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「文は人なり」――原文を読んで名僧の思想の息吹に触れる

【入門】日本仏教の名僧・名著~総論(1)名僧の原著に触れる意味

賴住光子
東京大学大学院人文社会系研究科・文学部倫理学研究室教授
概要・テキスト
『日本の仏教思想―原文で読む仏教入門』
(頼住光子著、北樹出版)
書店には数多くの仏教の入門書が並んでいるが、名僧や開祖たちが残した著作は敷居が高く、なかなか手に取れない。名僧の息吹をじかに感じつつ、その教えに触れるのが本シリーズだ。総論の第1回では日本に仏教思想が伝来した当初からの流れを押さえつつ、聖徳太子・最澄、空海、源信の横顔を紹介する。(全3話中第1話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:09:55
収録日:2020/08/20
追加日:2020/09/24
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≪全文≫

●なぜ名僧・名著の原文を読むことが重要なのか


―― 皆さま、こんにちは。本日は頼住光子先生にお越しいただきまして、「【入門】日本仏教の名僧・名著」ということでお話をいただこうと思っています。頼住先生、どうぞよろしくお願いいたします。

頼住 よろしくお願いいたします。

―― 今回の企画といたしましては、日本仏教の名僧と呼ばれる人物を取り上げ、それぞれの方が書いた著作によって彼らを追っていこうという趣旨を考えました。

 頼住先生の書かれた『日本の仏教思想―原文で読む仏教入門』(北樹出版社)というご本のなかには、まさにその趣旨でいろいろな方々の原文が載せられ、ご紹介されています。先生、このように原文を読んでいく意味は、どういうところにあると思われますか?

頼住 原文を読むというのは、その思想家が自分の考えを「こう表現しようか、ああ表現しようか」と、いろいろ考えた末に確定した、その表現を自分も味わって、その世界をともにすることだと思います。

 いろいろな「仏教入門」が出ています。概説書は概説書で、全体を見るという意味で、とてもいいと思うのですが、彼らの思想の「息吹」に直接に触れることが、その思想家を考えるうえで、とても重要なのではないかと思いました。そこで、原文のうちでも特に紹介したいというものをいくつか選んで、入門書として書かせていただいたということになります。

―― 「息吹」を感じるというのは、やはりとても大事なところですね。

頼住 そうだと思います。「文は人なり」ということがありますので、ただ「こういう思想ですよ」と言って概略を紹介されるよりも、実際に読んだほうが理解が深まる、と考えています。

―― 私どもは「テンミニッツTV」ですので、もちろん原文を全部ご紹介することは難しいわけですけれども、一文なり短い文をご紹介させていただいて、ご視聴の皆さまにはその息吹に触れていただければ、と思っています。


●日本の仏教を方向づけた聖徳太子からの流れ


―― 頼住先生はまた、ご近著として『さとりと日本人』(ぷねうま舎)という本もお書きになっています。こちらでは、聖徳太子の和の思想や道元の考え方などについて、お書きになっていらっしゃいます。

 さて、講義の本題のほうに入りたいと思います。今回、取り上げる人物として、全体はこういう形で考えています。

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