【入門】日本仏教の名僧・名著~日蓮編
この講義シリーズの第1話
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
日蓮の「一念三千」――「空-縁起」にも通じる思想の意味
【入門】日本仏教の名僧・名著~日蓮編(2)『観心本尊抄』と一念三千
賴住光子(東京大学名誉教授/駒澤大学仏教学部 教授)
佐渡流罪中に執筆された日蓮の『観心本尊抄』。本著は、中国天台宗・湛然の言葉「一念三千」に基づき、法華経を受持することで仏の功徳一切を譲り受けることができるとしている。そこには、道元の「自他一如」「空ー縁起」にも通じる思想が見受けられる。(全3話中第2話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:8分50秒
収録日:2020年9月30日
追加日:2022年12月11日
カテゴリー:
≪全文≫

●佐渡に流された日蓮の重要な著作『観心本尊抄』


―― それでは実際に日蓮が書いた文章を見てまいりたいと思います。まず『観心本尊抄』というものですが、これはどのような位置づけのものでしょうか。

賴住 これは日蓮が佐渡に流されたときに書いた著作で、日蓮の著作の中でも非常に重要なものだと言われています。日蓮の思想の哲学的な部分や理論的な部分を深めていった著作になるかと思います。

―― では、さっそく読ませていただきます。

 〈経に云はく『我本菩薩の道を行じて成ぜし所の寿命、今猶(いまなお)未だ尽きず。復(また)上の数に倍せり』等云云。我等が己心の菩薩等なり、地涌(じゆ)千界の菩薩は己心の釈尊の眷属なり。
(中略)
妙楽大師云はく『当に知るべし身土一念の三千なり。故に成道の時此の本理に称(かな)うて一身一念法界に遍し』等云云。〉

賴住 かなり読みづらい難しい部分だと思いますが、少し解きほぐして、お話をさせていただきたいと思います。


●久遠の仏とつながるわれわれの心


賴住 まず「経に云はく」というのは、法華経のことです。法華経の中の言葉を挙げて、その後で日蓮がご自身の解釈をつけているところです。最初の「我」は釈尊が自分で自分のことを言っている、そのような部分です。

 釈尊という方は、歴史的には紀元前6世紀あたりに生まれ、80歳の生涯を終えて亡くなられた、つまり80年の寿命を生きた方だと考えられています。その「寿命」は一般には有限で80歳と思われているけれども、本当はそうではないといっています。「今猶未だ尽きず」ということで、実は無限の命を生きているということです。

 釈尊は人々には「生きて、死ぬ」という姿を見せ、80歳で亡くなられた。それは釈尊がいつまででも生きているとみんなが安心してしまい、ちゃんと修行しないから、そのために「死んでしまう」という姿を見せたのだけれども、それは仮の姿である。「未だ尽きず」といわれているように、実は「久遠実成(くおんじつじょう)」と呼ばれる無限の寿命を持っているということです。

 「久遠」=永遠のことで、「実成」は真実の実に成ると書きます。釈尊=仏というのは永遠の昔から生き続けている存在であるということを、ここで法華経では言っているわけです。

 その言葉を受けて、日蓮が「我等が...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
『「甘え」の構造』と現代日本(1)「甘え」のインパクト
『「甘え」の構造』への誤解…甘えはダメなものなのか?
與那覇潤
小林秀雄と吉本隆明―「断絶」を乗り越える(1)「断絶」を乗り越えるという主題
小林秀雄と吉本隆明の営為とプラグマティズムの格率
浜崎洋介
西郷南洲のリーダーシップ(1)薩長同盟と江戸城無血開城
江戸城無血開城で日本の危機を救った西郷隆盛の問題解決力
田口佳史
プラトンの哲学を読む(1)対話篇という形式の哲学
ヨーロッパ哲学の伝統はプラトン哲学の脚注だ
納富信留
キケロ『老年について』を読む(1)キケロの評価と「老年の心構え」
幸福な老年への智恵をキケロに学ぶ…惨めな老年の4つの理由とは
本村凌二
死と宗教~教養としての「死の講義」(1)「自分が死ぬ」ということ
世界の宗教は死をどう考えるか…科学では死はわからない
橋爪大三郎

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2026(24)「皇室典範改正」を考える
【10minで考える】「皇室典範改正」社会の空気をどう見るか?
テンミニッツ・アカデミー編集部
ヒトはなぜ罪を犯すのか(1)「善と悪の生物学」として
ヒトが罪を犯す理由…脳の働きから考える「善と悪」
長谷川眞理子
中国春秋戦国時代と始皇帝(6)秦の恵文王、昭王、荘襄王の時代
秦による中国統一への道…恵文王、昭王、荘襄王が行なったこと
鶴間和幸
大統領に告ぐ…硫黄島からの手紙の真実(1)ルーズベルトに与ふる書
奇跡の史実…硫黄島の戦いと「ルーズベルトに与ふる書」
門田隆将
昭和の名将・根本博…内蒙古・終戦後の戦い(2)在留邦人の生命財産を保護する決断
武装解除の「厳命」を守るか、戦って在留邦人の「生命」を守るか
門田隆将
老子の神髄(8)『老子道徳経』「辯德第三十三」
「死して亡びざる者は壽なり」…主体的に生きなければ自由はない
田口佳史
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
天皇のあり方と近代日本(4)三島由紀夫VS東大全共闘
「人間天皇」を否定した三島由紀夫の思想が問うものとは
片山杜秀
AI時代と人間の再定義(1)AIは思考するのか
AIでは「思考の三位一体」が成立しない…考えるとは?
中島隆博
『太平記』に学ぶ激動期の生き方(2)『太平記』の複雑な成立過程
後醍醐天皇の鎮魂物語だった『太平記』改訂の秘密
兵藤裕己