おもしろき『法華経』の世界
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イエスも法華経のアバター?「全世界救済」の具体像を示す
おもしろき『法華経』の世界(7)真の救済に向かう
哲学と生き方
鎌田東二(京都大学名誉教授)
『法華経』の原題は「サッダルマ・プンダリーカ・スートラ」といい「白蓮の正しい教え」を表す。想像を超えた長い年月、無数のアバターを通して『法華経』が目指すのは真の救済である。それゆえキリスト教のイエスも「久遠実成の本仏」のアバターであるというのが、鎌田氏の曲げられない持論となっている。(全10話中第7話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:13分23秒
収録日:2025年1月27日
追加日:2025年7月13日
カテゴリー:
≪全文≫

●『法華経』の原題と翻訳


―― 最初のほうで先生もおっしゃった「山川草木悉有仏性」という言葉があります。「全てのものが悉く仏性を持っている」という話ですが、(『法華経』は)ある意味で、それと表裏をなすようなことになるわけですか。

鎌田 そうですね。それを究極の形にすると、「あらゆるものが仏である。全てが仏だ」ということになります。「山川草木…」というのは梅原猛さんによる言い方(言い換え)で、本覚思想(天台宗を中心として広まった「人間は生まれながらに仏性を備えている」という思想)として伝統的に「草木国土悉皆成仏」という言い方で示されてきました。それ自体とつながってきます。

 『法華経』は「サッダルマ・プンダリーカ・スートラ」といって、宮沢賢治(の作品)にはこういう言葉がよく出てきます。「サッダルマ・プンダリーカ・スートラ」というのは、「正しい法の、白蓮の」。白い蓮は泥の中で咲くでしょう。だから、苦悩の中で咲く。つまり、苦しみの中に悟り、智慧がある。正しい、不思議な、優れた「サッダルマ(法、真理)・プンダリーカ(清浄な白い蓮花)・スートラ(縦糸、経典)」。

 (『法華経』という)翻訳は鳩摩羅什によるもので、全8巻28品の岩波文庫の元になっているのは鳩摩羅什訳本です。私が持っているのは、それを元にした口語訳も付いて、サンスクリットの口語訳も付けてくれた岩波文庫で、坂本幸男・岩本裕訳註です。これを私は今回使っていて、先ほども読みました。最近では植木雅俊さんの訳が出ています。

●1劫=ブラフマンの1日=43億2000万年


鎌田 『法華経』の中では、長い長い時間のことを「カルパ(劫)」という言い方で表します。『法華経』の「化城喩品」、岩波文庫でいえば中巻の第3「化城喩品」第7に、三千大千世界の全てを粉にして、一粒ずつ千の国土に捨てていく(話があります)。捨て始めて捨て終わるまでにどれだけの時間がかかるか。全ての土地を粉にして、その一粒を「一劫」として数えたとき、(これは時間のたとえですが)三千世界という長い長い時間の一劫がブラフマンの1日といわれる。

 インド人が数学の天才といわれるのは、0(ゼロ)(を発見したこと)も含めての話ですが、(彼らが考えた)ブラフマンの1日は、43億2000万年です。だか...

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