大学教育の未来~対話・デザイン・多様性
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18歳人口がピーク時の半分以下!?深刻な大学進学者減少問題
大学教育の未来~対話・デザイン・多様性(5)人材の流動性と大学進学者減少の問題
藤井輝夫(東京大学第31代総長)
女性の活躍や若手登用などが叫ばれる昨今、要職の女性比率や博士人材の活躍において、欧米と比べて遅れをとる日本。その改善には、日本的な雇用慣行の改革が必要になる。その道のりの困難さを確認した上で、少子化が進み、大学進学者数が減少する中、これからの大学のあり方を考える。(全6話中第5話)
時間:8分12秒
収録日:2024年6月26日
追加日:2024年12月30日
≪全文≫

●日本が人材の流動性を高めるにはどうすればいいのか


 ここから先は少しだけ、私が言いたいことです。

 私がいま、企業の皆さんとご一緒するときにいつも申し上げているのは、人の流動性が、日本の今の社会の中でスムーズに(実現)できていないことを、非常に課題に感じるところがあります。私は「30% Club」の大学ワーキングの座長をやっているのですが、これは、要するに企業のトップ層の女性を30パーセント以上にしましょうというアクティビティなのです。イギリスで始まったものなのですけれど、その全体の座長を資生堂の魚谷雅彦会長がやっていて、ここで対談をしていたのです(2023年11月)。

 女性の活躍とか、あと、博士人材です。先ほど博士人材のお話をいただきましたが、その活躍というのは、例えば博士人材はなかなか年功型のシステムにはまりにくいと思うのです。それから、女性も年功型でずっと頑張って働いて、だんだん処遇が良くなっていくというシステムの中にいると、いろいろなライフイベントを経たりするときにどうしても不利になってしまうということが起こっています。

 そういう意味で、ここにありますけれど、例えばそもそも高校卒業後、どうしてすぐ大学に入らなければいけないのか、それから大学卒業して、何ですぐ、つまり3月31日に大学を終わって、4月1日に会社に入らなければいけないのかというのは、素朴な疑問として自分も若い頃そう思っていた、ということがあります。欧米の人たちのあり方を見ていると、そうでもないなと思うわけです。

 ところが、日本の場合、新卒一括採用で年功型というのは非常に重要で、ですから学生たちはだいたい2年間ぐらいをかけて、つまり大学でいえば3年生になった頃にはもう就職活動がとっくに始まっているという感じであるわけです。もっというと、修士課程は2年しかないのですけれど、修士課程ですと入学したときにもう就職活動が始まってしまうということになります。

 ですので、そのへんがもう少し柔軟化して、例えば、いったん大学には行くけれど、しばらくは――ワーキングホリデイでもいいですが――お金を工面しながら外国に行って過ごして、その後、おもむろに就職するなどでもいい。就職した後も、何年か働いた後は大学院に行って、大学院でしばらく学んだ上で、また同じ会社に戻るのもあり、他...

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