聖徳太子「十七条憲法」を読む
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仏教を重んじる深い理由…なぜ親鸞は聖徳太子を尊敬したか
聖徳太子「十七条憲法」を読む(4)聖徳太子の思想と日本の独立性
哲学と生き方
賴住光子(東京大学名誉教授/駒澤大学仏教学部 教授)
十七条憲法について、「中国で隋の直前の時代にあたる北朝の文書(六条詔書)を模倣したものではないか」「中国の思想のパッチワークではないか」といった指摘もある。もちろん、似ている部分や取り入れている部分もある。しかし詳細に見ていくと、やはり聖徳太子は内容的に独自のものを打ち出しており、「十七条憲法」の内容は、日本独自のものだという。それは、はたしてどのような点なのだろうか。また、聖徳太子は後世の日本人にも思想的に大きな影響を与えた。たとえば、親鸞も聖徳太子を深く尊敬した1人である。日本仏教の先駆者として聖徳太子が後世に与えた影響とともに解説する。(全6話中第4話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:15分09秒
収録日:2023年8月24日
追加日:2023年12月28日
カテゴリー:
≪全文≫

●「十七条憲法」は聖徳太子のオリジナル、中国の類似文書との違い


―― 賴住先生、ここまでいろいろお話しいただいてまいりまして、中国から来た伝来の思想を取り込みつつ日本的にやっていったというのが聖徳太子の特徴だということでした。いろいろな人に言わせると、「これはコピーでしょう」「中国のいろいろな思想をパッチワークしただけではないか」という話もあると思いますが、そういう意見についてはどのように見ておられますか。

賴住 そうですね。やはり単なるコピーではないと考えています。十七条憲法については中国に似たようなものがないわけではなく、例えば中国の北朝の官僚に対する倫理規定というものがいくつか作られています。

―― それは隋の前に当たる時代ですね。

賴住 そうです。隋の前に当たる時代ですが、それと似ているのではないかといわれています。例えば、北周というのが隋の直前の時代にあるのですが、その北周で「六条詔書」というものが作られていて、聖徳太子が作った十七条憲法とかなり似ている。この影響の下にできたのではないかといわれています。

 ただし官僚に対する倫理規定という意味では似ていますが、内容的に見ていくと相当違っている。その意味で、「聖徳太子のオリジナル」であるということもできるのではないかと思います。

 例えば六条詔書の第1条では何をいっているかというと、「心を治むるを先ず」といっています。自分の心の持ち方、自分の内面のあり方を一番最初にいっているわけです。聖徳太子の場合は「和を以て貴しと為(す)」ということで、他者と自分との関係である「和」を最初に言っています。

 同じ倫理規定といっても、聖徳太子の場合は非常にオリジナルなものを打ち出しているといえるかと思います。役人に対する倫理規定という意味では影響を受けていると思いますが、中身については相当オリジナリティが感じられるということができるかと思います。

―― このあたりは、本当に日本の面白いところですね。それこそ和歌のお話などもいろいろな先生にお伺いすると、かなり中国の漢詩の影響を受けて成立しているということもお聞きします。

 それは単に調えるといいますか、分類学的にはそのようにやっているけれども、中身はずっと三十一文字(みそひともじ)、つまり31文字を守り続けているところもあったりする。何かルールのようなも...

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