東洋の叡智に学ぶ経営の真髄
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敬天愛人…一人ひとりを大切にしながら宇宙を相手に生きる
東洋の叡智に学ぶ経営の真髄(5)徳は孤ならず
徳の人としての代表例を挙げると西郷隆盛であり、後藤新平である。なぜ彼らの周りには人が集まるのか。西南戦争時の中津藩士・増田宗太郎とのエピソードや敬天愛人の意味についての話なども交えながら、前回に引き続き徳の概念についての理解を深め、この世の真理である「宇宙の理法」に迫る。(全7話中第5話)
※インタビュアー:神藏孝之(テンミニッツTV論説主幹)
時間:9分34秒
収録日:2024年9月19日
追加日:2024年12月19日
≪全文≫

●徳の人・西郷隆盛の「敬天愛人」


田口 私は、これが最終的な「徳」の答えだというものがパッと結びついた話があるのです。

 西南戦争のときに南洲翁(西郷隆盛)が立ち上がります。簡単にいうと、中津藩の増田宗太郎という人が部下を率いて(くる)。中津藩は全然関係がなく、西郷南洲に会ったこともない人です。ところが、彼(西郷)が立ち上がったのを「これは捨て置けない」ということで、増田宗太郎は軍隊を率いて参戦すると言って来るわけです。

 すると西郷南洲は「それはすまんな」と言うのだけれど、危機になれば危機になるほど、「あなたは関係ないのだから、早く中津へ帰ってくれ」と言うわけです。でも増田は「いや、帰るわけにはいかない」と言って、とどまる。結局、とどまり続けて討ち死に(戦死)する。その増田が、西郷の人物評について何と言っているか。

 「一日南洲翁と接すると一日の愛となり、十日接すると十日の愛となる。やがて去るに忍びなくなる」。

 これが徳です。『論語』に「徳不孤、必有隣(徳は孤ならず、必ず隣有り:徳のあるものは孤立することなく、必ず理解者が現われる)」という言葉があります。なぜ隣があるか。徳をかけられた人間は去り難くなる。ずっと一緒にいたくなる。これが徳なのだ、と。

 松下幸之助さんは、「運を強くするにはどうしたらいいのですか」という質問に対して、「それは徳を積むことだ」と言った。要するに、現世で人間である相手に対し、自己の最善を尽くしきって、相手が「あなたに本当に感謝する」という。この感謝の関係が「敬天愛人」なのです。

 敬天愛人(天を敬い、人を愛する)とは、「天に対する態度と人に対する徳の態度は同じです」といっている。だから、つながっているのです。天とわれわれは完全につながっていると思ったほうがいい。このことは『易経』などを読んでいるとビシビシと感じられるのです。

 ですから、先ほど言ったように「褒められた話ではないけれど少しくらい(よくないことを)してもいいではないか」「なんとかなる」ではダメなのです。

―― なるほど。


●人生において、つねに「天は見ている」


田口 (四書において)「慎独」(一人のときを慎むこと)と言っているのは、「人間はいないけれど天はいる」といっているのです。「天は見ているよ」と。だから「お天道さんは見ている」は名言です...

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