。

―― そうですね。特別に長い長編ということにもなりますし。

鎌田 一番長いのではないでしょうか。

―― そうですね。


●9パートで構成された物語の、複雑な原稿


―― 今、先生から悲しみ、あるいは孤独というお話がありましたが、ジョバンニの孤独がどうであるか、あるいは宮沢賢治の宗教観がいかに描かれているかというお話については、後のほうでいただきたいと思います。最初に、『銀河鉄道の夜』というのはどういう内容なのか、あらすじで追ってまいりたいと思います。

鎌田 では、あらすじの説明をお願いします。

―― まず、『銀河鉄道の夜』は9パートから構成されています。順次見てまいります。

 こちらは宮沢賢治記念館で発行されている『宮沢賢治「銀河鉄道の...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「芸術と文化」でまず見るべき講義シリーズ
AI時代に甦る文芸評論~江藤淳と加藤典洋(1)AIに代わられない仕事とは何か
江藤淳と加藤典洋――AI時代を生きる鍵は文芸評論家の仕事
與那覇潤
司馬遼太郎のビジョン~日本の姿とは?(1)1923年生まれの3人の作家
司馬遼太郎と日本人…まず遠藤周作、池波正太郎との比較で考える
片山杜秀
『太平記』に学ぶ激動期の生き方(1)なぜ今『太平記』を読むべきなのか
『太平記』は乱世における人間の処し方が学べる古典文学
兵藤裕己
文明語としての日本語の登場(1)古代日本語の復元
なぜ「てふてふ」が蝶々?日本語の変遷を追う…まずは万葉仮名から
釘貫亨
真山仁の小説論(1)想像力と技術の不足
読み手の琴線に触れる技術が失われてきている
真山仁
古関裕而・日本人を応援し続けた大作曲家(1)恩師との出会い
六甲おろし、栄冠は君に輝く、長崎の鐘…古関裕而の魅力
刑部芳則

人気の講義ランキングTOP10
核DNAからさぐる日本のルーツ(1)人類の起源と広がり
核DNAデータで日本人のルーツを探る…アフリカから日本まで来た行程と時期は?
斎藤成也
「満洲」から考える日本とアジア(5)ロシアのシベリア征服と日清日露戦争
「満洲利権」はなぜ日本の手に渡ったか?…ロシアの極東征服、そして朝鮮の混乱が日本を日清・日露戦争へ
宮脇淳子
編集部ラジオ2026(33)鎌田東二先生の法華経講義解説-2
【10min名作探訪】大丈夫だよと励ましてくれる『法華経』…鎌田東二先生の講義
テンミニッツ・アカデミー編集部
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(1)物語の構造を読み解くおもしろさ
『オデュッセイア』の面白さの秘密を神話の構造から読み解く…なぜ波乱万丈の神話が人間の創作の源泉になったか
松村一男
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
プロティアン~最先端の自律的キャリア形成(1)変幻自在のキャリア論
なぜ第二の人生のためにキャリアの棚卸しが必要か~組織から自律へ
田中研之輔
日本人が知らない自由主義の歴史~前編(1)そもそも「自由主義」とは何か
消極的自由と積極的自由?…なぜ自由主義がわかりづらいか
柿埜真吾
本当によくわかる経済学史(1)経済学史の概観
経済学史の基礎知識…大きな流れをいかに理解すべきか
柿埜真吾
ピアノでたどる西洋音楽史(1)ヴィヴァルディとバッハ
クラシック音楽の歴史をピアノ演奏で辿る~ヴィヴァルディ四季
野本由紀夫
仏教とキリスト教が照らし出す日本の宗教(1)神とは何か、そして天皇とは?
日本と世界の「神と信仰」の違いは?…そして天皇の大切な役割
橋爪大三郎