【入門】日本仏教の名僧・名著~最澄編
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
次の動画も登録不要で無料視聴できます!
最澄が比叡山での修行の際に『願文』に込めた願いとは
第2話へ進む
天台宗の開祖・最澄が残した最大の成果は「大乗戒」の確立
【入門】日本仏教の名僧・名著~最澄編(1)比叡山延暦寺の開祖として
賴住光子(東京大学名誉教授/駒澤大学仏教学部 教授)
比叡山延暦寺を開いた天台宗の開祖として著名な最澄は、エリート僧として出発する。その地位を捨て、比叡山中で12年間修行した彼は、弟子たちにも孤絶した状態での勉強を求める。そのような最澄の残した最大の成果は「二百五十戒」の伝統を捨て「大乗戒」を確立したことだと言われる。(全4話中第1話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:8分31秒
収録日:2020年8月20日
追加日:2020年12月24日
カテゴリー:
≪全文≫

●エリートの地位を捨て山にこもった最澄


―― では、「日本仏教の名僧・名著」の二人目、最澄は、どういう方になりますでしょうか。

賴住 最澄は、一般的には比叡山延暦寺を開いた天台宗の開祖として、よく知られていると思われます。もともとは「官僧」という、正式な「二百五十戒」の戒律を受けた僧侶でした。当時、正式にこの戒を受けて一人前の僧侶になるのは大変困難で、年に何人という枠が決まっていました。その一人に選ばれるのは、大変なエリートの僧侶だということです。

 しかし、最澄はエリートの僧侶としての地位を捨て、比叡山にこもって自分で修行をします。後でお話しする「願文」も、その時につくられたものです。彼は比叡山にこもって12年間修行した後で、いわゆる俗世間に戻ってきて、そこで日本天台宗を確立するという大きなお仕事をされた方ということになるかと思います。

―― この比叡山延暦寺ですけども、この後出てくるいろいろな僧侶の方々がかなり多く、最初あるいは途中で修行されたり、関わられたりしています。日本における比叡山延暦寺の位置づけは、どう捉えればいいでしょうか。

賴住 はい。今言われたように、例えば法然や親鸞も比叡山で「天台浄土教」という天台宗の中で発達した浄土教を勉強していますし、道元も最初は比叡山で勉強して、山を下りてから禅宗のほうに入っていくわけです。日蓮にしても、最初は比叡山で勉強している時期がありました。

 そのようなことから、やはり比叡山延暦寺の持つ、学問や修行をする場としての意味は、非常に大きなものがあったと考えられます。人によっては、当時の「総合大学のトップ」と見なされると言う方もおられ、多くの僧侶が比叡山で学びました。


●「二百五十戒」の伝統を捨て「大乗戒」を確立


―― 比叡山を開かれた最澄の考え方なり哲学が後に生きていく部分が非常に大きかったのだろうと思われます。特に仏教思想史的に見た場合、最澄の考えで後世に大きな影響を及ぼしたのは、どういう点でございましょうか。

賴住 はい。やはり「大乗戒」を確立したところが、一番大きいのではないかと思います。

 まず、戒律ですが、これはインド仏教からずっと伝わっているもので、概略をいうと「二百五十戒」という戒があり、「小乗戒」とも呼ばれています。僧侶であれば、必...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
プラトンの哲学を読む(1)対話篇という形式の哲学
ヨーロッパ哲学の伝統はプラトン哲学の脚注だ
納富信留
「幸福とは何か」を考えてみよう(1)なぜ幸せになりたいのですか
「幸福」について語り合う「哲学カフェ」を再現
津崎良典
「自分をコントロールする力」の仕組み(1)自制心と目標の達成
自制心の重要性…人間は1日4時間も何かを「欲求」している
森口佑介
西郷南洲のリーダーシップ(1)薩長同盟と江戸城無血開城
江戸城無血開城で日本の危機を救った西郷隆盛の問題解決力
田口佳史
世界の語り方、日本の語り方(1)なぜ「語り方」なのか
今後身に付けるべき知性として「新しい語り方」を考える
中島隆博
「怒り」の仕組みと感情のコントロール(1)「キレる高齢者」の正体
「キレやすい」の正体とは?…ヒトの「怒り」の本質に迫る
川合伸幸

人気の講義ランキングTOP10
老子の神髄(7)『老子道徳経』「去用第四十」
緊張や怒りをコントロールするには?老子に学ぶ精神と肉体の関係
田口佳史
日本の財政の真実を検証する(4)日本の台所事情と財政の本義
「1秒間に41万円?」…この数字はいったい何を意味するか?
宮本弘曉
AI時代と人間の再定義(1)AIは思考するのか
AIでは「思考の三位一体」が成立しない…考えるとは?
中島隆博
天皇のあり方と近代日本(1)「人間宣言」から始まった戦後の皇室
皇室像の転換…戦後日本的な象徴天皇はいかに形成されたか
片山杜秀
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
AI大格差~最新研究による仕事と給料の未来(1)最新研究から見えてくる未来像
AI大格差…なぜ日本の雇用環境では「ショックが大きい」のか?
宮本弘曉
『還暦からの底力』に学ぶ人生100年時代の生き方(1)定年制は要らない
仕事をするのに「年齢」は関係ない…不幸を招く定年型思考
出口治明
中国史概説~『皇帝たちの中国』を読む(3)全皇帝の4分の3は「非漢族」
6000万人の漢人が、三国志の戦乱後に400万人台に…衝撃の人口変動
宮脇淳子
本当によくわかる経済学史(1)経済学史の概観
経済学史の基礎知識…大きな流れをいかに理解すべきか
柿埜真吾
中国春秋戦国時代と始皇帝(3)戦国時代初期――戦国七雄と合従連衡
戦国七雄とは?合従連衡とは?…各国の勢力拡大と小国家の運命
鶴間和幸