ChatGPT~AIと人間の未来
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
統計とパターン認識と深層学習…論理主義だったAIの変容
ChatGPT~AIと人間の未来(3)第3次AIブームの特徴
西垣通(東京大学名誉教授)
第2話で見てきたように、AIは「身体的経験」や「母語」を持たないので、理解を間違えてしまいかねない部分が、どうしてもある。だが人間は、そんなAIを「賢い」と思ってしまう。それはなぜなのか。西垣氏は、「コンピュータやAIが、もともと論理主義と深い関係にあったことが大きい」という。だがそれは、実は過去の話なのである。これまでにAIブームは3回起こっている。1950年代の第1次AIブームでは「論理に基づく」ことが重んじられ、1980年代の第2次ブームでは「知識を集めて正しい答えを導き出す」ことが重んじられた。だが、2010年代半ばからの第3次AIブームは「パターン認識と深層学習」を特徴とする。以前とは異なり、1か0かではない多様な判断が可能になったが、それゆえAIでも間違えることが起きてしまう。そのことを、どう考えるべきか。(全8話中第3話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:11分24秒
収録日:2023年3月15日
追加日:2023年6月1日
≪全文≫

●人間がAIを「賢い」と思うのはなぜか


―― (第2話で論じていただいた)アウシュヴィッツの例は非常に極端というか、重たく悲劇的な例でしたが、そうではないものも、もしかすると、(AIの解釈の中に)少しずつ「ちょっと違うところ」が入ってきてしまうかもしれない。人間の場合は、(各々の)生活知の中で、「これはちょっと違うんじゃないの」と判断できるものが、(AIでは)そのままの形で出てしまうかもしれません。

西垣 そうですね。

―― そういう性格があるAIであるにもかかわらず、なぜ人間は、AIの回答を見て「やっぱり賢いな」と思ってしまうのか。この点についてはいかがですか。

西垣 今おっしゃったことはとても大事なポイントだと思います。AIはもともと「論理的に正しい」ことでアピールしたものでした。

 ChatGPTのようなAIは少し変わっていて、耳や目に快いといいますか、人間に一歩近づき分かりやすく話してくれるというのが特長になっています。

 ですが、もともとは、コンピュータは間違えないという考えからAIは始まりました。人間には欲望もあるし、嘘もついたりする。それに対して、コンピュータは正確な言説を作り出すということが、AIの研究を導いたモチベーションでした。

 これは、20世紀の初めにバートランド・ラッセルとホワイトヘッドが書いた『プリンキピア・マテマティカ(数学原論)』という哲学書にも現れています。要するに論理主義にもとづく哲学ですね。「世界を論理的に記述し、演繹的に言説を組み合わせることで正確な答えが出てくる」というもので、それが間違いない真実なのだと。

 実は、こうした論理主義という考え方と、コンピュータの間には、非常に深い関係があります。

 チューリングやフォン・ノイマンといった、20世紀の半ばにコンピュータを作っていった人たちの頭の中には、そういった論理主義があります。世界は論理的に秩序だって存在している。それを正確に記述する。こういった分析を速く自動的におこなう機械としてコンピュータは誕生しました。

 これがコンピュータの基本イメージです。ですから、「コンピュータからの出力は間違いなく合っている」という考えが出てくることになります。

 これは大事な点だと思います。というのも、今言ったようなことは、コンピュータの原理をちゃんと学んだ人たちの間ではよく知られたことなので...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「科学と技術」でまず見るべき講義シリーズ
水から考える「持続可能」な未来(1)気候変動の現在地
最悪10メートル以上海面上昇…将来に禍根残す温暖化の影響
沖大幹
社会はAIでいかに読み解けるのか(1)経済学理論の役割
AIやディープラーニングによって社会分析の方法が変わる
柳川範之
火山の仕組みを知る(1)火山の世界的分布と噴火の仕組み
火山噴火が起こるメカニズムと日本の火山の特徴
藤井敏嗣
発酵はマジックだ!
色を消し、脂を溶かし、水を分解―スゴすぎる発酵の力!
小泉武夫
「進化」への誤解…本当は何か?(1)進化の意味と生物学としての歴史
実は生物の「進化」とは「物事が良くなる」ことではない
長谷川眞理子
「宇宙の創生」の仕組みと宇宙物理学の歴史(1)宇宙の階層構造
「宇宙の階層構造」誕生の謎に迫るのが宇宙物理学のテーマ
岡朋治

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2026(12)自転車の青切符と「法と自粛」
【10minで考える】自転車の青切符と「法と自粛」
テンミニッツ・アカデミー編集部
『「甘え」の構造』と現代日本(1)「甘え」のインパクト
『「甘え」の構造』への誤解…甘えはダメなものなのか?
與那覇潤
もののあはれと日本の道徳・倫理(1)もののあはれへの共感と倫理
本居宣長が考えた「もののあはれ」と倫理の基礎
板東洋介
お金とは何か?…金本位制とビットコイン(5)ゴールドや暗号通貨への評価
ゴールドやビットコインへの評価は?…現代社会の写し鏡
養田功一郎
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
小澤開作と満洲事変・日中戦争(1)少年時代の苦労と五族協和の夢
満洲で「五族協和」に命を懸けた小澤征爾の父・小澤開作
小澤俊夫
イラン戦争とトランプ大統領の戦争指導(3)戦争終結シナリオと大統領選挙の行方
MAGA連合に亀裂!?イラン戦争が及ぼす大統領選への影響
東秀敏
インフレの行方…歴史から将来を予測する(1)インフレの具体像を探る
270年の物価の歴史に学べ…急激な物価上昇期の特徴と教訓
養田功一郎
プラトン『ポリテイア(国家)』を読む(1)史上最大の問題作
全米TOP10大学の必読書1位が『ポリテイア(国家)』
納富信留
天皇のあり方と近代日本(1)「人間宣言」から始まった戦後の皇室
皇室像の転換…戦後日本的な象徴天皇はいかに形成されたか
片山杜秀