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AIやビッグデータを活用した車が自動運転の中心になる

自動運転が社会を変える(1)自動運転の民主化

加藤真平
東京大学大学院情報理工学系研究科 特任准教授
概要・テキスト
自動運転の実用化は既定路線だが、加藤真平氏によると、その目安は2020年の東京オリンピック前後になるだろう。では実際に実用化されると、そのような社会になるのだろうか。そのポイントについて解説する。
≪全文≫

●近い未来、自動運転の実現化は既定路線である


 東京大学の加藤真平です。私は、株式会社ティアフォーというベンチャー企業を創業しています。そこで今回は、自動運転に関して、どういう未来が訪れるのか、今大学でどういう研究が進んでいるのか、あるいはベンチャー企業やわれわれが一緒に活動している大手の企業がどういうビジネスを描いているのか、そういったことを講義の内容にしたいと思います。

 自動運転がいつ実現されるのかについては、市場の立ち上がり、世界の動き、高齢化の進み方などによる社会のニーズ、こういったものによりますので、「この年に来ます」と断定することはできません。ですが、自動運転が実用化することは規定路線だと考えていいと思っています。目安としては、日本では2020年に東京オリンピック・パラリンピックがありますので、やはりその前後に自動運転の実用化が始まると思います。


●自家用車の自動運転機能は自動運転の一部にすぎない


 自動運転の話をする際、一番最初に感じるのは、自動運転という言葉に対して多くの方がおそらく少し違ったイメージを持たれているのではないかということです。ですから、世の中に今、どのような自動運転があるのかということから、話を始めたいと思います。

 今の社会において、あるいは皆さんの中で、自動運転はどのように捉えられているでしょうか。おそらく、自分の家にある自動車に自動運転機能が付いていて、好きなときにその車を自分が運転することができ、自分が運転をしたくないときには車が勝手に運転してくれる、そういった捉え方をされている方が多いのではないかと思います。

 これは、テレビのコマーシャルや、自動車メーカーさんのマーケティングなどから来るイメージです。つまり、個人に車を販売することが自動車メーカーさんのビジネスですから、そのビジネスに向けたマーケティングの効果によって、自家用車が自動運転化されるのではないかと多くの方が考えているということです。

 これは、ある意味で正しい理解です。実際に、少し高い高級車を買うと、自動運転機能がすでに付いている状態です。例えば高速道路や、一般道でも白線がしっかり見えているようなエリアなど、非常に限定的ではありますが使えるということで、今の市販の自動車にも自動運転の機能が付いているのです。そして、このような状況はこの先も...
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