大学教育の未来~対話・デザイン・多様性
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
AI時代に必要な大学教育として養うべき「方法知」とは
大学教育の未来~対話・デザイン・多様性(3)AI時代の大学教育と起業家教育の展開
藤井輝夫(東京大学第31代総長)
AI技術の発展、普及が急速に進む現代社会にあって、大学教育に求められる役割も変わってきている。知識を持っていることの価値が下がったAI時代に必要な「方法知」とは何か。最新技術の習得と起業家精神を養う大学教育はいかにして可能か。東京大学の豊富な実践例からそのヒントを探る。(全6話中第3話)
時間:9分34秒
収録日:2024年6月26日
追加日:2024年12月16日
≪全文≫

●機械学習によって加速する宇宙研究


 サイエンスの面で面白いのは、うちの東大の「Kavli IPMU」という、数物連携宇宙研究機構というものがあるのですけれど、そこは数学を使って宇宙を研究する、数学と物理がコラボするという研究所です。いわゆる宇宙の発展のシミュレーションをスパコンでやるわけですが、1回1回やるとものすごく時間がかかるわけです。数日はかかります。

 ところが、これをいろいろ学習させると0.1秒で1回できるということで、ものすごく早回しで、いろいろなパラメータを、いろいろ条件を変えながら、宇宙の発展のシミュレーションができる。だから、今までの何万倍も、何万回もすぐシミュレーションできてしまう。でも、数日かかるものを何万回もやると大変なことになってしまうわけです。

 ということでやっていくと、どうも何か違う値が出てくる。この違う値といっているのは、「すばる」という望遠鏡がハワイのマウナケア(山)の上にありますけれど、そこで測定したのと少しずれた値が出てくるということが分かって、これはフィジックス、つまり宇宙のモデルとして何か新しい発見かもしれないというようなことが、このマシンラーニング(機械学習)を使って分かってきたということが、非常に面白い結果だと思っているのです。

 AIも、そういう意味で役に立つところもあるのですけれど、最近は、サイエンスそのもののあり方を加速するという役割にもなってきているという一例です。


●AI時代に必要な「方法知」を養うための大学教育


 さて、それで話はまた大学の話に戻ります。ということで、AIが非常に広がっていく中で、大学の教育は何が大事ですかとよく聞かれるわけです。

 (左端の写真の左は)ジョセフ・(E・)アウンさんという私の友達ですけれど、ノースイースタン大学の学長さんです。これは、たまたまMITのサリー・コーンブルースという新しい学長さんの就任セレモニーのときに一緒になって撮った写真なのですけれど、彼は『ROBOT-PROOF』という、つまりAIとかロボットの時代に私たちはどういう能力を学生に教えるというか、学生にどういう能力を身につけてもらわなければいけないかということを論じた本を書きました。

 結局、いろいろな知識は今の「ググる」でもけっこうなも...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
渡部昇一の「わが体験的キリスト教論」(1)古き良きキリスト教社会
古き良きヨーロッパのキリスト教社会が克明にわかる名著
渡部玄一
死と宗教~教養としての「死の講義」(1)「自分が死ぬ」ということ
世界の宗教は死をどう考えるか…科学では死はわからない
橋爪大三郎
西洋哲学史の10人~哲学入門(1)ソクラテス 最初の哲学者
ソクラテス:「フィロソフィア」の意味を問う最初の哲学者
貫成人
北欧神話の基本を知る(1)世界でもっとも悲観的な神話
世界滅亡を予言!?人類史上もっとも悲観的な北欧神話とは
鎌田東二
キリスト教とは何か~愛と赦しといのち(1)「イエス」とは一体誰なのか
「イエス・キリスト」という名前の本当の意味は?
竹内修一

人気の講義ランキングTOP10
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
戦争と暗殺~米国内戦の予兆と構造転換(3)未解決のユダヤ問題
「白人vsユダヤ人」という未解決問題とトランプ政権の行方
東秀敏
徳と仏教の人生論(5)陰陽と東洋思想を知ることの意味
『孟子』に学ぶ、リーダーが過酷な境遇に追い込まれる意味
田口佳史
編集部ラジオ2025(26)ソニー流!多角化経営と人材論
ソニー流「人材の活かし方」「多角化経営の秘密」を学ぶ
テンミニッツ・アカデミー編集部
組織心理学~「不満」を生かす(1)不満・相談・予防
職場への不満は6割以上~ポイントは隠蔽、心理的安全性…
山浦一保
学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(1)数が理解できない子どもたち
なぜ算数が苦手な子どもが多いのか?学力喪失の真相に迫る
今井むつみ
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
エンタテインメントビジネスと人的資本経営(6)評価制度設計と「夢」の重要性
なぜ二本立ての評価制度が必要か…多種多様な人材の評価法
水野道訓
認知バイアス~その仕組みと可能性(1)認知バイアス入門
誰もが陥る「認知バイアス」…その例とメカニズム
鈴木宏昭
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(2)国家戦略目標の転換
経済発展から「国家の安全」へ…転換された国家戦略目標
垂秀夫