ChatGPT~AIと人間の未来
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
AIはヒット商品を予測できるか…人間の真の創造性とは?
ChatGPT~AIと人間の未来(4)AIは未来を読めるか
西垣通(東京大学名誉教授)
AIはヒット商品を予測できるのだろうか。これは論争的な問いだが、ヒット作品に一定の傾向はあるだろうから、「そこそこのもの」はできる可能性がある。だが、AIに丸投げしてしまったら、人間の芸術は破壊されてしまうのではないか。一神教的な客観世界観に立脚した場合、「世界はあらかじめ神により創造されていて、人間はそれを解釈するだけ」と考えるので、スピードが速いAIが有利という考え方もありうる。だが、人を本当に心から感動させる芸術の創造性は、常に生成変化する世界の中から生まれてくるのではないか。それが登場する前と後とで、局面がガラリと変わってしまうような斬新な芸術を、本当にAIがつくれるか。ここは、自らの世界観が問われる部分でもある。(全8話中第4話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:12分42秒
収録日:2023年3月15日
追加日:2023年6月8日
≪全文≫

●AIは未来を予測できるのか


―― AIに関する論理やキーワード自体が変わってきている中で、次にお聞きしたいのが、パターン認識などの仕組みで動いているAIが、未来をつかむことができるのかということです。例えば、いろいろな音楽の中で、どの曲がはやるのか。どの本がベストセラーになるのか。あるいは昔のものだと、ダッコちゃん人形やフラフープ、あるいは紅茶キノコダイエットとか、なぜ流行るのか分からないけれども一世を風靡するものが突如現れることがあります。これらはAIによって予測することができるのでしょうか。

西垣 これについては、なかなか論争的(controversial)な議論があります。AIは過去のデータに基づいて予測をするわけです。そうすると、古いデータに基づいているのだから、新しいことに対応できないという意見も出てきそうですが、必ずしもそうではありません。やはり一定の社会的な傾向(trend)というものは存在すると考えられます。そのため、そこそこ当たりそうなヒット作を予測したりすることは、私は可能だと思います。

―― なるほど。

西垣 さらには、例えば作品を売ることを考えたとき、トレンドから見て、ウケるだろうなということで、それなりのお金をかけて開発しようとするでしょう。エンターテインメント産業の取り組みとして考えられますよね。

―― はい。

西垣 そういう意味では、経済的に成功する作品を、そこそこ予測することはできると思いますが、ただそれでいいのかという話です。私は、はっきりいうとそれではダメだと思っているわけです。


●一神教的な客観世界観とAIは親和性が高いが……


西垣 クリエーターが創作活動にAIの技術やデータ処理能力の一部利用することは別に構わないと思います。ですが、AIで作品を自動生成して販売するのはどうか。

 クリエーターは個性が強く、ある意味ではわがままなので、エンターテインメント産業からすると、そんな人と付き合うのは面倒だと。AIだったら、一晩で何百個も作ってくれるからいいじゃないかという話になる。これは、人間の芸術活動を劣化させる、あるいは、さらに破壊してしまうのではないかという気がしています。

 なぜかというと、「新しさとは何なのか」という問いです。先ほどの論理主義の話の延長では、「世界や宇宙には本当の意味で新しいものは存在しない、すでに固定化した(神がつくっ...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「科学と技術」でまず見るべき講義シリーズ
生成AI・大規模言語モデルのしくみ(1)生成AIとは何か
10年で劇的な進歩を遂げた生成AIと日本の開発事情
岡野原大輔
培養肉研究の現在地と未来図(1)フェイクミート市場とリアルミート研究
食肉3.0時代に突入、「培養肉」研究の今に迫る
竹内昌治
ChatGPT~AIと人間の未来(1)ChatGPTは何ができて、何ができないか
ChatGPTは考えてない?…「AIの回答」の本質とは
西垣通
ブラックホールとは何か(1)私たちが住む銀河系
太陽系は銀河系の中で塵のように小さな存在でしかない
岡朋治
五島列島沖合の海没処分潜水艦群調査(1)目的と潜水艦史
海底に突き刺さる旧日本海軍の潜水艦「伊58」を特定!
浦環
ヒトの性差とジェンダー論(1)「性」とは何か
MLBのスーパースターも一代限り…生物学から迫る性の実態
長谷川眞理子

人気の講義ランキングTOP10
逆境に対峙する哲学(1)日常性が「破れ」て思考が始まる
逆境にどう対峙するか…西洋哲学×東洋哲学で問う知的ライブ
津崎良典
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(3)秀吉出世譚の背景
武闘派・秀吉として出世…織田家中で一番の武略者の道
黒田基樹
平和の追求~哲学者たちの構想(5)カント『永遠平和のために』
カント『永遠平和のために』…国連やEUの起源とされる理由
川出良枝
近現代史に学ぶ、日本の成功・失敗の本質(6)東條内閣で行われた行政改革
悲惨な末路につながった東條英機内閣での兼職と省庁再編
片山杜秀
生成AI「Round 2」への向き合い方(1)生成AI導入の現在地
生成AIの利活用に格差…世界の導入事情と日本の現状
渡辺宣彦
編集部ラジオ2025(32)哲学者たちが考えた平和追求
反EU、反国連の時代に再考!「哲学者たちの平和追求」
テンミニッツ・アカデミー編集部
戦争とディール~米露外交とロシア・ウクライナ戦争の行方
「武器商人」となったアメリカ…ディール至上主義は失敗!?
東秀敏
危機のデモクラシー…公共哲学から考える(2)民意は本当に反映すべきか
デモクラシーとエリート主義の限界…立憲主義と共和主義
齋藤純一
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(4)葛飾応為の芸術と人生
親娘で進歩させた芸術…葛飾応為の絵の特徴と北斎との比較
堀口茉純
医療から考える国家安全保障上の脅威(1)「非対称兵器」という新たな脅威
フェンタニルの麻薬中毒も意図的な戦略?非対称兵器の脅威
山口芳裕