【入門】日本仏教の名僧・名著~最澄編
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最澄が『山家学生式』で示した「一隅を照らす」の深い意味
【入門】日本仏教の名僧・名著~最澄編(3)『山家学生式』で示した修行の仕方
賴住光子(東京大学名誉教授/駒澤大学仏教学部 教授)
最澄が弟子たちに向けて書いた『山家学生式』では、厳しい修行の仕方が規定される。その奥には、仏教を極める僧こそが国宝であるとする考え方とともに、修行を重ねて他にも利益(りやく)を与えることが鎮護国家につながるという見方があった。研究者の間では、真筆から疑義も生まれているというが、それはどういうことか。(全4話中第3話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:11分58秒
収録日:2020年8月20日
追加日:2021年1月8日
カテゴリー:
≪全文≫

●日本天台宗での修行の仕方を指定した『山家学生式』


―― 今回は『山家学生式(さんげがくしょうしき)』ですが、これはどういう文章になるのでしょうか。

賴住 『山家学生式』というのは、最澄が自分のお弟子さんたちに、「このように修行するのですよ」ということを規定した文章です。最澄は自分の教団として「日本天台宗」をつくり、その中で修行の仕方を指定しているわけです。

 前回お話ししたように、最澄は「小乗戒」を否定し、自分自身も受けていた小乗戒を捨ててしまいました。小乗戒は日常的な行動の規定ですので、それがなくなった代わりに、「こうするんですよ」ということを、きちんと言っておく必要があった。それが、この『山家学生式』に残されたということになります。

―― 前回の『願文』は若い頃ということですが、これはもうちょっと後ということになりますね。

賴住 そうですね。かなり年を取ってからの作になります。

―― 今回最初にご紹介するのが「八条式」ということですが、これは『山家学生式』の中ではどういう位置づけのところでしょうか。

賴住 読んでいただくと分かるように、自分のお弟子たちがどういうような修行をしなければいけないのか、具体的に指し示す部分になります。


●大乗戒の後は「一二年、山門を出でず」修行に励むべし


―― では、まず読ませていただきます。

「凡そ、此の宗、得業の者、得度の年、即ち大戒を受けしむ。大戒を受け竟(おわ)らば、一二年、山門を出でず、勤めて修学せしめん。」

「草庵を房と為し、竹葉を座と為し、生を軽んじ、法を重んじ、法をして久住せしめ。国家を守護せん。」

賴住 はい。まず、「得業の者、得度の年、即ち大戒を受けしむ」ということで、得度をしたら大乗戒を受けましょう、となっています。これは、第1話で言ったように小乗戒は受けないで、大乗戒だけ受ける「単受大乗戒」です。

 この大乗戒を受けるのに「戒壇」という設備があるのですが、それを「つくらせてくれ」と最澄はずっと朝廷に申し入れていました。結局、最澄が生きているうちには実現しなかったのですが、亡くなった直後に認められ、「大乗戒壇」というものが比叡山にできます。

 もちろん今でもあり、そこで大乗戒を受けて天台宗の僧侶として一人前になります。その後はどうするか...

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