聖徳太子「十七条憲法」を読む
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議論と秩序…仏教、儒教、法家の影響と十七条憲法の独自性
聖徳太子「十七条憲法」を読む(6)条文を読む…仏教と礼
賴住光子(東京大学名誉教授/駒澤大学仏教学部 教授)
十七条憲法を読むときに意識したいのは、仏教、儒教、法家など、当時東アジアの先進性を支えていたその教えと、それらによる影響である。しかも、それらにただ従順に従うのではなく、国家の方向性を定めるための舵として利用しようとする主体性がある。現代の日本人にとって、十七条憲法は常に参照すべき原点となる倫理、道徳なのである。最終話では仏教、儒教、法家に関する条文について解説した後、十七条憲法が示す和について改めて確認して本講義を締めくくる。(全6話中第6話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:12分09秒
収録日:2023年8月24日
追加日:2024年1月11日
カテゴリー:
≪全文≫

●第二条を読む――仏教は万国の則るべき究極の教え


―― 続きまして、「仏教を尊重する」というところで、第二条を挙げていただきましたが、第二条も有名な「篤く三宝を敬へ」というところですね。ここを読ませていただきます。

「篤く三宝を敬いなさい。三宝とは、仏と法(仏教の教え)と僧である」

 この「法」というのは仏教の教えということですね。

「仏教とは、四生(胎生、卵生、湿生、化生のこと、すべての生物)の最終的な拠り所であり、万国が則るべき究極である。どの時代も、どの人も、仏法を尊重しないということはない。その本性が極悪であるという人は、めったにいない。だから、教化可能なのである。三宝に帰依することによって、その人の偏向を正すことができるのである」

 というところで、先ほどの総論講義の部分で、「仏教を取り入れることが、ある意味では国際秩序の中での独立を保つことになる」というお話がありましたが、あとは「全体の統一」ですか。

賴住 はい。

―― 個々に信じるものが違うのではなくて、仏教を皆が信じれば統一できますよね、というお話だったということですが、これもそういうことになりますね。

賴住 そうですね。皆が仏教を信じることで、皆が自分の持っているエゴイズムから離れて、他者に対して自分を開いていく存在になれる。そのことが強調されているといえるかと思います。

―― はい。

賴住 万国の則るべき究極の教えということで、これは東アジアの国々で信仰されている普遍的な宗教であるということと同時に、その宗教の内容としてエゴイズムを離れていく。そして、人は「極悪である人はめったにいない」といわれているように、性善説といいますか、教化されればちゃんとそれに応えて、正しい道を歩むことができるということが仏教の教えに基づいていわれているということではないかと思います。

―― 「ゼロ」ではなくて、「めったにいない」というわけですね。

賴住 そうですね。

―― だいたいの人は極悪ではないというところになるわけですね。


●第三条を読む――「礼」という秩序と皇室のあり方


―― 続きまして儒教の影響を感じる条文として、先生に第三条、第四条、第六条、第七条、第八条、第九条を挙げていただきました。...

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