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真理と正義と私情と…工学には生きるための工夫がある

「動くガンダム」に学ぶロボット工学と未来(6)工学的発想で考える面白さ

概要・テキスト
自然科学と社会学と人文学にまたがる工学には、われわれの生きる工夫が全て入っていると橋本氏はいう。とにかく手を動かして、形として技術を体現していく。そんなロボット工学的取り組みの積み重ねの先に、想像を超えるような新しい技術との出会いがある。私たちの暮らしに生かせる工学的発想の面白さを解説する。(2024年2月18日開催「大人の学びフェス」講演〈「動くガンダム」から考えるロボット工学と未来〉より、全6話中第6話)
※本講義は期間限定配信となっております。(~2025年11月26日まで)
時間:12:52
収録日:2024/02/18
追加日:2025/01/08
キーワード:
≪全文≫

●「真理と正義と私情」を全て見ている工学の意義


市川 今、橋本先生が注目している工学の研究とか、キーワードを聞けたらと思っています。今後のロボット工学の未来についていっぱい伺った後にあれなのですけれど、さらなる注目しているキーワードとして、われわれは何に耳をすませばいいのでしょうか。

橋本 それはいちばん難しい質問で、答えにくいのだけれど、私は先ほど(第4~5話で)、心を持った機械というのは詳細に設計して、ある理屈の下に組み上げていってつくるというつくり方では無理だと申し上げましたが、(それは)むしろ、われわれが環境をうまくつくることによって、出来上がってしまうものなのです。

 そういう意味で、今のAIはそれのハシリに近い気がしているわけです。なにか分からないけれど、データをとにかくたくさん自分でこね回して答えを出してくる。それもけっこういい答えなのです。それを元にして次のステップで、AIがなぜそう出したかという理屈をこねることをやめてしまってもいいのです。

市川 そうですか。

橋本 それはまた後づけの科学がやってくれればいいのであって、そうではなくて、その次を考えると、もう少し心を持った機械とか、AIが身体を持ったら(そういった)機械になるだろうから、そういうところに今さしかかっているかなと思っています。

 今のAIは頭だけですけれど、身体に関しても先ほど(お話しした)化学反応みたいな意味で、細かいことを設計しないけれど、なんかできてしまっているというものとうまく組み合うということが起きれば、また次のステップに行けるのではないかと思う。

 (また、)ここで説明がないからダメだとかいうこととか、あるいは今、個人情報がどうのこうのといっているけれど、それは自分たちが変わらないという前提でいっていますよね。それは、今の生活をそのまま維持したいという前提でいっている。そうではなくて、どう変わっていったらいいのかということを考える必要があるだろうと思うし、そのへんのところが、見ていて、なにか答えがあるのではないかと思っているのです。

市川 なるほど。でも、つい理由が知りたくなってしまうというか、「なんで、なんで」と、そこを解明することが正しい次のステップと感じてしまうけれど…。

橋本 「正しい」みたいにね。

市川 (でも)一旦そこはもうできたからと(いう...
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