【入門】日本仏教の名僧・名著~日蓮編
この講義シリーズの第1話
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
日蓮が『開目抄』に記した「我日本の柱とならむ」の誓い
【入門】日本仏教の名僧・名著~日蓮編(3)『開目抄』と法華経への強い思い
賴住光子(東京大学名誉教授/駒澤大学仏教学部 教授)
『開目抄』もまた佐渡で執筆された日蓮の重要な著作である。そこでは、どのような法難に遭っても法華経を捨てないという強い決意が述べられている。さらに、「我日本の柱とならむ、我日本の眼目とならむ、我日本の大船とならむ」という誓いが立てられているが、ここでは日本に対する日蓮の熱い思いがうかがえる。(全3話中第3話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:8分43秒
収録日:2020年9月30日
追加日:2022年12月18日
カテゴリー:
≪全文≫

●どんな難にあっても法華経を捨てない、強い決意


―― 続きまして『開目抄』です。こちらの文章になりますけれども、『開目抄』はどのようなものになりますでしょうか。

賴住 先ほどの『観心本尊抄』と同じように日蓮が佐渡で書いた著作で、これも日蓮の主著というべき非常に重要な著作です。

―― では、さっそく読んでみたいと思います。

 「詮ずるところは、天もすて給へ。諸難にもあへ。身命を期とせん。(中略)善に付け悪に付け、法華経をすつる、地獄の業なるべし。大願を立つ。日本国の位をゆづらむ、法華経をすて、観経等について後生を期せよ。父母の頸を刎ねん、念仏申さずは。なんどの種々の大難出来すとも、智者に我が義やぶられずば用ゐじとなり。その外の大難、風の前の塵なるべし。我日本の柱とならむ、我日本の眼目とならむ、我日本の大船とならむ、等とちかいし願、やぶるべからず。」

 ということで、かなり強い言葉が並んでいますね。

賴住 そうですね。これは非常に有名な日蓮の言葉ですが、自分はどう考えているかということをまとめてみるとこういうことなのだということです。例えば、天が自分を見捨てて諸難に遭ったとしても、自分は命の限り次のように考えているのだというように始めます。

 その後ですが、「法華経をすつる(捨てる)」というのは、これはもう地獄に落ちるような、とんでもない行動なのだといっています。自分はどんなことに遭っても、天に見捨てられたとしても、さまざまな難に遭ったとしても、絶対に法華経を捨てないのだということを、ここで強く宣言しているのです。

 そして「大願を立つ」ということで、自分はここに願を立てて、それを守ることを誓います、といいます。どういう願を立てるのかというと、日本の国の位を譲りましょう(日本の国の王さまにしてあげましょう)といわれたとしても、自分は絶対に法華経を捨てないということです。

 さらに「法華経をすて、観経等について後生を期せよ」ということで、もし法華経を捨てて、「観経」すなわち念仏の教えを書いた浄土教の経典を信仰し、死後に浄土に往生することを望みなさいといわれたとしても、自分は絶対に法華経を捨てないといいます。

 「父母の頸を刎ねん、念仏申さずは」というのは、「念仏を唱えなければ、自分のお父さんやお母さ...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
もののあはれと日本の道徳・倫理(1)もののあはれへの共感と倫理
本居宣長が考えた「もののあはれ」と倫理の基礎
板東洋介
「50歳からの勉強法」を学ぶ(1)大人の学びの心得三箇条
大人の学び・3つの心得=自由、世間が教科書、孤独を覚悟
童門冬二
法隆寺は聖徳太子と共にあり(1)無条件の「和」の精神
聖徳太子が提唱した「和」と中国の「和」の大きな違いとは
大野玄妙
禅とは何か~禅と仏教の心(1)アメリカの禅と日本の禅
自発性を重んじる――藤田一照師が禅と仏教の心を説く
藤田一照
楽観は強い意志であり、悲観は人間の本性である
これからの時代をつくるのは、間違いなく「楽観主義」な人
小宮山宏
「アメリカの教会」でわかる米国の本質(1)アメリカはそもそも分断社会
「キリスト教は知らない」ではアメリカ市民はつとまらない
橋爪大三郎

人気の講義ランキングTOP10
中国共産党と人権問題(1)中国共産党の思惑と歴史的背景
深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質
橋爪大三郎
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二
内側から見たアメリカと日本(7)ジャパン・アズ・ナンバーワンの弊害
ジャパン・アズ・ナンバーワンで満足!?学ばない日本の弊害
島田晴雄
熟睡できる環境・習慣とは(2)酒、コーヒー、ブルーライトは悪者か
ブルーライトは悪者か?近年分かった「第3の眼」との関係
西野精治
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
歴史の探り方、活かし方(7)史料の真贋を見極めるために
質疑編…司馬遼太郎の「史料読解」をどう評価する?
中村彰彦
習近平―その政治の「核心」とは何か?(1)習近平政権の特徴
習近平への権力集中…習近平思想と中国の夢と強国強軍
小原雅博
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
エンタテインメントビジネスと人的資本経営(1)ソニー流の多角化経営の真髄
ソニー流「多角化経営」と「人的資本経営」の成功法とは?
水野道訓
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治