空海の真髄
この講義は登録不要で無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
次の動画も登録不要で無料視聴できます!
空海が主著『秘蔵宝鑰』で示した密教的世界観とは?
第2話へ進む
アウトサイダーな乞食僧だった空海、なぜ密教の頂点へ?
空海の真髄(1)空海の半生と詩的感性で開く密教世界
鎌田東二(京都大学名誉教授)
真言宗の開祖にして日本三筆のひとりである空海を「詩人」として理解していくのが、本講義の要訣である。鎌田東二氏によると、密教は詩的な感覚をフルに活用した宗教であり、詩が分からなければ密教は分からないという。最初は空海の前半生から、たぐいまれなる詩的感性によって、密教の扉をどんどん開いていった入唐時代を振り返る。(全7話中第1話)
時間:14分31秒
収録日:2024年8月26日
追加日:2024年11月2日
≪全文≫

●詩が分からなければ密教は分からない


―― 皆様、こんにちは。

鎌田 こんにちは。

―― 本日は鎌田東二先生に、空海についての講義をいただきたいと思います。先生、今回は特に空海が詩人であるということで、詩を通じて見ていくと、空海の思想も非常によく伝わってくるという主旨でございますね。

鎌田 「空海」という名称そのものが、宇宙との交感、交信、交流といったことを映し出しているような名前ですよね。「空と海」ですから。

―― そうですね。

鎌田 この空と海に分け入っていく感性というのは、密教自体が持っているものです。密教的感性というのは、秘密の世界や神秘の世界に入っていくもので、そういう感覚や感性は非常に芸術家的な感性です。だから…。

―― 密教と感性というのは、切っても切れないものですか。

鎌田 はい。感覚をフルに活用したのが密教です。(彼は)その感覚の中でも言語の感覚を用いて「真言宗」をつくっていきます。では、真言宗の「真言」の感覚や世界は何によって研ぎ澄まされるのかというと、その一番核心のところに、いわゆる詩作、詩というものの感受があると思います。

―― やはり詩、いわゆるポエムのイマジネーションといった部分が非常に重要になってくるというところでしょうか。

鎌田 極めて重要だし、詩が分からなかったら密教は分からないと思います。イスラム神秘主義の世界でも、優れた神秘家はやはりほぼ詩人です。

―― なるほど。

鎌田 詩人と神秘家というのは非常に裏腹で、裏表のような関係にある。空海は神秘家であると同時に、たぐいまれなる詩人である。そこのところを浮き彫りにできれば、というのが今回の狙いです。

―― ありがとうございます。


●密教の扉を、たぐいまれなる詩的感性で開ける空海


―― まず、そのお話に入る前提として、空海という方がどのような方かというところから伺います。

鎌田 空海は西暦774年に生まれています。どこで生まれたかについては、諸説ある。今までは讃岐国の善通寺といわれてきましたが、最近は摂津国で生まれたという説もあります。

 いずれにせよ、(遣唐使として入唐した翌年の)805(延暦24)年に唐の都に行き、長安の青龍寺の恵果阿闍梨か...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
日本人が知らない自由主義の歴史~前編(1)そもそも「自由主義」とは何か
消極的自由と積極的自由?…なぜ自由主義がわかりづらいか
柿埜真吾
日本人が知らない自由主義の歴史~後編(1)ニューリベラリズムへの異議
ハーバート・スペンサーとダイシー…20世紀の危機の予言者
柿埜真吾
神話の「世界観」~日本と世界(1)踊りと物語
世界の神話の中で異彩を放つ日本神話の世界観
鎌田東二
『孫子』を読む :計篇(1)「戦わずして勝つ」の意味
「戦わずして勝つ」ことを唱える『孫子』が注目される理由
田口佳史
人生に活かす東洋思想(1)人生の成功とは何か
東洋思想の「徳」や「道」をわかりやすくいうと?
田口佳史
AI時代と人間の再定義(1)AIは思考するのか
AIでは「思考の三位一体」が成立しない…考えるとは?
中島隆博

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2026(37)長谷川眞理子先生の公開収録!
【アンケート&公開収録】長谷川眞理子先生:男と女でどう違う?能力の高め方
テンミニッツ・アカデミー編集部
ロシア人の見る「ロシアの歴史」(2)タタールのくびきと「第三のローマ」
なぜロシアが「第三のローマ」なのか?…東ローマ帝国とモンゴル帝国の根深い影響を探る
上月豊久
大統領に告ぐ…硫黄島からの手紙の真実(2)翻訳に込めた日米の架け橋への夢
アメリカ人の心を震わせた20歳の日系二世・三上弘文の翻訳
門田隆将
『「甘え」の構造』と現代日本(1)「甘え」のインパクト
「甘え」は現代においてダメなものなのか…名著『「甘え」の構造』への2種類の誤解とは?
與那覇潤
『万葉集』と律令社会~官僚の心得と歌宴(1)国守・大伴家持と地方社会の日常
『万葉集』でわかる奈良時代の貴族と地方豪族の関係と日常…歌人・大伴家持の歌に秘められた国守時代の苦労話
上野誠
江戸とローマ~日本酒とワイン(2)ローマの酒文化とファストフード
ポンペイのファストフード店、遺跡が物語るローマの酒文化
本村凌二
小澤開作と満洲事変・日中戦争(1)少年時代の苦労と五族協和の夢
満洲で「五族協和」に命を懸けた小澤征爾の父・小澤開作
小澤俊夫
高齢者のフレイル・認知症とその予防対策(1)老年病科と高齢者の疾患・病態の特徴
頻尿、低栄養、転倒、誤嚥、フレイル…増える老年症候群と高齢者の疾患・病態の特徴
小川純人
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(1)物語の構造を読み解くおもしろさ
『オデュッセイア』の面白さの秘密を神話の構造から読み解く…なぜ波乱万丈の神話が人間の創作の源泉になったか
松村一男
文明語としての日本語の登場(1)古代日本語の復元
なぜ「てふてふ」が蝶々?日本語の変遷を追う…まずは万葉仮名から
釘貫亨