大学教育の未来~対話・デザイン・多様性
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
深海のタイタニックが契機!?無人探査機の研究開発への道
大学教育の未来~対話・デザイン・多様性(2)無人探査機の技術進歩
藤井輝夫(東京大学第31代総長)
東京大学に入学し、幼少時から興味を持っていた深海の無人探査機の研究開発に着手することになった当時の藤井輝夫氏。そこには、師となる浦環氏との出会いや、タイタニック号の発見といったセンセーショナルな出来事との巡り合わせがあった。今回は藤井氏の研究歴を振り返りながら、無人探査機の技術進歩について学ぶ。(全6話中第2話)
時間:9分48秒
収録日:2024年6月26日
追加日:2024年12月9日
≪全文≫

●PCR検査にも用いられている応用マイクロ流体システム


 さて、ここまでが経営力に関わるトピックです。ここから少しだけ、私自身の興味関心の話をさせていただいてよろしいでしょうか。

 私自身、もともとは工学部の船舶工学という、造船学をやる学科におりました。ここにありますような、深海の環境をいろいろ調べるロボットの研究をずっとしておりました。その後、理化学研究所に勤めたり、あとは岡部徹先生(東京大学生産技術研究所教授)と一緒で、生産技術研究所でずっと研究を続けてきたというところです。

 直近は、応用マイクロ流体システムといいまして、デバイス技術なのですけれど、いわゆる電子デバイスではなくて、液体を扱うデバイスです。何をするのかというと、例えば最近、皆さんにも耳になじみがよくなったと思いますが、例えばPCR(検査:Polymerase Chain Reactionの略で「ポリメラーゼ連鎖反応」のこと。ウイルスのDNAを増幅させて検出する検査)です。PCRをして、病気の診断ができますとか、あるいはどういう種類の微生物がいるかが分かりますとか、そういうセンサーに使います。細胞の中で培養して、お薬の効き目を調べるということに使える技術をやっておりました。

 このデバイス技術はだいぶあとになってから、ポスドク以降、理化学研究所で始まり、生産技術研究所で大きく花開いた研究です。


●無人探査機を活用した深海調査


 その中の1つとして、無人探査機にデバイスを搭載して、深海を調べに行くというようなこともずいぶんやっております。

 沖縄トラフという、沖縄の北側のだいたい水深1400メートルぐらいですが、2000メートルぐらいの海底から山が立ち上がっていって、この山の上から300度ぐらいのお湯が噴いているという環境なのですけれど、(そういう深海から噴いている熱水系を中心にした生態系ができて、いるということです。)こういう環境をいろいろ調べるということをやっております。

 なぜこれがやりたくなったのかということなのですけれど、もともと子どもの頃にこういうものに非常に興味がありました。これはマリアナで最初にいちばん深いところに潜った、1960年にバチスカーフ・トリエステという(潜水艇で)、ジャック...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
禅とは何か~禅と仏教の心(1)アメリカの禅と日本の禅
自発性を重んじる――藤田一照師が禅と仏教の心を説く
藤田一照
もののあはれと日本の道徳・倫理(1)もののあはれへの共感と倫理
本居宣長が考えた「もののあはれ」と倫理の基礎
板東洋介
楽観は強い意志であり、悲観は人間の本性である
これからの時代をつくるのは、間違いなく「楽観主義」な人
小宮山宏
死と宗教~教養としての「死の講義」(1)「自分が死ぬ」ということ
世界の宗教は死をどう考えるか…科学では死はわからない
橋爪大三郎
渡部昇一の「わが体験的キリスト教論」(1)古き良きキリスト教社会
古き良きヨーロッパのキリスト教社会が克明にわかる名著
渡部玄一
「50歳からの勉強法」を学ぶ(1)大人の学びの心得三箇条
大人の学び・3つの心得=自由、世間が教科書、孤独を覚悟
童門冬二

人気の講義ランキングTOP10
インテリジェンス・ヒストリー入門(1)情報収集と行動
日本の外交には「インテリジェンス」が足りない
中西輝政
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(1)史実としての豊臣兄弟と秀長の役割
豊臣兄弟の謎…明らかになった秀吉政権での秀長の役割
黒田基樹
編集部ラジオ2025(31)絵で語る葛飾北斎と応為
葛飾北斎と応為の見事な「画狂人生」を絵と解説で辿る
テンミニッツ・アカデミー編集部
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(4)葛飾応為の芸術と人生
親娘で進歩させた芸術…葛飾応為の絵の特徴と北斎との比較
堀口茉純
平和の追求~哲学者たちの構想(4)ルソーが考える平和と自由
ルソーの「コスモポリタニズム批判」…分権的連邦国家構想
川出良枝
生成AI「Round 2」への向き合い方(1)生成AI導入の現在地
生成AIの利活用に格差…世界の導入事情と日本の現状
渡辺宣彦
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(2)バイアスの正体と情報の抑制
『100万回死んだねこ』って…!?記憶の限界とバイアスの役割
今井むつみ
熟睡できる環境・習慣とは(4)起きているときを充実させるために
夜まとめて寝なくてもいい!?「分割睡眠」という方法とは
西野精治
お金の回し方…日本の死蔵マネー活用法(1)銀行がお金を生む仕組み
信用創造・預金創造とは?社会でお金が流通する仕組み
養田功一郎
死と宗教~教養としての「死の講義」(1)「自分が死ぬ」ということ
世界の宗教は死をどう考えるか…科学では死はわからない
橋爪大三郎