自動運転が社会を変える
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
自動運転技術が起こすモビリティ革命と市場の変化
自動運転が社会を変える(5)モビリティ革命
加藤真平(東京大学大学院情報理工学系研究科 特任准教授/株式会社ティアフォー 創業者)
自動運転技術は「モビリティ革命」を引き起こし、市場の変化と新たなビジネスの出現を促す。そして自動運転が普及することで、われわれの生活スタイルも変化する。では「モビリティ革命」とは何なのか。今回は、その詳細についてデータを挙げながら解説していく。
時間:13分55秒
収録日:2018年10月23日
追加日:2018年12月16日
≪全文≫

●年間1000億人が自家用車以外の手段で移動している


 今回は、自動運転の技術にまつわるこれからのビジネスについて、その可能性を検討したいと思います。

 2018年の時点における自動車の市場規模としては、新車が年間1億台ほど生産されています。その中で最も大きいシェアを持つ自動車会社は、そのうちの10パーセントほどのシェアとなります。つまり、毎年1000万台ほど新車を生産しているということです。つまり、毎年1000万台前後で、販売台数1位をめぐって非常に有名な自動車会社同士が争いを繰り広げているのです。

 では、こうした自動車の市場がこれからどのように変化していくのでしょうか。ここで面白いのは、必ずしも自動車を何台売るといった世界ではなくなるということです。つまり、シリーズの最初の方で解説をしたように、自動車を個人が所有する時代から利用する時代へ進んでいくとすると、何台売れたという競争よりも、何人が乗ったかという競争の方が市場での価値が高くなってくるということです。

 正確な数字は分からないですが、現在の世界において自分の車ではない何かで移動している人の年間の人数を見てみます。ここでは、1人の人間が毎日タクシーに乗ったときには、この1人の人間を365人とカウントしますが、そうすると1000億人ほどになります(上表:世界のモビリティ利用者数参照)。この人たちが利用しているのは、電車かもしれませんし、バスかもしませんし、タクシーかもしれません。あるいは、カーシェアかもしれません。いずれにしても正確な数字を把握することは難しいのですが、1000億人ほどいるとすると、自動車の販売台数と比べるとかなり大きい数字です。

 この1000億人という数字は、自動運転の自動車市場でビジネスを考える場合において、必ず把握しておくべき数字です。現在は、1億台の新車が毎年生産されていて、1000億人が自分の車ではない何かで移動している時代なのです。


●モビリティ革命によって自動車販売市場が縮小する


 以上のような現在の状態から、自動運転の実用化によって自動車を個人で所有するのではなく利用するようになったとします。これはよく「モビリティ革命」と呼ばれていますが、その場合、どのような市場の移り変わりが考えられるでしょうか。

 先の表は、何かの根拠があって出した数字ではな...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「科学と技術」でまず見るべき講義シリーズ
「宇宙の創生」の仕組みと宇宙物理学の歴史(1)宇宙の階層構造
「宇宙の階層構造」誕生の謎に迫るのが宇宙物理学のテーマ
岡朋治
性はなぜあるのか~進化生物学から見たLGBT(1)有性生殖と無性生殖
なぜ雄と雌の2つの性別があるのか…「性」の謎とLGBT
長谷川眞理子
本当によくわかる「量子コンピュータ入門」(1)量子コンピュータとは何か
「量子コンピュータ」はどういうもので、何に使えるのか
武田俊太郎
ヒトの性差とジェンダー論(1)「性」とは何か
MLBのスーパースターも一代限り…生物学から迫る性の実態
長谷川眞理子
生成AI・大規模言語モデルのしくみ(1)生成AIとは何か
10年で劇的な進歩を遂げた生成AIと日本の開発事情
岡野原大輔
巨大地震予知の現在地と私たちにできること(1)地震予知研究と前兆すべり
地震予知に挑む!確かな前兆現象を捉える画期的手法とは
梅野健

人気の講義ランキングTOP10
平和の追求~哲学者たちの構想(1)強力な世界政府?ホッブズの思想
平和の実現を哲学的に追求する…どんな平和でもいいのか?
川出良枝
プロジェクトマネジメントの基本(3)プロジェクトのすすめ方
PDCAサイクルを回すための5つのプロセスとそのすすめ方
大塚有希子
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(1)北斎の画狂人生と名作への進化
葛飾北斎と応為…画狂の親娘はいかに傑作へと進化したか
堀口茉純
熟睡できる環境・習慣とは(3)睡眠にいい環境とお風呂の入り方
布団に入る何分前がいい?入眠しやすいお風呂の入り方
西野精治
中国共産党と人権問題(1)中国共産党の思惑と歴史的背景
深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質
橋爪大三郎
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
定年後の人生を設計する(1)定年後の不安と「黄金の15年」
不安な定年後を人生の「黄金の15年」に変えるポイント
楠木新
内側から見たアメリカと日本(6)日本企業の敗因は二つのオウンゴール
日本企業が世界のビジネスに乗り遅れた要因はオウンゴール
島田晴雄
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫