東洋の叡智に学ぶ経営の真髄
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
敬天愛人…一人ひとりを大切にしながら宇宙を相手に生きる
東洋の叡智に学ぶ経営の真髄(5)徳は孤ならず
経営ビジネス
徳の人としての代表例を挙げると西郷隆盛であり、後藤新平である。なぜ彼らの周りには人が集まるのか。西南戦争時の中津藩士・増田宗太郎とのエピソードや敬天愛人の意味についての話なども交えながら、前回に引き続き徳の概念についての理解を深め、この世の真理である「宇宙の理法」に迫る。(全7話中第5話)
※インタビュアー:神藏孝之(テンミニッツTV論説主幹)
時間:9分34秒
収録日:2024年9月19日
追加日:2024年12月19日
≪全文≫

●徳の人・西郷隆盛の「敬天愛人」


田口 私は、これが最終的な「徳」の答えだというものがパッと結びついた話があるのです。

 西南戦争のときに南洲翁(西郷隆盛)が立ち上がります。簡単にいうと、中津藩の増田宗太郎という人が部下を率いて(くる)。中津藩は全然関係がなく、西郷南洲に会ったこともない人です。ところが、彼(西郷)が立ち上がったのを「これは捨て置けない」ということで、増田宗太郎は軍隊を率いて参戦すると言って来るわけです。

 すると西郷南洲は「それはすまんな」と言うのだけれど、危機になれば危機になるほど、「あなたは関係ないのだから、早く中津へ帰ってくれ」と言うわけです。でも増田は「いや、帰るわけにはいかない」と言って、とどまる。結局、とどまり続けて討ち死に(戦死)する。その増田が、西郷の人物評について何と言っているか。

 「一日南洲翁と接すると一日の愛となり、十日接すると十日の愛となる。やがて去るに忍びなくなる」。

 これが徳です。『論語』に「徳不孤、必有隣(徳は孤ならず、必ず隣有り:徳のあるものは孤立することなく、必ず理解者が現われる)」という言葉があります。なぜ隣があるか。徳をかけられた人間は去り難くなる。ずっと一緒にいたくなる。これが徳なのだ、と。

 松下幸之助さんは、「運を強くするにはどうしたらいいのですか」という質問に対して、「それは徳を積むことだ」と言った。要するに、現世で人間である相手に対し、自己の最善を尽くしきって、相手が「あなたに本当に感謝する」という。この感謝の関係が「敬天愛人」なのです。

 敬天愛人(天を敬い、人を愛する)とは、「天に対する態度と人に対する徳の態度は同じです」といっている。だから、つながっているのです。天とわれわれは完全につながっていると思ったほうがいい。このことは『易経』などを読んでいるとビシビシと感じられるのです。

 ですから、先ほど言ったように「褒められた話ではないけれど少しくらい(よくないことを)してもいいではないか」「なんとかなる」ではダメなのです。

―― なるほど。


●人生において、つねに「天は見ている」


田口 (四書において)「慎独」(一人のときを慎むこと)と言っているのは、「人間はいないけれど天はいる」といっているのです。「天は見ているよ」と。だから「お天道さんは見ている」は名言です...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「経営ビジネス」でまず見るべき講義シリーズ
日本企業の弱点と人材不足の克服へ(1)膠着する日本経済の深層
日本経済の行き詰まりをもたらした2つの大きな理由とは
西山圭太
会社人生「50代の壁」(1)“9の坂”とまさかの坂
サラリーマン人生「50代の壁」を乗り越える生き方
江上剛
イノベーションの本質を考える(1)イノベーションの定義
イノベーションの定義はパフォーマンスの次元が変わること
楠木建
メンタルヘルスの現在地とこれから(1)「心を病む」とはどういうことか
なぜ「心の病」が増えている?メンタルヘルスの実態に迫る
斎藤環
重職心得箇条~管理職は何をなすべきか(1)時代に請われ、時代に応えた佐藤一斎
リーダーの心得…幕末の偉人たちを育てた佐藤一斎に学べ!
田口佳史
新しい学び直しの方法と可能性
技術革新で「学び直し」は廉価に国境を越える
小林りん

人気の講義ランキングTOP10
学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(1)数が理解できない子どもたち
人間はどうやって「理解する」のか?『学力喪失』から考える
今井むつみ
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(5)恐るべき台湾への「浸透」
浸透工作…台湾でスパイ裁判が約70件、それも氷山の一角
垂秀夫
伊能忠敬に学ぶ「第二の人生」の生き方(1)少年時代
伊能忠敬に学ぶ、人生を高めて充実させる「工夫と覚悟」
童門冬二
クーデターの条件~台湾を事例に考える(4)クーデター後の民政移管とその方策
軍政から民政へ、なぜ李登輝はこの難業に成功したのか
上杉勇司
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
未来を知るための宇宙開発の歴史(12)宇宙推進技術はどこまで進化したか
水平離着陸で宇宙へ、近未来のロケット像と進む技術開発
川口淳一郎
いま夏目漱石の前期三部作を読む(1)夏目漱石を読み直す意味
メンタルが苦しくなったら?…今、夏目漱石を読み直す意味
與那覇潤
世界のジョーク集で考える笑いの手法と精神(1)体制を笑うジョークと諷刺の精神
ジョークの精神…なぜ人は厳しいときほど笑いを磨くのか
早坂隆
死と宗教~教養としての「死の講義」(1)「自分が死ぬ」ということ
世界の宗教は死をどう考えるか…科学では死はわからない
橋爪大三郎
生成AI・大規模言語モデルのしくみ(3)言語モデルと「自己教師あり学習」
正解がタダ!?大規模言語モデルの「自己教師あり学習」とは
岡野原大輔