【入門】日本仏教の名僧・名著~最澄編
この講義シリーズの第1話
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
すべては救われる――最澄の「法華一乗」思想が与えた影響
【入門】日本仏教の名僧・名著~最澄編(4)一乗思想から広がる成仏
賴住光子(東京大学名誉教授/駒澤大学仏教学部 教授)
法華経には「一乗」と「三乗」の区別がある。大乗の教えだけが人を救い、小乗では救われないというのが「三乗」、すべては救われるというのが「一乗」である。最澄の考え方は「法華一乗」といい、三乗、つまりそれぞれ違っていても、最終的には一つの教えによってすべては救われるという。そこから、生きとし生けるものみな仏の本質を持っているという「一切衆生悉有仏性」、さらには有情も非情もみな成仏できるという「草木成仏」の考え方へと広がっていくのである。(全4話中第4話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:9分11秒
収録日:2020年8月20日
追加日:2021年1月15日
カテゴリー:
≪全文≫

●大乗の教えによってすべては救われるという「法華一乗」


―― 前回先生からお話があった「一乗思想」について、今回はお聞きしていきたいと思います。この一乗思想というのは、何か日本に独特とまでは言わなくとも特徴的なものはあるのでしょうか。

賴住 はい。今言っていただいた一乗思想は、法華経に基づく思想です。法華経には「一乗」と「三乗」の区別があります。三乗とは何かというと、「声聞乗」「縁覚乗」「菩薩乗」と三つに分かれているのです。

 声聞乗は、お釈迦さまの声を聞いて修行をしていたお弟子さんたちということです。

―― 「声を聞く」と書く「声聞」ですね。

賴住 そうです。これはいわゆる小乗仏教の人たちです。

 縁覚乗というのは、「縁を覚(かく)する(さとる)」と書くように、縁起の思想を自分で考え、山の中にこもって修行している人たちということで、これも小乗仏教です。要するに声聞乗・縁覚乗は小乗のことなのです。

 菩薩乗はまさに大乗です。大乗仏教の中でも、実は二つ考え方があって、「小乗になってしまったら、その人はもう絶対に救われない」という考え方と、「小乗の人たちでも、大乗の教えに帰依すれば救われる」という考え方の二つがありました。

 最澄は、まさに「法華一乗」と言いまして、三乗それぞれ違っていても、最終的には一つの教え、法華経すなわち大乗の教えによってすべては救われるという考え方だったのです。


●多くの僧が求めた法華経の魅力


 実は南都六宗の一つに「法相宗」という宗派がございます。

―― 奈良ですから南都ですね。

賴住 はい、そうですね。法相宗は、奈良時代や平安時代に非常に大きな影響力を持っていた宗派です。この法相宗では、「三乗の違いは絶対的であり、もし小乗仏教を信仰してしまったら、もう二度と大乗では救われない」という考え方でした。

 ところが、法相宗から徳一(とくいつ)という僧が出て、最澄と論争します。結局どちらが勝ったかよく分からない論争ですが、最澄のほうは法華一乗の立場を非常に強く打ち出して、「あらゆる人が救われる」ということを、強く主張していきます。

 日本の仏教を見た場合、法華経の影響は非常に強くあります。私たちは法華経というと、天台宗や日蓮の題目「南無妙法蓮華経」などを思い浮かべますが、決して一部の僧だけではなく、浄土系以外のあらゆ...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
学びとは何か、教養とは何か
教養の基本は「世界史」と「古典」
本村凌二
禅とは何か~禅と仏教の心(1)アメリカの禅と日本の禅
自発性を重んじる――藤田一照師が禅と仏教の心を説く
藤田一照
イスラム教におけるシーア派とスンニ派の違い
イスラム教スンニ派とシーア派の違いとは?
山内昌之
ユダヤ神話の基本を知る
ユダヤ教の神話…天地創造、モーセの十戒、死後の世界
鎌田東二
神話の「世界観」~日本と世界(1)踊りと物語
世界の神話の中で異彩を放つ日本神話の世界観
鎌田東二
ムハンマドを知る(1)その役割と人物像
ムハンマドは神の啓示を受けた預言者で共同体の最高指導者
山内昌之

人気の講義ランキングTOP10
日本人とメンタルヘルス…心のあり方(1)米を食べる日本人と『分裂病と人類』
日本人の生きづらさの特徴は?~中井久夫著『分裂病と人類』
與那覇潤
編集部ラジオ2026(8)10分解説!第二の人生の仕事革命
年金の「働き損」解消時代!第二の人生を充実させる方法とは
テンミニッツ・アカデミー編集部
『孫子』を読む:地形篇(3)逆命利君の教えと絶対的勝利の条件
逆命利君か従命病君か――漢の時代から伝わる重要な戦略論
田口佳史
ラフカディオ・ハーン『神国日本』を読む(6)自由は大切だが叡智が必要
弱者を抑圧する自由より、叡智によって制約される自由を!
賴住光子
『還暦からの底力』に学ぶ人生100年時代の生き方(1)定年制は要らない
仕事をするのに「年齢」は関係ない…不幸を招く定年型思考
出口治明
大統領に告ぐ…硫黄島からの手紙の真実(2)翻訳に込めた日米の架け橋への夢
アメリカ人の心を震わせた20歳の日系二世・三上弘文の翻訳
門田隆将
これからの社会・経済の構造変化(2)経済的利益と社会課題解決の両立へ
利益か社会課題解決か…かつての日本企業の美点を取り戻せ
柳川範之
印象派の誕生~8人の主要な芸術家
マネ、モネ、ルノワール…芸術家8人の関係と印象派の誕生
安井裕雄
本当によくわかる経済学史(1)経済学史の概観
経済学史の基礎知識…大きな流れをいかに理解すべきか
柿埜真吾
人生100年時代の「ライフシフト概論」(1)人生100年時代のインパクト
80歳まで現役でいるために大切なこと…人生100年時代の発想法
徳岡晃一郎