人工知能のディープな可能性
この講義シリーズの第1話
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
強化学習とディープラーニングでロボットが自動的に習熟
人工知能のディープな可能性(2)自ら学習するロボット
松尾豊(東京大学大学院工学系研究科 人工物工学研究センター/技術経営戦略学専攻長 教授)
画像認識の精度を飛躍的に向上させたディープラーニングは、「強化学習」と組み合わせることで、自ら学習するロボットを生み出した。この技術を使えば、ルールややり方すら教えなくても、ロボットは自動的にゲームに習熟し、おもちゃを組み立てられようになる。東京大学大学院工学系研究科准教授・松尾豊氏が、最新事例を解説する。(全4話中第2話) ※テキストの文中に参考動画(YouTube)へのリンクがありますので、併せてご覧ください。
時間:12分39秒
収録日:2016年1月15日
追加日:2016年5月12日
≪全文≫

●「強化学習」にディープラーニングを組み込む


 画像認識の精度は、今すごく上がっていますが、それと同時に、すごく面白いことが起こっています。画像認識と強化学習、ディープラーニングと強化学習を組み合わせるという技術が出てきています。

 強化学習とは、大雑把に言うと「行動を学習する仕組み」です。これはもう100年ぐらい前から研究されています。例えば人間は、サッカーボールを蹴っているうちに、だんだん上手に蹴ることができるようになります。なぜ上手に蹴ることができるようになるかというと、たまたま上手く蹴ることができたら、「今のは上手く蹴ることができた」と思って、その蹴り方を繰り返すからですね。

 このように「上手く蹴らることができたな」と思えることを、「報酬」と言います。報酬が与えられると、その前にやった行動を強化する。こういう仕組みによって、行動がだんだん上手になってくるのです。犬にお手を教えるというときにどうやるかというと、たまたま犬がお手をしたらエサをあげるということを繰り返していく。すると、お手をするようになるわけです。これは犬から見ると、エサという報酬がもらえた前にやった行動を強化しているわけですね。

 これが強化学習の仕組みです。犬も、いつもお手をしていればいいわけではなく、ご主人さまが「お手をしなさい」と言ったときにお手をするといいわけですね。ですから、どういう状況でどういう行動をすると良かったか、あるいは悪かったか、すなわち「状況」と「行動」、そして「良かったか/悪かったか」、これらをセットにして、コンピュータに学習させていくわけです。


●ブロック崩しのテクニックを「学ぶ」人工知能


 今までの強化学習では、「どういう状況で」という「状況」の記述をするのに、人間が定義した変数を使っていたのです。ところが、このディープラーニングと組み合わせる方法では、「状況」の記述にディープラーニングで画像認識をして出てきた特徴量を使うことで、その変数を人間がつくらなくてよくなります。後の部分は、今までの強化学習と一緒です。違いはそこにしかないのですが、それによって非常に大きな変化が起こります。

 動画をお見せします。まず2013年後半の研究です。ディープマインドという会社がありまして、これは2014年初頭にGoogleに買収された会社です。この会社がどういうことをやった...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「科学と技術」でまず見るべき講義シリーズ
ブラックホールとは何か(1)私たちが住む銀河系
太陽系は銀河系の中で塵のように小さな存在でしかない
岡朋治
ヒトの性差とジェンダー論(1)「性」とは何か
MLBのスーパースターも一代限り…生物学から迫る性の実態
長谷川眞理子
水から考える「持続可能」な未来(1)気候変動の現在地
最悪10メートル以上海面上昇…将来に禍根残す温暖化の影響
沖大幹
培養肉研究の現在地と未来図(1)フェイクミート市場とリアルミート研究
食肉3.0時代に突入、「培養肉」研究の今に迫る
竹内昌治
本当によくわかる「量子コンピュータ入門」(1)量子コンピュータとは何か
「量子コンピュータ」はどういうもので、何に使えるのか
武田俊太郎
性はなぜあるのか~進化生物学から見たLGBT(1)有性生殖と無性生殖
なぜ雄と雌の2つの性別があるのか…「性」の謎とLGBT
長谷川眞理子

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2025(30)西野精治先生に学ぶ「熟睡の習慣」
熟睡できる習慣や環境は?西野精治先生に学ぶ眠りの本質
テンミニッツ・アカデミー編集部
平和の追求~哲学者たちの構想(1)強力な世界政府?ホッブズの思想
平和の実現を哲学的に追求する…どんな平和でもいいのか?
川出良枝
プロジェクトマネジメントの基本(3)プロジェクトのすすめ方
PDCAサイクルを回すための5つのプロセスとそのすすめ方
大塚有希子
熟睡できる環境・習慣とは(1)熟睡のための条件と認知行動療法
熟睡のために――自分にあった「理想的睡眠」の見つけ方
西野精治
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(1)北斎の画狂人生と名作への進化
葛飾北斎と応為…画狂の親娘はいかに傑作へと進化したか
堀口茉純
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
禅とは何か~禅と仏教の心(1)アメリカの禅と日本の禅
自発性を重んじる――藤田一照師が禅と仏教の心を説く
藤田一照
中国共産党と人権問題(1)中国共産党の思惑と歴史的背景
深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質
橋爪大三郎
内側から見たアメリカと日本(6)日本企業の敗因は二つのオウンゴール
日本企業が世界のビジネスに乗り遅れた要因はオウンゴール
島田晴雄
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二