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経営をひと言で?…松下幸之助曰く「2つじゃいけないか」

東洋の叡智に学ぶ経営の真髄(1)経営とは何かをひと言で?

概要・テキスト
東洋思想を研究する中で、50年間追求してきた命題の解を得たと田口佳史氏は言う。また、その命題を得るきっかけとなったのは松下幸之助との出会いだった。果たしてその命題とは何か、生涯の研究となる東洋思想とどのように結びついたのか。(全7話中第1話)
※インタビュアー:神藏孝之(テンミニッツTV論説主幹)
時間:10:32
収録日:2024/09/19
追加日:2024/11/21
カテゴリー:
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≪全文≫

●自然との対話を通して見えてきたもの


田口 私は東洋思想研究を約50年間行い、3つの命題を預かって、これに向かって進んできました。これらを解決しないことには、「東洋思想研究を行っています」などと偉そうに言えない。その3つの命題の解が、ようやく明確になりました。

―― すごいことですね。

田口 なぜ明確になったか。1つの助けは、新型コロナウイルスです。新型コロナウイルスが流行ったときに、私は年配だし重度の身体障害者だから、都会におらずに山に行って独活して、ずいぶんと山暮らしをしたわけです。そこで鹿や狸などを相手に暮らしていると、「自然=宇宙、天」となってくる。

 そういうものしか対話の相手がいないわけです。したがって、そういうものとの対話が進めば進むほど、見えてくるものがある。そういった過程で、私が32歳前後にもらった(3つの)命題の1つ1つについて、逆転の発想によって思わぬ解決がようやく見えた。その中の2つは松下幸之助さんからいただいた命題なので、あなたに話さなければいけないと思いました。

―― それはすごくありがたいことです。

田口 今日はそのお話と、もう1つは最近、「AIの話をしてくれ」という依頼が多いのです。私の観点からAIはどのように受け止めなければいけないかというと、「精神と肉体」の問題として受け取ることが一番重要です。

―― 「精神と肉体」ですか。

田口 「精神と肉体」というテーマは東洋思想の根幹にあります。「肉体」といっているものを違う言葉でいうと、「欲望」です。肉体があるから欲望があるのです。

 そのような意味で「肉体=欲望」の制御(コントロール)はいったいどうしたらいいかというときに、仏教のように「禁欲」にして「ダメ!」といってしまえばそれで終わりなのですが、そうではない。特に漢籍、儒家と道家の思想は、欲望を認めています。あれだけ厳しいことを言っている儒家の思想において、なぜ欲望を認めているのかについては大きな1つの要点です。ここが明確にならないと、漢籍を読んでいてもいい加減になってしまう。ですから、「この点の追求をしよう」という50年間でした。

―― 「欲望」を認めているのは、すごいことですね。

田口 ええ、すごいことです。理路として明らかにならないと意味がないわけです。なぜ欲望を認めているのか、どういう効果があるのか、ということが分からな...
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