東洋の叡智に学ぶ経営の真髄
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
松下幸之助の答えは「人間の把握」と「宇宙の理法」の2つ
東洋の叡智に学ぶ経営の真髄(2)陰陽論の重要性
老荘思想の根幹には陰陽論がある。この世はつねに「陰陽」の2つのものが相まって形成・維持されているというものだ。この講義では、この陰陽論への理解をより深め、「乾坤」さらには「道徳」の概念を解説し、松下幸之助が「2つ」と言った意味について考えていく。(全7話中第2話)
※インタビュアー:神藏孝之(テンミニッツTV論説主幹)
時間:9分37秒
収録日:2024年9月19日
追加日:2024年11月28日
≪全文≫

●この世の秩序を維持・形成している二つのもの


田口 それから私は陰陽論を徹底的に勉強することになります。この世の真理を探求することの一つは、陰陽論の探求なのです。例えば、この世の中はどのように維持されているのか。『易経』に『繋辞伝』(けいじでん)という孔子が書いたものがあります。もっとも精神性を現した部分なのですが、そこに何と書いてあるか。「一陰一陽、之を道と謂う」という名言があるのです。

 これを分かりやすく説明できるようになるまでには、10年ほど陰陽論を徹底的に学ばなければ分からない話です。簡単にいえば、この世が維持されているのは、陰が出てくるとそれを制御するように陽が出てくる。陽が出てきてしばらくすると、また陰が出てくる。陰陽が互いに相反し合いながら、あるいは相補しながら、絶えず運動を繰り返している。これでこの世が成り立っているわけです。

 ダイナミック(動的)であることがこの世の秩序の維持に一番重要なのだということを「道」といっている。「一陰一陽、之を道と謂う」とは、「この世はどうして秩序が形成されて壊れないのかといえば、陰陽が互いに寸分たがわず葛藤を続けているからなのです」といっている。「ああ、そうなのだな」と思いました。


●変化していないようで、つねに変化している


田口 ところが、私がそれをさらに証明することができるようになったのは、生物学者の福岡伸一氏の話を聞いてからです。彼は全く同じことを言っている。「動的平衡」と彼は言います。人間の身体はなぜ維持されているのか。「分解と結合」が絶え間なく繰り返され、分解して結合に外れたものが排泄される。したがって次の分解と結合が必要になるから、ものを食べる。これを繰り返していると。

 つまり、非常に動的(ダイナミック)な活動をしている。静的(スタティック)なものは死に体になってしまう。「動的にならなければいけない」ということを、彼はしきりに言うわけです。これは陰陽論ではないでしょうか。

―― まさにその通りですね。

田口 会社も、静的なところはすぐに潰れる。動的でなければいけない。つまり「道」とは、この動的な絶え間ない活動によって次々と動き、要するに「運動」しているわけで、その運動をしている活動によって維持されている。分かりやすくいえば、コマみたいなものです。高速で回っているから止まっている...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「経営ビジネス」でまず見るべき講義シリーズ
本質から考えるコンプライアンスと内部統制(1)「法令遵守」でリスクは管理できない
「コンプライアンス=法令遵守」ではない…実例が示す本質
國廣正
イノベーションの本質を考える(1)イノベーションの定義
イノベーションの定義はパフォーマンスの次元が変わること
楠木建
メンタルヘルスの現在地とこれから(1)「心を病む」とはどういうことか
なぜ「心の病」が増えている?メンタルヘルスの実態に迫る
斎藤環
野獣の経営、家畜の経営(1)経営センスが育つ土壌
ファーストリテイリングで経営者が育つ理由
楠木建
東洋の叡智に学ぶ経営の真髄(1)経営とは何かをひと言で?
経営をひと言で?…松下幸之助曰く「2つじゃいけないか」
田口佳史
オリエント 東西の戦略史と現代経営論に学ぶ(1)ビジネスのヒントは歴史にあり
『失敗の本質』、中国古典…ビジネスのヒントを歴史に学ぶ
三谷宏治

人気の講義ランキングTOP10
習近平―その政治の「核心」とは何か?(1)習近平政権の特徴
習近平への権力集中…習近平思想と中国の夢と強国強軍
小原雅博
内側から見たアメリカと日本(5)ヒラリーの無念と日米の半導体問題
大統領選が10年早かったら…全盛期のヒラリーはすごすぎた
島田晴雄
熟睡できる環境・習慣とは(1)熟睡のための条件と認知行動療法
熟睡のために――認知行動療法とポジティブ・ルーティーン
西野精治
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(3)認知バイアスとの正しい向き合い方
知ってるつもり、過大評価…バイアス解決の鍵は「謙虚さ」
今井むつみ
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(7)不動産暴落と企業倒産の内実
不動産暴落、大企業倒産危機…中国経済の苦境の実態とは?
垂秀夫
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(4)全てをつなぐ密教の世界観
密教の世界観は全宇宙を分割せずに「つないでいく」
鎌田東二
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
戦争と暗殺~米国内戦の予兆と構造転換(1)内戦と組織動乱の構造
カーク暗殺事件、戦争省、ユダヤ問題…米国内戦構造が逆転
東秀敏
歴史の探り方、活かし方(4)史実・史料分析:秀吉と秀次編〈上〉
史料読解法…豊臣秀吉による秀次粛清の本当の理由とは?
中村彰彦
日本の財政と金融問題の現状(1)財政赤字の何が問題か
日本の財政は本当に悪いのか?将来世代と金利の問題に迫る
木下康司