おもしろき『法華経』の世界
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仏の寿命は無量で久遠に実在する…「如来寿量品」の神秘
おもしろき『法華経』の世界(9)「如来寿量品」と三身論
鎌田東二(京都大学名誉教授)
『法華経』の特質は、その予言力、呪力、神通力にある。それゆえ「密教の走り」とも考えられると鎌田氏は説く。とりわけ「久遠実成の本仏」を説く「如来寿量品」は、『法華経』のなかでも重視されてきた。釈迦が生まれて仏教を説くはるか以前から仏はいたのだというのは、どのような考え方なのだろうか。その秘密を「三身論」は、法身・報身・応身で解き明かしていく。仏が自由にナラティブ=物語化されていく本質とはいかなることなのだろうか。(全10話中第9話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:11分29秒
収録日:2025年1月27日
追加日:2025年7月27日
カテゴリー:
≪全文≫

●『法華経』の五つの特質


鎌田 専門家でもない私が、「如来寿量品(にょらいじゅりょうぼん)」をやる。大変なことですねえ、時代状況はねえ。

―― 「如来寿量品」というのは非常によく聞くもので、私などもよく親族の法事で…。

鎌田 天台宗だとねえ。

―― 天台宗なものですから、読んだりすることもあります。ご葬儀や法事のときに「如来寿量品」をお読みになる方は結構いらっしゃると思いますが、そもそも『法華経』の中において、「如来寿量品」はどういう位置づけになるのでしょうか。

鎌田 今、スライドを出します。鳩摩羅什(くまらじゅう)訳の『法華経』28品は、前半14品が「迹門(しゃくもん)」、後半14品が「本門(ほんもん)」というように大きく分かれていると、今まで教学的に、伝統的に釈義されてきました。

 第1「序品(じょほん)」、「方便品(ほうべんぽん)」、「譬喩品(ひゆほん)」、「信解品(しんげほん)」、「薬草喩品(やくそうゆほん)」、「授記品(じゅきほん)」。それから、未来には仏になるという「化城喩品(けじょうゆほん)」。そして「五百弟子受記品(ごひゃくでしじゅきほん)」。この「受記品」も、未来仏になるということの予言書なのです。(さらに)「授学無学人記品(じゅがくむがくにんきほん)」、「法師品(ほっしほん)」、「見宝塔品(けんほうとうほん)」。多宝塔という建築がありますが、不朽の浄土世界というのは、そのように表現されます。「提婆達多品(だいばだったほん)」、これはお釈迦さまの悟りと緊張関係を持ったといわれるものです。(そして)「勧持品(かんじほん)」、「安楽行品(あんらくぎょうほん)」。以上が前半の迹門です。

 後半になると、地中から菩薩がワーッと噴出してくる。火山の噴火のように菩薩群が出現してくるところから、いよいよ『法華経』の真髄に入ります。前半では、いろいろな「方便品」や「授記品」で、「仏が出てきますよ」とずっと未来予言がなされてきた。いよいよそれらが、ガンガン展開するのが本門です。まさに具体的なスペクタクルな展開、ダイナミックな展開がストーリーテリングされていきます。

 その幕開けが第15「従地湧出品(じゅうじゆじゅっほん)」です。「地湧出品」ですから、土地の中から湧いて出てくる。その後に第16「如来寿量品」があって、...

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