自動運転が社会を変える
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
自動運転の実用化に向けた課題と3つの実験
自動運転が社会を変える(2)自動運転実用化に向けた実験
科学と技術
加藤真平(東京大学大学院情報理工学系研究科 特任准教授/株式会社ティアフォー 創業者)
自動運転の実用化に向けてはまだ多くの課題が残っている。その課題を克服するため、さまざまな実験が行われているが、具体的にはどのような実験が進められているのか。加藤真平氏が東京大学、あるいは共同研究機関などで行っている3つの実験について、映像を観ながら解説する。
時間:10分46秒
収録日:2018年10月23日
追加日:2018年12月2日
≪全文≫

●自動運転の実用化に向けた課題はたくさんある


 今回は、自動運転の実用化に向けた実験に関して、お話をします。

 自動運転の実用化に向けては、まだまだ課題がたくさんあります。それは、研究開発であったり、法整備であったり、あるいは倫理観の共通理解であったり、たくさんの課題があります。そのような課題がある中で、私が今、東京大学あるいは共同研究をしている大学や研究機関と、普段どのような実験をしているか、お伝えしていきたいと思います。


●第1の実験:セーフティードライバーを同乗させて行う


 今一番多い実験のパターンについて、まずお話をします。

 無人で車を走らせることは、今の社会において手軽にはできません。自動運転システムを搭載していて、コンピューターから車を操作できるように改造された車そのものは、今も存在します。しかしながら、いきなり運転席を無人にするという実験は、あまり頻繁に行われていません。現在多いタイプの実験では、セーフティードライバーといって、実験の安全性を確保する実験の責任者、あるいは専用のドライバーを、運転席に乗せて行うというものです。

 映像は、実際に自動運転車が周りをどのように認識しているかを示しています。例えば、料金所を通り抜けて高速道路を一直線に走ろうとしているとき、横からトラックが走ってきたとします。この場合、自動運転車は、実際にセンサーやAIを使ってトラックを認識した上で速度を落とします。映像では、左車線をずっと走っていますが、緑色の線は自動運転車が走るルートになります。自動運転者がこれから走るルートを自らルーティングしているのですが、そのところを見やすいように緑でハイライトしています。こうやって高速道路を走っていき、愛知県にあるセントレアという空港に向かっています。そして、高速道路から降り、一般道路をまた走るというわけです。

 この実験では、実際に周りにいる車は、スタッフの車ではなく、一般車両です。自動運転車には一応、「自動運転をしています」というステッカーを貼っています。ですが、路上でこの車が自動運転しているとはおそらく周りを走る運転手さんも分からないくらい、かなりなじんだ状態で実験をしています。この実験は、私たちの研究室あるいはベンチャー企業、それから共同研究している企業、そういった皆さんと一緒にやっていますが、かなり完成...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「科学と技術」でまず見るべき講義シリーズ
知能と進化(1)知性と身体性
AI、ディープラーニングとは…知能と身体性は不可分か?
長谷川眞理子
進化生物学から見た「宗教の起源」(1)宗教の起源とトランス状態
私たちにはなぜ宗教が必要だったのか…脳の働きから考える
長谷川眞理子
「宇宙の創生」の仕組みと宇宙物理学の歴史(1)宇宙の階層構造
「宇宙の階層構造」誕生の謎に迫るのが宇宙物理学のテーマ
岡朋治
2050年「プラチナ社会」実現への挑戦(1)「プラチナ社会」実現のルーツと現況
2025年頭所感~5つのプラチナ産業イニシアティブ創りへ
小宮山宏
未来を知るための宇宙開発の歴史(1)宇宙開発の流れを概観する
宇宙開発の歴史、そして未来へ…6枚の写真で概観する
川口淳一郎
本当によくわかる「量子コンピュータ入門」(1)量子コンピュータとは何か
「量子コンピュータ」はどういうもので、何に使えるのか
武田俊太郎

人気の講義ランキングTOP10
経験学習を促すリーダーシップ(2)経験から学ぶ力
米長邦雄のアンラーニング、弟子の弟子になってV字成長
松尾睦
続・日本人の「所得の謎」徹底分析(1)各国の財政と国民負担
日本と各国の比較…税負担は低いが社会保障の負担は高い
養田功一郎
海底の仕組みと地球のメカニズム(1)海底の生まれるところ
地球上の火山活動の8割を占める「中央海嶺」とは何か
沖野郷子
外交とは何か~不戦不敗の要諦を問う(1)著書『外交とは何か』に込めた思い
外交とは何か…いかに軍事・内政と連動し国益を最大化するか
小原雅博
未来を知るための宇宙開発の歴史(9)宇宙開発を継続するための国際月探査
「国際月探査」とは?アルテミス合意と月探査の意味
川口淳一郎
数学と音楽の不思議な関係(1)だれもがみんな数学者で音楽家
世界は音楽と数学であふれている…歴史が物語る密接な関係
中島さち子
「アカデメイア」から考える学びの意義(2)プラトンの学園アカデメイア
プラトン「アカデメイア」の本質は自由な議論と哲学的探究
納富信留
「集権と分権」から考える日本の核心(5)島国という地理的条件と高い森林率
各々の地でそれぞれ勝手に…森林率が高い島国・日本の特徴
片山杜秀
大統領に告ぐ…硫黄島からの手紙の真実(4)百年後の日本人のために
百年後の日本人のために、共に玉砕する仲間たちのために
門田隆将
ヒトは共同保育~生物学から考える子育て(3)共同保育を現代社会に取り戻す
狩猟採集生活の知恵を生かせ!共同保育実現に向けた動き
長谷川眞理子