おもしろき『法華経』の世界
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千手千眼観音のサポートとは?菩薩たちのビッグバンとは?
おもしろき『法華経』の世界(3)止観と菩薩による救済
哲学と生き方
鎌田東二(京都大学名誉教授)
最澄の瞑想図は非常に美しいが、彼は何を瞑想していたのだろうか。答えは無、心の動きを止めるのが「止観」だからだ。また、『法華経』全巻の構成を見ると、弥勒、観音、普賢の三菩薩が衆生を導き救済する中心的存在であることが分かる。さらに、大地から無数に湧いてくる「菩薩たちのビッグバン」の描写も見逃せない。(全10話中第3話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:12分52秒
収録日:2025年1月27日
追加日:2025年5月18日
カテゴリー:
≪全文≫

●最澄の瞑想「法華止観」はいかに行われたか


鎌田 さて、これが有名な最澄さんの肖像画です。この肖像画の最澄さんは非常に美しい。最澄さんの持っているキャラクターが非常に静まって、しーんと瞑想している。

―― お顔が本当にそういう顔ですね。

鎌田 そうですね。澄明な、美しい姿形、瞑想の形です。そして、禅の法界定印を結びながら瞑想をしている。これは宇宙を瞑想する最澄です。

 ではどういう宇宙を構想していたのか。実際に最澄の時代には、今現在国宝になっている根本中堂というものはなかったはずで、「一乗止観院」という、法華一乗を修行する場があった。「法華止観」ですね。「止観」は、禅の「ヴィパッサナー瞑想」のようなものにつながっていくものです。(延暦寺の前身は)摩訶止観、大止観、小止観という止観の修行道場、つまり瞑想道場だということになっております。

―― 止観というのはどう理解すればよろしいですか。

鎌田 それは瞑想ですね。

―― 瞑想を意味するということですか。

鎌田 三昧と止観。三昧のほうは「サマータ」といって集中していくことです。例えば密教でいえば、「阿字観瞑想」は阿字をイメージして、その中にグッと投入していく集中瞑想です。ヴィパッサナーは内観で、自分の意識や心の動きというものを内観していく。だから、観を止める止観というのは、要するに無の状態になって止まることにはなるわけですけれど、なかなかそこには至らず、意識は動き回ります。

 心の状態や感情の状態として、お腹が空いたら「お腹空いた」みたいなものが出てきます。そういうものをくまなく瞑想するのが止観ということになる。今風にいうと、止観はマインドフルネスということになります。ヴィパッサナー瞑想は、初期仏教、あるいは今のミャンマー、スリランカ、タイなどのテーラワーダ仏教で行われる瞑想法になります。


●千手千眼観音という理想の姿と「真如」


鎌田 そこで、『法華経』に戻ります。私は『法華経』を壮大なスペースオペラないしスペースファンタジーだと考えています。この地球あるいは宇宙そのものを非常にダイナミックに捉えて、そこにおける救済が展開されている。その布教の中で、菩薩という存在が非常に重要な役割を果たしていく。

 菩薩の代表選手は千手千眼観音の姿になって、日本では例...

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