聖徳太子「十七条憲法」を読む
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
聖徳太子の実在はなぜ証明できる?その世界史的意義は?
聖徳太子「十七条憲法」を読む(3)聖徳太子の謎とその存在意義
賴住光子(東京大学名誉教授/駒澤大学仏教学部 教授)
聖徳太子とはいったいどのような人物なのか。「聖徳太子はいなかった」という虚構説も飛び交うが、それは本当なのか。十七条憲法の作者と目される聖徳太子の謎に迫っていく第3話。日本を氏族社会から脱皮させ、統一国家として成立される方向づけをした人物で、日本初の思想家といってもいい聖徳太子。実は、「聖徳太子虚構説」については専門の歴史家からいろいろと反論が出てきている。それはどういうことなのか。世界史的にみた聖徳太子の存在意義とともに解説する。(全6話中第3話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:14分03秒
収録日:2023年8月24日
追加日:2023年12月21日
カテゴリー:
≪全文≫

●日本初の思想家・聖徳太子の存在意義


―― その(前話までに紹介いただいた)ような内容の十七条憲法ですけれども、それをまとめられた聖徳太子という方はどのような人物なのかということです。この方も非常に謎に満ちた人ですが、頼住先生ご専門の日本思想史の文脈で位置づけると、どういう位置になるのでしょうか。

賴住 そうですね。聖徳太子については、今もおっしゃってくださいましたように、虚構説などというものもいわれたりすることがありまして、いろいろ分からない部分が多い方です。

 後でもう少しお話ししたいと思いますが、私自身は実在の人物であろうと(考えています)。聖徳太子という名前自体は、後から付けられた名前であると思いますが、後の時代に聖徳太子と呼ばれた飛鳥時代の政治家・思想家という方は、確かにおられると考えています。

 それを前提として、聖徳太子という方は日本の国を氏族社会から脱皮させ、独立した一つの統一国家、一つの天下として成立される方向づけをした人物ということができます。

 特にその著作とされている「十七条憲法」や『三経義疏(さんぎょうぎしょ)』(※法華経、勝鬘経、維摩経の解説書である『法華義疏』『勝鬘経義疏』『維摩経義疏』の総称)ですね。三経義疏にもいろいろ説がありますが、聖徳太子がまったく関わっていないとはいえません。その関わり方はいろいろな説がありますが、関わっていたと私自身は考えています。

 この十七条憲法や三経義疏などからもはっきり見てとれるように、外来仏教、さらに儒教から学んだ人間観や世界観というものを明確に示した。その意味で、日本初の思想家といってもいいでしょう。

―― そうすると、思想史、特に日本思想史の中では本当に最初に位置づけられる人物だということですね。

賴住 そうですね。重要な存在だと思います。


●聖徳太子の世界史的意義…「普遍的国家」の形成者として


―― なるほど。その聖徳太子は、日本だけではなく東アジアの状況なども受けてこういうことをやってきた、というお話を前半で伺いました。世界史的に見た場合は、聖徳太子の存在にどのような意義があったと先生はお考えでしょうか。

賴住 聖徳太子の世界史的な意義という問題については、仏教学者であり比較思想家である中村元先生が非常に興味深いことをお...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
「50歳からの勉強法」を学ぶ(1)大人の学びの心得三箇条
大人の学び・3つの心得=自由、世間が教科書、孤独を覚悟
童門冬二
もののあはれと日本の道徳・倫理(1)もののあはれへの共感と倫理
本居宣長が考えた「もののあはれ」と倫理の基礎
板東洋介
キリスト教とは何か~愛と赦しといのち(1)「イエス」とは一体誰なのか
「イエス・キリスト」という名前の本当の意味は?
竹内修一
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
老荘思想に学ぶ(1)力のメカニズム
老荘思想は今の時代に人類の指針となる
田口佳史
楽観は強い意志であり、悲観は人間の本性である
これからの時代をつくるのは、間違いなく「楽観主義」な人
小宮山宏

人気の講義ランキングTOP10
内側から見たアメリカと日本(1)ラストベルトをつくったのは誰か
日本でも中国でもない…ラストベルトをつくった張本人は?
島田晴雄
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(3)認知バイアスとの正しい向き合い方
知ってるつもり、過大評価…バイアス解決の鍵は「謙虚さ」
今井むつみ
「宇宙の創生」の仕組みと宇宙物理学の歴史(1)宇宙の階層構造
「宇宙の階層構造」誕生の謎に迫るのが宇宙物理学のテーマ
岡朋治
歴史の探り方、活かし方(1)歴史小説と史料探索の基本
日本は素晴らしい歴史史料の宝庫…よい史料の見つけ方とは
中村彰彦
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二
AIとデジタル時代の経営論(6)暗黙知と判断力
AIは「暗黙知・常識に基づく高度な判断」が不得意
一條和生
編集部ラジオ2025(27)なぜ何回説明しても伝わらない?
なぜ伝わらない?理解の壁の正体を今井むつみ先生に学ぶ
テンミニッツ・アカデミー編集部
学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(1)数が理解できない子どもたち
なぜ算数が苦手な子どもが多いのか?学力喪失の真相に迫る
今井むつみ
徳と仏教の人生論(1)経営者の条件と50年間悩み続けた命題
宇宙の理法――松下幸之助からの命題が50年後に解けた理由
田口佳史
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦