【入門】日本仏教の名僧・名著~日蓮編
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日蓮の「一念三千」――「空-縁起」にも通じる思想の意味
【入門】日本仏教の名僧・名著~日蓮編(2)『観心本尊抄』と一念三千
賴住光子(東京大学名誉教授/駒澤大学仏教学部 教授)
佐渡流罪中に執筆された日蓮の『観心本尊抄』。本著は、中国天台宗・湛然の言葉「一念三千」に基づき、法華経を受持することで仏の功徳一切を譲り受けることができるとしている。そこには、道元の「自他一如」「空ー縁起」にも通じる思想が見受けられる。(全3話中第2話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:8分50秒
収録日:2020年9月30日
追加日:2022年12月11日
カテゴリー:
≪全文≫

●佐渡に流された日蓮の重要な著作『観心本尊抄』


―― それでは実際に日蓮が書いた文章を見てまいりたいと思います。まず『観心本尊抄』というものですが、これはどのような位置づけのものでしょうか。

賴住 これは日蓮が佐渡に流されたときに書いた著作で、日蓮の著作の中でも非常に重要なものだと言われています。日蓮の思想の哲学的な部分や理論的な部分を深めていった著作になるかと思います。

―― では、さっそく読ませていただきます。

 〈経に云はく『我本菩薩の道を行じて成ぜし所の寿命、今猶(いまなお)未だ尽きず。復(また)上の数に倍せり』等云云。我等が己心の菩薩等なり、地涌(じゆ)千界の菩薩は己心の釈尊の眷属なり。
(中略)
妙楽大師云はく『当に知るべし身土一念の三千なり。故に成道の時此の本理に称(かな)うて一身一念法界に遍し』等云云。〉

賴住 かなり読みづらい難しい部分だと思いますが、少し解きほぐして、お話をさせていただきたいと思います。


●久遠の仏とつながるわれわれの心


賴住 まず「経に云はく」というのは、法華経のことです。法華経の中の言葉を挙げて、その後で日蓮がご自身の解釈をつけているところです。最初の「我」は釈尊が自分で自分のことを言っている、そのような部分です。

 釈尊という方は、歴史的には紀元前6世紀あたりに生まれ、80歳の生涯を終えて亡くなられた、つまり80年の寿命を生きた方だと考えられています。その「寿命」は一般には有限で80歳と思われているけれども、本当はそうではないといっています。「今猶未だ尽きず」ということで、実は無限の命を生きているということです。

 釈尊は人々には「生きて、死ぬ」という姿を見せ、80歳で亡くなられた。それは釈尊がいつまででも生きているとみんなが安心してしまい、ちゃんと修行しないから、そのために「死んでしまう」という姿を見せたのだけれども、それは仮の姿である。「未だ尽きず」といわれているように、実は「久遠実成(くおんじつじょう)」と呼ばれる無限の寿命を持っているということです。

 「久遠」=永遠のことで、「実成」は真実の実に成ると書きます。釈尊=仏というのは永遠の昔から生き続けている存在であるということを、ここで法華経では言っているわけです。

 その言葉を受けて、日蓮が「我等が...

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