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心を持ったロボットはつくれるのか?必要なのは心の種

「動くガンダム」に学ぶロボット工学と未来(4)ヒト型ロボットと人間の研究

概要・テキスト
ガンダムはヒト型ロボットだが、ヒト型ロボットをつくることは、人間がいかにうまくできているか、つまり人間を研究することであるという。では人間のように心を持ったロボットをつくることはできるのか。そこで問題になるのが、ロボットには大事な、ある“心(感情)”がないことだという橋本氏は言う。それはなにか。ロボットと人間の境界をめぐる疑問について多角的に考えていく。(2024年2月18日開催「大人の学びフェス」講演〈「動くガンダム」から考えるロボット工学と未来〉より、全6話中第4話)
※本講義は期間限定配信となっております。(~2025年11月26日まで)
時間:11:20
収録日:2024/02/18
追加日:2024/12/18
キーワード:
≪全文≫

●なぜヒト型ロボットがいいのか――ヒト型の意味と人間理解


市川 いろいろなお話を伺ってきましたけれど、そもそもロボットの魅力というところも、せっかくなのでいろいろ聞けたらなと、個人的にお話ししたいのです。

橋本 はい。

市川 ガンダムをもう1回軸にすると、ガンダムはヒト型というところが1つ特徴ですよね。モビルスーツというものは、実際はものすごく非効率なつくりだけれど、それでもやはりヒト型であることに意味があると思うのですが、先生は、ヒト型の機械をつくることの意味というのは、どのように感じていますか。

橋本 これは私の先生というか、早稲田(大学)の、あるいは日本、世界のロボットの父みたいな研究者に加藤一郎先生がいらっしゃるのですけれど、その先生が生前いわれていたのは、ヒト型のロボット、ヒューマノイドをつくることが何かの役に立つことは将来あるかもしれないけれど、そうではなくて、今の時代――(当時)30年も40年も前ですが――その頃からやっているのは、これをやることによって人間がいかにうまくできているかが分かる、(つまり)人間を研究するということです。

 たしかにそういう面があって、人間研究とか、脳研究というと、人間を解剖して、中身を調べて、どれがどうつながっているかを考えながら理解していきます。これは自然科学的なやり方です。工学はそうではなくて、中身の知識は大まかだけでいいから、とにかくつくって、同じ動きをさせてみようということでつくっていくわけです。ですから、つくることによって理解する。新しい人間理解のしかたというものがそのときのヒューマノイド研究の始まりでした。

 その後も、ではなぜそれをいつまでもやっているかというと、役立つようなこともできるようになってきた(からです)。そうすると、ヒト型がなぜいいのかということをまた改めて問われるわけです。

 これは人間理解というものもあるけれど、それ以外に何かあるのではないかということで私が考えたのは、例えばこのロボットをどこで使いたいのかといったら、われわれが生活しているこの空間で使いたい。社会の中で、工場の中の限られたところではないところで使いたい。そこで働いてほしいとして、ではこの空間はどのように設計されているかを考えると、これは人にとっていちばん都合よく設計されているわけです。人の大きさとか、人の持っている...
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