ChatGPT~AIと人間の未来
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
生命情報・社会情報・機械情報と本居宣長「もののあはれ」
ChatGPT~AIと人間の未来(8)シンギュラリティと「もののあはれ」
西垣通(東京大学名誉教授)
AIに関する議論では、シンギュラリティのような悲観論も多い。未来が暗くならないために必要なことは何か。重要なのは、アメリカ的な考え方をそのまま受け入れるのではなく、日本の伝統と文化を尊重した日本ならではのAIとの関わりを考案することだ。たとえば、情報には「生命情報」「社会情報」「機械情報」の3つがあるというが、この「生命情報」は本居宣長が説いた「もののあはれ」論と通底するところがあるのではないか。子どもやお年よりも安心できる安全なデジタル社会を作っていくために、今、求められている視点が語られる。(全8話中第8話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:17分25秒
収録日:2023年3月15日
追加日:2023年7月6日
≪全文≫

●「シンギュラリティ」の悲観的未来を超えて


―― AIに関する議論でよく聞くのが、シンギュラリティです。これは、AIの能力が人間を超える時点がやってくる。そのシンギュラリティの世界になると、一部のエリートだけがAIで「設計」をして、あとの人々は不要階級になるという、ユヴァル・ノア・ハラリが言ったような議論も一面で存在します。しかし、今回のお話を聞くと、そういう世界だけではなくて、「空-縁起」や「サイバネティクス」なども含めて考えていくと、必ずしもそうはならないということでしょうか。

西垣 ハラリのいう絶望的な世界のようにならないようにしないといけない、ということですね。今、このまま進んでいって、人間がデータのようになってしまうと、やはり生きにくい。生きるのがつらくなるんですよ、本当に。

 今、うつ病なども増えてきています。それは「ごはんが食べられない」という、昔の飢えの苦しみなどとは、性質が違うんですね。無用階級(useless class)の人たちであっても、ジャンクフードなどを、安く食べられるのです。でも、虚しさもあるし、自分の価値や生きがいを全然感じられなくて、そして心が病んでいくわけです。こうなるのは、なんとか防がないといけません。防ぐ可能性はあるわけですから。

 なぜかというと、人間と機械はどこか違うということを、日本人はわりと直感的にわかっているのではないでしょうか。私はそう思うのです。

 逆にいうと西洋人の思考とは違うということです。論理主義哲学のようなものに基づいて、「世界は『論理的な秩序』を持っているから、その中をコンピュータという磨き上げた知を使って徹底的に探索していけば、それで万事済む」というのが、西洋の人の考え方です。やがてコンピュータの能力が人間をこえる、というシンギュラリティ(技術的特異点)の議論も、そうした考えから生まれました。頭のいい人たちが、そうしたことを考えるのです。ユヴァル・ノア・ハラリのような歴史家も、一種のニヒリズムにおちいって、悲劇的な未来を予感しているのです。

 それに対して、日本人はおもしろいことに、オプティミスティック(楽観的)です。AIについても、アンケートをとると、AIの持っている「負の部分」を認識している人のパーセンテージは、アメリカ人のほうが日本人よりずっと高い。日本ではAIを素晴らしいと思っている人が多いのです...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「科学と技術」でまず見るべき講義シリーズ
ブラックホールとは何か(1)私たちが住む銀河系
太陽系は銀河系の中で塵のように小さな存在でしかない
岡朋治
「宇宙の創生」の仕組みと宇宙物理学の歴史(1)宇宙の階層構造
「宇宙の階層構造」誕生の謎に迫るのが宇宙物理学のテーマ
岡朋治
発酵はマジックだ!
色を消し、脂を溶かし、水を分解―スゴすぎる発酵の力!
小泉武夫
本当によくわかる「量子コンピュータ入門」(1)量子コンピュータとは何か
「量子コンピュータ」はどういうもので、何に使えるのか
武田俊太郎
巨大地震予知の現在地と私たちにできること(1)地震予知研究と前兆すべり
地震予知に挑む!確かな前兆現象を捉える画期的手法とは
梅野健
進化生物学から見た「宗教の起源」(1)宗教の起源とトランス状態
私たちにはなぜ宗教が必要だったのか…脳の働きから考える
長谷川眞理子

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2026(31)鶴見太郎先生の「公開収録」のご案内
【公開収録のご案内】鶴見太郎先生:ユダヤ人と世界史…その歴史の教訓とは
テンミニッツ・アカデミー編集部
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(5)「3つ」で組まれた構造分析
驚くほど似ているギリシアの『オデュッセイア』とインドの『マハーバーラタ』…その謎に迫る
松村一男
ギリシア神話の基本を知る(1)「ゼウス以前」の神々の戦い
ギリシア神話…ゼウスの「父親殺し」とオリュンポス十二神
鎌田東二
「ホメロス叙事詩」を読むために(1)ホメロスを読む
2700年前のホメロスの叙事詩が感動を与え続ける理由
納富信留
仏教とキリスト教が照らし出す日本の宗教(1)神とは何か、そして天皇とは?
日本と世界の「神と信仰」の違いは?…そして天皇の大切な役割
橋爪大三郎
人生100年時代の「ライフシフト概論」(1)人生100年時代のインパクト
80歳まで現役でいるために大切なこと…人生100年時代の発想法
徳岡晃一郎
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
死と宗教~教養としての「死の講義」(5)仏教の死:日本編
極楽往生、坐禅、法華経…日本人はいかに死を乗り越えるか
橋爪大三郎
日本の財政の真実を検証する(3)金利上昇の深刻な影響
金利が上昇した未来を10年スパンで見てみると…何が起きるか?
宮本弘曉
司馬遼太郎のビジョン~日本の姿とは?(5)移動と破壊と自由の実現
徳川家康ではなく織田信長…司馬文学が描く「別の可能性」
片山杜秀